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深淵聖女(ディープマリア) ~転生魔王は勇者ご一行~  作者: 恩谷
JUPITERIAS(ジュピタリアス) 第二章 ~悠久の刻のテトラ~
43/61

42.這い寄る英雄、歩く伝説

中々進まない魔王軍との戦い。






42.這い寄る英雄、歩く伝説




[ノグルシア連邦 ノーブルムース 湯煙坂(ゆけむりざか)]



「いやはや、良い足湯でしたね」



顔を赤らめながら満面の笑みで言うメルト。両脇にはメサリアとクレステルが、同じくほっこりした笑顔を並べていた。



「深夜に足湯というのも中々いいものですねぇ~。女子トークも弾んじゃいましたしねぇ~」



メサリアが両側のおさげを両手で握ると、背伸びをした。



「ゆ、湯ざめしないうちに賢者の館にデュフフ」



滑舌の悪いクレステルが文法までも崩壊気味だ。



冬の深夜のノーブルムースは、微かな灯篭に照らされていた。あらゆるところから湯煙が立ち上り微かな灯篭の光を拡散すると、なんとも幻想的な光景を作り上げている。



「魔王と足湯だなんて、きっと先祖にぶん殴られます!」



「まっ、魔王じゃありませんんん! 人間ですってぇ!」



嬉しそうに言うメルトに対して、否定するメサリア。



「そ、それにしても、今日はなんか、人、多くない?」



クレステルが片側に纏め上げた美しい髪の毛を撫でながら2人へなげかける。彼女の言うとおり、深夜だというのに普段以上に人影がおおい印象だ。



「なんか、ギルドに近づくにつれて増えてない?」



メサリアが答える。



「ほえーー、そうなんですか? 私、田舎者なのでその辺分からないですね」



メルトがメサリアの後ろを掴みながらキョロキョロ周囲を観察した。



「おかしい! も、もっと人気(ひとけ)ないはずなのに…」



クレステルが何故かむすっとした顔でそう言うと、3人の目の前に賢者の館が見えてきた。



賢者の館の正面入り口の外側は、ホールの外側のように雨よけのような天井が複数の柱に支えられている。言わば広めの縁側のような空間が館の前面に展開されていた。


外壁には複数のベンチが設置されており、かなりの人数の冒険者が座りながら各々自由にしている。


3人は3つある正面入り口のうち左端の方へと辿り着く。冬の館の外側だというのに、中々に温かかった。



「おかしい! ひ、人が多すぎる… ひ、ひっそりと達成報告したいのに!」



クレステルが顔を膨らませてムスッとする。館の中の1階ロビーにはかなりの人数が滞在しており、2階や奥のカフェの席はほぼ満席だった。


情報誌らしきものを広げて読む者から仮眠をとっている者まで様々だが、人数の割には物静かな感じで、騒ぎ立ててる冒険者はいない様子だ。



「これが賢者の館ですか! というか、なんだか緊張感ありますね。皆ピリッとしているというか…」



メルトが内部を覗きこむ。



「先輩、ギルドマスターに直接報告するんですから大丈夫ですよ」



「そ、それもそうね」



メサリアに諭されるクレステル。



「とりあえず受付は込み合っていないようですし、行きましょう先輩!」



メサリアが2人の背中を押して、館の中へと足を踏み入れた。受付へと一直線で歩み寄る3人組。



「あれ、もしかして魔王軍との開戦って明日…っていうかもう日付変わってるから今日か、今日だったりしませんかね?」



「ああっ、なるほど。そういうこと?」



「み、魔大陸(ミストレムリア)帰りで、人界の情報、全く分からなかったわね、ウシュシュ」



受付へとたどり着く3人。



「こんばんわ。ギルマスに面会したいのですけど」



「申し訳ございません。ギルドマスターのジリウスは本日不在でございます」



「ええっ!?」



メサリアがしょんぼりとクレステルへと振り向く。



「し、仕方がないわね。もうここで済ませるわよ」



メサリアが頷くと、受付嬢へとそれなりに分厚い紙の束と自身のデータクリスタルを提出した。受付嬢はメサリアにここで待つように言うと、それらを持ってカウンター裏へと消えて行った。



