表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
深淵聖女(ディープマリア) ~転生魔王は勇者ご一行~  作者: 恩谷
JUPITERIAS(ジュピタリアス) 第二章 ~悠久の刻のテトラ~
34/61

34.SCIENTIFICATION

お待たせしました。訳が分からないと思いますが、作品は合ってます。


後半追加いたしました。

 



 



旧作品参考資料



挿絵(By みてみん)



挿絵(By みてみん)



挿絵(By みてみん)






[W.J.(Weiß(ヴァイス) Jahrhundertヤールフンダート)白星暦(はくせいれき)335年。東和(とうわ)連邦 埼玉郡 東雲山峡(しののめさんきょう) 浦山(うらやま)エクスペリメント](SF巨編 (りん)啓星(けいせい)シリーズ 第一部 PLUTANOID(プルタノイド)銀花(ぎんか)惑星(わくせい)~ より抜粋)




核離現象(ゲルニコ)と呼ばれる天変地異と第5周期スノーボールアースの急激な到来によって、氷と雪に包まれた白銀の世界と化した地球。かつての世界人口の1割程度になってしまった人類は、地下構((のち)のポラステリウム・エポック)の建設を進め、人類の収容を急いでいた。



山掴(やまつかみ)セクター、(ごく)セクター、閉鎖完了いたしました〉



「了解だ。後はセントラルセクターを閉鎖して完了だな。Etona Vool Biological Laboratory Department (エトナ・ヴール生物学研究局)の Plutanoid Second Series (プルタノイドセカンドシリーズ)の収容はどうなってる?」



〈今、最後のNo.009のテトラが収容されるところです〉



「了解だ。…これで、ほぼ作業は終了いたしました。アッシュヴィルシュタイン郷」



地下構総責任者の男が、巨人症で2メートル50センチ程あるゲルマン系の大男に話しかけた。



「ごぉ苦労だったぁぁ。我がぁ愛しのモルモットちゃんたちもぉー…元゛気そうで何よりだァ」



特徴的で威圧的な緩急のある喋り方で、大男は話す。



「おい、山城(やましろ)は何処にいる?」



総責任者がスピーカーの向こう側の従業員に問いかける。



「それが… 『拙者もテトラちゃんと永眠する…』だそうですー。人口冬眠器官(ハイバーポット)に自ら飛び込んでいきましたーー」



「ハァ??」



総責任者が思わず声を上げる。



「ブゥワッハッハッハッハッハ!! 我が愛しのモルモットちゃんにィ、随゛分とォーご執心な研究員がいるようですねェ!」



アッシュヴィルシュタイン郷が豪快に笑う。



「仮にも総責任者代理が何を… もういっそ本当に永眠して二度と目覚めるなと言ってやれ!!」



「無理ですーー、奴もう眠ってますからーー」



通信が切れる。ふと総責任者の男は天井をみつめて口ずさんだ。



「………この計画が例え成功したとしても、我々残された人類の辿る道は絶滅しかないのでしょうかね…」



「我々がァ生き延びられなくともォ…新人類が新たに繁栄出来ることを願っての、吾輩のプルタノイド計画である。彼ら彼女らに託すとしようではないかァ…」




_____人類の未来をォ_____






目の前に見えるのは無機質な機械の組み込まれた壁。真上に広がるであろう広大な白い大地を懐かしもうとも、既に時遅し。体温は低下し、次第に睡魔に襲われる。


外を行き来する研究員の足音と会話する声が、夢の様に頭に反響する。そして、その音も次第に聞こえなくなった。



『次に目覚めるのは何年後だろう…それとももう目覚めることはないのだろうか』



特殊な人口冬眠器官(ハイバーポット)のシリンダーの中を浮遊しながら、五十神(いそがみ) 出寅(てとら)はふと恐怖に駆られる。しかし、朦朧(もうろう)とした意識下では、恐れもただの概念であり、感情が連動しない。


次第に意識は失われ、そこに在るのはただの無だけになった_____






34.SCIENTIFICATION






[ポラステリウム・エポック 中層人口冬眠システム(ヒバプレーター)]




長い黒髪ストレートの少女は身体を一通り動かしてストレッチすると、左手で左側の髪の毛を左耳に掛けた。そして自身が収まっていた機械の右側部下にあるメーターの数字を屈んで凝視する。