「ふぅ~~、やっと終わりましたねぇ先輩~~。ここまで長かった…」



メサリアが受付カウンターへと力なくもたれ掛かる。



「ほ、ほんとに色々あった。メルトやネフィのせいで色々ややこしくなったわ」



「私たちのせいですかぁ!?!?」



目ん玉をまん丸にしてクレステルに突っ込みを入れるメルト。そうこうしているうちに受付嬢が小箱を持って裏から出て来た。



「か、確認が取れました。こ、こちらが報酬になります。ご確認くださいませ」



受付嬢に渡された小箱を開けるメサリア。薄らと輝くペンダント型の水晶が納められていた。



「こ、これが回復の法珠! デュフフ」



「なんだ、全然大したことありませんねーー、私のジュピターリングに比べれば!」



「ちょっとメルト、そういうことはサラッと口にしないの!」



メサリアがメルトの口を塞ぐようにもつれ合っていると、受付嬢が声をかけて来た。



「あ、あのっ!!!」



「はいっ!」



メサリアが声の主を見る。メサリアと同じく金髪のツインテールと青い瞳の美人受付嬢で、メサリアとはまた違ったタイプの女性だ。その人形のような顔は強張っていた。



「あ、あなたがその… あの… 噂の深淵のメサリアさんなのでしょうか」



両腕を前に添え、やや震えながら上目づかいでメサリアを観察する受付嬢。



「ええっ!? 違いますよ、違います! 私はその深淵とかいうのじゃないです!」



目をパチクリ瞬いて、完全に図星の顔で答えるメサリア。



「もう観念したらどうですか、メサリア?」



メルトがため息をつきながらメサリアの片に手を置く。



「それに、そちらの方は破錠のクレステルさんですよね??」



受付嬢がクレステルを指差す。



「ちょっと、あなた、人のことを指差さない!」



クレステルが気の動転している受付嬢に指摘した。受付嬢はそれに答える間もなく続ける。



「私、ついこの間あなた方の話を冒険者の人たちと話して盛り上がってしまいまして… ちょっと記憶は曖昧なんですけど」



3人「???」



「あっ。私、受付嬢のサウザリア・ルーデンスと申します。二十歳、一応ゴールド級ハンターです。会えて光栄ですお二方!」



サウザリアは、一応周りに配慮しつつ声をひそめながら大きくお辞儀をした。



「はいっ、よろしくお願いします!」



メサリアも慌ててお辞儀する。



「よろ~~」



クレステルは適当に返した。



「そんな敬語はよして下さい。私の方が歳下ですしおすし」



「ええっ?? まだ十代なんですか??」



しばらく会話は続いた。






-------------------------------------------------------------------------------------






賢者の館の外のベンチに腰を下ろす3人。クレステルは、先ほど受け取ったマジックアイテム『回復の法珠』を小箱から取り出して品定めをはじめた。



「な、なるほど。大賢者のおじいちゃんが現役時代に使っていたアイテムなだけに、中々のものね」



ペンダントになっているチェーンの部分を持ち上げながら、2人の目の前で回して見せるクレステル。周囲の冒険者からの視線もそれなりに集めているようだ。



「ちょ、ちょっと先輩。目立ってる! 目立ってるーー!」



メサリアが慌てて両手で回復の法珠を覆い隠した。




_____どうやってソレを手に入れた?




3人「!?」



突如、闇夜からどす黒い低音の声が聞こえた。声がした方の闇から長細い影が歩み寄る。メルトが気の緩みきった2人の代わりにやや警戒態勢に入った。


現れたのは長身の黒装束の大男。その黒い髪の毛は刺のように直立している。細顔で眉なし。瞳は目に対して小さく鋭い。眉間にシワを寄せたその表情は如何にも悪人といった感じだ。