「1056… そう… 1056年間も私は眠っていたのね」



一同「1056年!?!?」



オルデイル、クゥエイス、メルトの3人が非情に驚くが、その驚きは決して大袈裟なものではなかった。10世紀以上前の生物個体が、目の前で話しているのだから。



《クスッ》



テトラが笑う。



「1000年経っても日本語は変わってないし、なにより見た目が異世界人な人たちが日本語を喋っているのは、なんというか凄いですわね」



「ニホン語とは… 我々が話す共通語の事でしょうかね」



メルトが確信して言う。



「はい。私の居た時代にはそう呼ばれていましたわね」



「それを言うなら当時から日本語を話してた私は? ロシア系よ?」



ユノレヴィアがテトラになげかける。



「まぁそうなんだけど… ジュピタリアもお久しぶり」



テトラとメサリアが向き合う。



「…ホントに相変わらずの化け物ね。どう見てもただのラスボスです、本当にありがとうございました」



「久々じゃのぅ、テトラ」



「えっ、何々その喋り方? そういうキャラにしたの??」



「うっ…」



喋り方を突っ込まれて黙り込むメサリア。



「亜人や魔人の中には良くわからん言語を喋る種族もいるにはいるが、大抵は共通語だよなぁ」



「そうですねぇ。魔大陸の文化研究学者も共通語については解っていないらしく、魔人にも人にも亜人にも同時期に共通語を喋っている者が大勢いたそうですよ」



オルデイルがクゥエイスに振り、クゥエイスが答える。メルトが自前の魔導書(グリモワール)を数ページめくって見せた。



「あらら、発音は日本語なのに筆記体はまるで別物なのね…全く読めない」



テトラがのぞき込む。



「で、1000年経って私を目覚めさせたということは、何か理由があるんでしょ?」



「単純にもう眠らせておく意味もないと思ったわけよ」



ユノレヴィアが答えると、そうなのという表情で肩の力を落とすテトラ。



「おおっ…おおおっ!?」



後方から突如間抜けな驚き声が聞こえて来た。皆でテトラが眠っていたハイバーポットの隣へと移動すると、そこには先ほどの太った男が訳が分からないというような素振りを見せて床に座り込んでいた。



「ぬっ。ぬぬぬっ!?!? 何者でござるかお主ら…おおっ!! Plutanoid Second Series NO.010のユノレヴィアにNO.011のジュピタリア!? …そして」



男はテトラを凝視する。



「愛しのマイプリンセス!! テトラたんんんん!!!!」



男は1000年眠っていたとは思えない程俊敏な気持ち悪い動作で床を這い、テトラへと飛びついたところで彼女に踏みつけられた。



「ぐふぅ… さ、最高だおぅ」



「なんとなく嫌な気配というか、寝ている間違和感が隣にあったのはコレ(・・)か!」



テトラが何度もその生足で豚の様な男の頭を踏みつける。未だぬめりのある男の顔は踏みつけ辛いらしく、テトラの生足が何度も軌道修正されて男の顔の肉を圧縮するが、そのたびに男は気持ち悪い笑みを浮かべた。



「うげっ、キモッ! 1000年前の変態!?」



メルトが蔑んだ表情で男を見下す。



「なるほど。デブの変態でしたか」



クゥエイスが冷静に分析する。滅多に開眼しない彼の瞳が見開かれた。



ひとしきり踏まれると、満足したのか男は身体を起こして全員に向き合う。そして正座のまま改まった。



「初めましてだお。拙者は山城立馬(やましろたつま)。地下構 浦山エクスペリメント総責任者代理研究員でござる」



山城はお辞儀をすると、そのまま身体のぬめりで頭から床に転げた。



「おいおい、もう何が何だかわからねーぞ俺ぁーー!!」



オルデイルがたまらず吐き出す。



「つまりこの施設の実質トップの男よ」



ユノレヴィアが3人に説明する。



「なんで山城さんがココにいるのよ!」



「拙者のアイドル、JKのテトラちゃんと一緒に永眠するつもりだったでござる」



嫌な顔をするテトラに微笑み返す山城。



「だったらそのまま永眠してろ!」



テトラが山城を再びぶっ飛ばすが、やはり山城は嬉しそうだった。



7人は管制室の上の階の応接室へと移動した。そこは360度ガラス張りになっており、暗闇の中星空の様に光り輝く棺桶をプラネタリウムの様に展望出来る。部屋は真っ暗ではないが、暗転されていた。5人は目覚めた2人に現在の世界情勢をザックリと説明する。液体に浸かっていた2人だが既にその服は乾いていた。