背中には自分の背丈ほどある大きな十字の武器を布で覆って背負っている。



「誰ですか!?」



メルトが立ち上がり、メサリアとクレステルの前へと出た。



「俺か? 俺はゲンガ・バジリスクという者だ」



「………妖怪バジリスク」



メルトが冷や汗をかく。



「あの、なんの用ですか?」



メサリアがメルトの前へと出た。



「その法珠は俺も狙っていた。我々『屋根裏番衆・紫苑』の最重要事項のひとつだ。しかし、クエストの難度が高過ぎて中々臨めないでいた」



「そんな高難度のクエスト… 貴様ら3人のか弱きおなご共で達成など出来るはずもなし。どんな手を使ったんだ?」



ゆっくりと近づいてくるバジリスク。



「し、失礼な、女性差別です! 我々はちゃんと任務をこなして手に入れました! というか私じゃなくてこのお二人ですが」



「ハァ? 貴様ら魔女2人で魔大陸へと渡ったとでもいうのか? 傑作だな!」



バジリスクは黒いマスク越しにニヤリとあざけ笑った。



「こんなでも一応冒険者だ。貴様たちからソレを強引に奪うようなことはしないが、不正を働いていないというならその実力を見せてもらいたいもんだなぁ、クックック」



「ムッ…」



クレステルの顔がむくれる。



「後輩よ、処してよし!」



「はぇっ、先輩??」



きょどるメサリア。いつの間にか周囲の冒険者たちの視線がその場に集まっていた。



「おい、アレ見ろよ。ゲンガだ!」「妖怪バジリスク!」「あんなか弱そうな魔女に何を??」


「えっ、絡まれてる子たちかわいそう…」「お前助けてやれよ?」「絶対いやだ! 半殺しにされるって!」



ざわめく冒険者たち。



「おおっと… もちろん魔法の使用はナシだぜ? ギルドの真ん前だしなァ。俺様に見せてくれよ、魔大陸での任務を完了したなら、多少はやれるんだろが??」



睨みをきかすバジリスク。



「あいつ、魔女に魔法使うなとか無茶苦茶な!」「ゲスすぎ!」



流石の態度に、周りの反感を買うバジリスク。



「あのぉ、私たちはちゃんと正規の任務を完了してコレを手に入れました。それが事実です」



「だから、その実力を見せてくれっつってんだろがよ?」



メサリアに凄むバジリスク。



「バジさん… その役目、拙者にやらせてくれないか?」



賢者の館の正面にある家屋の瓦屋根から男が飛び降りる。着地すると、その身をゆっくりと起こした。


バジリスクと同じ黒装束に身を包んだ褐色の若者で、背筋を張って腕を組み、鋭い眼光でメサリアを睨む。



「えっ、零士郎様??」「鎖縛(さばく)零士郎(れいしろう)!?」「嫌だ、零士郎さまはそんな事しないで!」



周りの、特に女性陣がざわついた。



「ま、またなんか来た」



クレステルが眠そうな顔でぼやく。



「貴様がやるか? 珍しいな、こういうノリは嫌いじゃなかったのか?」



「バジさん。拙者は決してあ奴らをあやす為に来たのではない… あの女性(にょしょう)… そうとうの手だれだ」



バジリスクの前へと出る零士郎。その両手で黒光りする長い鉄鎖を眼前に拡げて見せる。



「2人とも、後ろへ…」



メサリアがメルトとクレステルを後ろへ合図すると、2人はメサリアのより後方へと退避した。



「少女よ… 御免仕(ごめんつかまつ)る!!!」



《ビュンッッ!!》



突如、目にも止まらぬ速さで鎖を投げ掛ける零士郎。その黒い鉄鎖は瞬く間にメサリアの左腕を絡め取ってしまった。



「おいおい、いい加減にしろよ屋根裏番衆ども! 女の子に何してるんだよ!」「そーだぞ! 今すぐやめろ!」



我慢ならずに罵声を上げる周囲の冒険者たち。



「ぐぬっ!? うぬぬっ…!!??」



「え?」「なんだなんだ?」「そんなに力んで、それじゃあ魔女っ子が…」「アレっ?」


「おいおいどうした?」「………」



踏ん張る零士郎。困惑する野次馬冒険者たち。その困惑は、次第に大きくなっていった。



「おいおい、冗談はよせよ(れい)。いつまで遊んでんだ?」



「ば、馬鹿な! バジさん、あ奴、化け物か!?」



目を見開いて焦る零士郎。彼は中腰姿勢で踏ん張っているのにも関らず、棒立ちのメサリアはびくともしない。



「あ? 嘘だろ?」



バジリスクがメサリアを見る。



「やめてくださいよ。鎖の跡なんてついたら鎖プレイでもしたかと疑われちゃうじゃないですかぁ?」



まるで緊張感のないトーンの声で軽く言うメサリア。


次の瞬間、メサリアは鎖に絡まれた左腕を勢いよく引っ張ると、正面に飛んできた零士郎の喉元を掴んで、地面へと叩きつけた。衝撃でメサリアのリボンは解け、次第に赤く染まる。