「ジュピタリアが元魔王ねえ」



テトラが頭を抱える。



「異世界転移キター! なろう系でござるか?」



山城は何やら興奮気味だ。



「黒髪の姉ちゃんよ、頭を抱えたいのは俺たちもなんだよ」



オルデイルがそう言って、頭を抱えてしゃがんだ。



「随分とファンタジーな世界ね」



「そうよね~」



テトラとユノレヴィアが同意するが、メサリアは頭が追いついていない様子だ。



「テトラよ、お主はこれからどうするのじゃ?」



「…ああ、そういうキャラ設定なのね」



「……………」



「どうもしないわよ、今のところはね。この世界が恐怖に瀕しているのなら加勢も止む無しだけど、さっきの話だと私たち3人が力を持ちすぎているのよね?」



「正確にはわらわとお主じゃな。ユノレヴィアは能力は秀でていても攻撃力はそこまでないからの」



ユノレヴィアがそうねという風に両肩を上げて落とした。



「じゃああまり私たちが世界に干渉するのもどうかと思うわ。魔王軍とは戦ってみたさはあるけれど」



おおっと驚きの声が上がる。



「わらわは転生後じゃからあくまで人側じゃぞ? 魔王軍が圧倒的武力によって攻め入ってくれば、その時はわらわが人の守りとなろう」



メサリアが立場を表明する。



「いざという時に人側に切り札がいるってだけでも、私たちからしてみれば御の字ですね。魔人と人の力量差は明らかですから」



メルトが冷や汗を浮かべながらも口元を緩ませた。



「おいおい、お姉さん方は旧世界とやらのなんなんだ? おじさんにも分かりやすく教えてくれよ」



オルデイルがテトラに質問を投げかける。



「そうですね… 山城さん、もう機密も何もありませんよね? 喋っても?」



「1000年後の世界で、しかも拙者たち4人だけしかこの世にいないのだから、機密も何もないでござるよ」



テトラは山城に許可をとると、一歩前へと踏み出した。



「私からしたら、ついこの前の話って感じなんですけどね_____




「遥か昔、旧人類は絶滅に瀕していました。そこでとある生物学研究機関が人体実験を始めました。その名もプルタノイド計画。




 偶然入手できた我々の女王(ははおや)である印南遥(いなみはるか)という悪魔の子(プルタン)、人間の突然変異体。その遺伝子情報を持たせた人造人間を彼らは悪魔の子(プルタン)に似せたモノ、プルタノイドとして生み出していきました。




 プルタノイドはあらゆる能力が人間よりも秀でており、あらゆる異能の力と、あらゆる環境に適することができました。




 そして、その研究体最後のシリーズ(セカンドシリーズ)の最後の3体の人造人間、それが私とユノレヴィアとジュピタリアです」




それを聞く現地の3人組が息を呑む。メルトが口を開く。



「人造人間? 作られた存在?」



「正確には提供された卵子と精子の改良による人造ね。私も元々はとある旧家から提供された遺伝子から生まれた個体。だから苗字があるわ」



「なるほど」



クゥエイスが顔を上げた。



「旧人類というのがみんなあなた方のような存在というわけではなく、あくまであなた方が特殊。他はいたって普通の人々ってことですね」



4人が頷く。



「せ、拙者は普通の人間でござるよ」



一同「……………」



山城の言葉に対して何か思うところがあるのか、他の皆は黙り込んだ。



「そもそもここは地球なのでござるか?」



「地球かどうかはわらわには解らぬが、この星は青聞(セイヴン)と呼ばれておるな。1000年前の天変地異がどのような仕組みなのか、専門家のお主が分からぬのであれば、わらわたちに解るわけがないじゃろう?」