《ドスンッ!!》



「ガハッッッ!!??」



地面で悶える零士郎。それを見たバジリスクは思わず叫んだ。



「きっ、貴様ッ………!?!?」



()け」



メサリアが人睨みすると、バジリスクはその場で意識を失って倒れた。



「えっ………?」「ええっ!?!?」「はああ?????」



先ほどまで野次を放ってた冒険者たちの目が飛び出る。彼らの目の前には深紅の髪の毛を揺らめかせ、プラチナ級冒険者を足で踏んずけ恐ろしい目付きで見下す魔女がひとり…




(つち)(かえ)るか? この雄豚(おすぶた)どもが!」






-------------------------------------------------------------------------------------






[神聖ウルバニア皇国北部 カーリンガル地方 ドミュセスク上空]




雲ひとつない晴天を駆け抜ける箒と槍。



「ディライサ様~、アスラ様~。ここが私の街ですわ~~!」



シャープで可憐な印象の長槍に腰を掛ける水色の魔女は、帽子を片手で押えながら後方を振り返る。そこには箒に跨る2人の姿があった。



「まぁ! なんて素敵な街! ここがカトレアさんの故郷なのね~!」



アスラが後ろで蹲る巨体へと振り向く。



「アナタ? ねぇアナタ? ディライサ!!」



「………話しかけないでくれ。………それから着いたなら早く……降ろしていただけないだろうか?」



青ざめた顔で箒にしがみつく雷聖ディライサ。



「んぷぅ!!」



頬を膨らまして笑い吹き出すアスラ。



「大丈夫! もうすぐそこですから。あの鉱山の麓の工房に師匠がいます。ついてきて下さいまし~」



乗り物酔いしたディライサを気遣ってか、そそっかしく2人を導くカトレア。急降下して、目下の鉱山へと降りて行く。



「それっ!」「うおっぷ!」



アスラが掛け声とともに急降下し、ディライサが何とも言えない声を発した。



ウルバニア皇国北部の街ドミュセスクは、白い雪の積もった山間に鉱山の灯りが沢山あり、そこから海までの間に青い瓦屋根の鮮やかな街が広がっている。


鉱山はサンクルセイド島の中央にある巨大なルヴィア雪山から連なっており、ドミュセスクの人々はルヴィア雪山の地脈に流れる『竜の血』と呼ばれる鉱石を遥か昔から採掘している。


ツヴァイエルスのラズロブルク、クルスオグナのネクサロイヤと並んで有名な、人界三大鉱山の街だ。長年にわたって掘られた鉱山の空洞は、余すところなく街の施設や通路として利用され、その複雑な構造は大きな遺跡のようなあり様だった。



鉱山の最奥には大きな裂け目があり、裂け目の入口には彫刻のように彫られた入口と、上部の土を支える巨大な柱が両脇に二本立っていた。上部の小さな穴々からは煙が出ては寒空へと消えて行く。


アスラとディライサは、入口へと着地するとカトレアによって内部へと導かれた。



「お師匠さま~~! アンデルセンお師匠さま~~!」



響き渡る金槌の音の中、呑気な声で呼びかけるカトレア。



「なんじゃあ!! わしゃあ今忙しいんじゃ!! 話なら工房に入れ!!」



奥の工房から老人の声が響き渡る。3人は声のする方へと歩いてゆく。奥へ行けば行くほど漂う熱気が強くなり、その暑さは冬だということを忘れさせる程だった。



「流麗なる水の精霊よ、我らにせせらぎの息吹を……… アクアウィンド」



カトレアが神槍アナザヴォルテックスの矛先で円を描くと、たちまち3人の周囲に淡い球体が現れた。



「まぁ、涼しい!」「これは、風魔法か?」



「厳密には水魔法なんですけど、位置づけ的に風寄りの特殊な魔法ですわね。ふふん、涼しいでしょ?」



カトレアはニマァっと少しいやらしい笑みを2人に向けた。目の前にはひとりの老人が巨大な炉の前で作業をしていた。



「ふん。滅多に顔を見せないバカ弟子のくせに、来る時は決まって忙しい時と来たもんだ。ワシも反りの合わぬ弟子を何故取ったのかと、毎度のように後悔しておるわい!」



背の低い老人がそこにはいた。立派な髭を生やし、ムキムキの上半身の鋼のような腕で、目前の熱された金属を金槌で打ち付けている。



《カンッ、カンッ!》



「お前の槍はお前にしか面倒はみれんぞ。お前が造ったのだからな、カティ」



こちらを見向きもせずに、ひたすら作業に没頭する老人。



「私のじゃないですわよ。今回見てほしいのはコレ!」



カトレアがディライサの槍を両手で抱えて老人の視界へと持って行った。老人は作業を止め、机の上の老眼鏡をかけると、出された槍を手にする。



「なんじゃ… 随分な年季ものじゃな… んん?」



老人が柄をくるっと回して観察する。



「良い槍じゃな… これは相当なものじゃぞ」



老人が立ち上がって槍の全体を観察する。



「限定聖遺物か? お前の槍同様持ち主にしか扱えぬ… これは神なる槍クラスじゃぞ??」



老人は老眼鏡に手をやり覗きこんだ。



「こっ… これはアンデルセンの紋様じゃとおお!? ワシの工房で造られた、ワシの打った槍じゃ!!」



「それもかなり初期の… 500年前…? まさか…神槍…アナザライトニングかっ!!??」



槍を握った手をプルプル震わせながらようやく3人へと振り向く老人。最初にカトレアを見据えると、その後ろの2人へと視線を移した。



「おっ… おおおっ!?」



老人のつぶらな瞳から涙があふれ出した。



「お前たち! おおお、お前たちだったのか!!」



「久しいな、クレイドル・アンデルセン。500年ぶりだ」



ディライサが口元で微笑む。



「500年ぶりね、アンディ!」



アスラがうれし涙をこらえながら手を振った。



「うむ。よきかなよきかな」



カトレアが3人の邂逅に満足気に頷いた。



「ワシにもとうとう迎えが来たということか… 亡霊のお前たちが見えるということは… ディ…なんじゃったか… そうじゃディライサとーー…フロムロランのぉーー、そうじゃ、アスラじゃな!!」



アンデルセンは2人へと歩み寄った。



「残念なことに迎えではない。我々は生きている身だからな」



「は? なんじゃと、そんなバカな!!」



「アンディ、あなたこそ何で生きてるのよ。いくらドワーフだからって…」



「ワシゃあ元々長生きのエスペンサードワーフじゃが、知らんか? お前たちに出会う前にな、エルフの真祖に呪いをかけられたのじゃい。ワシの刀匠としての腕が凄いから、長生きするべきじゃとか言っとったわな!!」



「エルフの真祖に長生きの呪いをかけられた!?」



アスラがディライサをみる。



「クレステルだな、というかユノレヴィアの方だ」「そうよねぇ…」



エキサイトしてきた3人。



「それよりもお前たちじゃ! 英雄は魔王城で全滅したのではなかったのか!? どういったカラクリじゃ!!」



「そうよそれ! 私もそれを詳しく聞きたいですわ!」



熱された鉄のような熱い視線を送る2人。



「良いのかアンデルセン。取り込み中だったのだろう?」



「バカ言え、お前たちが来たことで今日の作業はパァじゃ! 仕事にならん! やめだやめだ、なんてことしてくれやがるんだ!!」



そうディライサへ返したアンデルセンは、もの凄く嬉しそうな表情を浮かべる。



「バカ弟子手伝え。茶ァあったか? おいお前たち、奥に客間がある。早くついて来い!」



「滅多に来ないのに、お師匠の客間の在庫状況なんてわかるわけないでしょ~~?」



「じゃあお前が来るたびに好物の飴玉が減ってるのは気のせいか?」



「やべっ…」



愉快な師弟のやり取りを眺めながら、アスラとディライサは工房を後にした。






-------------------------------------------------------------------------------------






「夢の夢のそのまた夢の如しとはこのことよ…」



アンデルセンは目の前のでかい金属ポットから湯のみにお茶を注ぐと、それを一気に飲み干した。



アンデルセン工房の奥の客間はこじんまりとした北国仕様の造りで、天井からは外の光を取り入れられる構造になっていた。


片側には小さな暖炉、反対側には小さなキッチン、部屋の中央には木でできた古めかしいテーブルと4人分の椅子があり、既に満席のご様子。



「とりあえず、先ほど見た限りじゃと槍の劣化はほとんどなかった。500年の時を経た重みだけが加わった感じじゃったな…」



「流石は伝説の魔王ジュピタリア・メイザーよ。あ奴程の魔力がなければ、500年間全く劣化させずに時を止めるのも、お前たちが無事なこともあるまい。感謝してもよい」



アンデルセンの意外な意見に驚く3人。



「意外だ。お前がジュピタリアを称えるような言葉を紡ぐとは…」



「そうか? じゃが、あ奴がお前たちを殺していなかったことこそが、あ奴の裁量の証明となったな。あ奴は本気で殺そうとした相手を仕留めそこなったりはせぬ。はなから殺すつもりはなかったのじゃろう」



顔を見合すアスラとディライサ。カトレアが質問を繰り出した。



「お師匠さまは… あの伝説の魔王と会ったことがあるの??」



「旧知の仲じゃ。ワシがドワーフだっちゅう事も理由の一つじゃがな。神話の中の登場人物が出て来たような存在じゃった。あのような美しい生き物をワシは今までに見たことがない…」



アンデルセンは、遠い空を望むような目付きで語る。



「お師匠が女の話をする時がくるなんて…」



何やら興奮気味のカトレアをそっちのけで、アンデルセンは続けた。



「お前たち。あ奴の魔法が解けたということは、まさかとは思うが… ジュピタリアは生きているのか?」



「ええっ!? 生きている!?」



カトレアが驚く。



「………なぜそう思う?」



ディライサが間を置いて尋ねる。



「簡単な話よ。時の魔法は術者自身か、より強大な魔力の持ち主にしか解けぬ。そしてあ奴以上の魔力の持ち主がこの世に存在するとは到底思えぬということじゃ」



つかの間の静寂が訪れる。アスラは目の前の湯飲みの中身を一気に飲み干した。



「そうね。今度彼女をここに連れてこようかしら、ねぇアナタ」



2人「連れてくる!?」



おいおいお前というジェスチャーで頭を抱えるディライサ。そんなディライサを真剣な眼差しで見つめるアスラ。



「…これも、時効なのか………」



呟くディライサ。



「まぁ深く追求はせん。じゃがワシは感謝するぞ、先代魔王よ。今日、こうして昔の馴染みとお茶を啜れるのはやはり、あ奴のお陰じゃ」



アンデルセンはどこかにいるかも知れない彼女に湯飲みを掲げると、グイッとそれを飲み干した。






-------------------------------------------------------------------------------------






[翡翠晶ブログは閲覧も非推奨]




英雄が復活したンゴwwwwwwwwww



1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:ID:djahiovjoi221


kwsk



2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:ID:32hoiigdjsalk


どうやら500年前の英雄様が復活なされたらしいwwwwwwww



3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:ID:djahiovjoi221


で、ソースは?



4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:ID:32hoiigdjsalk


→ pttp://vvv.cloudia.ulvania.com/home/page33/log/moldlane/blog/193


シスターが自分のブログで呟いてる。なお事実の模様www



5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:ID:9843uijoeraw


釣り乙。はい論破終了。



6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:ID:ppt3hht89zrv


おいwww この年増シスター地鶏あげてんぞwww 気も杉ワロタwww



7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:ID:djahiovjoi221


>>5


論破厨は帰れ



>>4


雷聖ディライサと白魔導師アスラみたいだね。祭壇を使えたというのが真実っぽい



8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:ID:32hoiigdjsalk


あとロナハってところのジジイがそれっぽいことぼやいてる



9:でろでろヨパライ巫女ッティ:ID:gioapdof3kjo77


みえた。精なる噛みナニの欲しの輝き☆



10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:ID:djahiovjoi221


>>9


誰wwwwwwwww



11:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:ID:ppt3hht89zrv


おいwww そんなことよりお前らこの年増シスター脱いでんぞwwww


→ pttp://vvv.cloudia.ulvania.com/home/page33/log/moldlane/blog/098


みwwなwwぎwwっwwてwwきwwたww



12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:ID:yrebiudosa2jo


人探しをしています。私にとってかけがえのない人です。24歳男性、身長182cm。


500年前に魔王城で行方不明になりました。槍使いです。皆さんのご協力を心からお願い致します。



13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:ID:djahiovjoi221


>>11


みなぎってんじゃねぇよwwwBBA専wwwそんなことよりアスラちゃんのエロ画像キボンヌ



14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:ID:9843uijoeraw


>>7


それってあなたの感想ですよね? やめてもらっていいですか??



15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:ID:ppt3hht89zrv


ぬいたらさめた(・ω・`)



16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:ID:32hoiigdjsalk


とりま俺氏、魔王軍と戦ってくるわ。もしかしたら英雄様もご参戦されるかもしんねーし



17:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:ID:djahiovjoi221


>>16


ラグロスによろしく!



18:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:ID:ppt3hht89zrv


>>16


ラグロスによろしく!





_____ラグロスによろしく!_____












次話、ラグロスによろしく!、未定です。


あと、感想と評価ほしいです!!

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