「少なくとも、この施設周辺の外観は浦山エクスペリメントのままだったわよ? その周りが異世界過ぎるけれども」



山城の問いにメサリアとユノレヴィアが答える。現地組3人は困惑しながらも話を聞いていた。



「私からしたら、ついさっきまで魔王軍と人の対立の情勢で頭一杯だったんですけれども、今に至っては段階を2つ3つ飛び越して神々の話を聞いているようです。ちょっと休んでも?」



「そうですねぇ、私の頭脳をもってしても理解が追い付かないようです。少し時間を置いた方がよろしいかと」



「俺は最初から最後までさっぱり全くわからねーぞおお!!」



メルト、クゥエイス、オルデイルが口を揃えて言う。



「そうね。私も着替えとか欲しいし、久々に湯浴みとか食事とかしてみたい」



「管制室のとなりの住居区画に倉庫やら色々あったわね。行ってみましょう」



ユノレヴィアが締めくくった。



「神々の話の前では魔人も人も仲良く等しく困惑するんですねぇ」



クゥエイスがメルトに振る。メルトは軽くクゥエイスを小突いた。



「クゥエイスさん、そんな皮肉を、ってまぁそうなんだけど」





_____他の皆が下の階へと移動する姿をみながら、メサリアはひとり、暗い部屋に立ち止まって先ほどからの困惑の連続に向き合う。




ポラステリウム・エポックの解放とユノレヴィアやテトラの覚醒、それによる旧世界の記憶/知識の濁流。




本来ならば現地組3人と同じくただひたすら困惑していたところ、当事者でもあるため真実だという確信がある。




メサリアは階下へ降り行くユノレヴィアを見つめた。かつてのクレステル先輩の面影は全くない。自分の前世が魔王であるという事実に押しつぶされそうになっていた時、心の支えとなっていたのは先輩であったが、その先輩はもういない。


先輩がメサリアの前世が魔王だという事実を受け止め、それでも友であると認めてくれた時メサリアは本当に救われた気分だった。しかし人であり続けようとしたメサリアを人に繋ぎとめていた先輩は、メサリアを置いてユノレヴィアへと変わってしまった。




覚醒した記憶と知識に驚く自分と、理解している自分が混同していた。メサリアは自分の変わり果てた姿を見つめる。




『なんじゃ? わらわはこの姿になってもまるで違和感すら抱かぬ。それは然るべきことじゃろう? わらわの魂の姿なのじゃ、本来の姿なのじゃからな』




それではこの困惑はなんなのだろうか。このままで良いのかという戸惑いをメサリアは感じていた。メサリアは………




「ん……… メサリア?」




暗い部屋の中、彼女は自分のモノであるはずの名前を静かに呟いた_____






-----------------------------------------------------------------------------






[ポラステリウム・エポック 中央居住区画]



「うわぉ! この服もいい!! この子、パーツが良いから何着ても様になるのよねぇ。見て見ておデブさん、どうかしら??」



「オホッ! ユノたんセンス最高でござるよ! テトラたんカワユス!!」



「………」



居住区画の部屋の倉庫から見つけて来た衣服をテトラに着せ替えて楽しんでいるユノレヴィアと山城。その様子を現地組3人は向かいのソファーにくつろぎながら眺めていた。



「なんでこんな墓場みたいなところに煌びやかな衣服が色々揃ってやがんだぁ? …つーか、クレステルの奴、もう完全に別人じゃねーか。なんだかオジサン悲しくなってきたぜ」



「私は頭が追い付きませんよ。クレステルさんがユノレヴィアさんに変身して、それに驚く間に一世紀前の旧人類の封印が解き放たれて… もう魔王如きで驚いていられませんよ」



「魔王如きとは聞き捨てなりませんねメルトさん《キリッ》 しかし、真祖クラスが3人も揃うと、我々はもはや彼女たちの導きを待つだけですねぇ」



オルデイルは寂しそうな表情を見せ、メルトは半開きの目で3人を眺め、クゥエイスは目を開眼させていた。


そんなところに遅れてメサリアが入ってくる。



「何やってたんですかメサリア。随分と遅かったですね」



「………」



「な、なんですか?」



「お主、わらわをメサリアと呼んだか? クククッ、わらわはジュピタリアじゃ、間違えるでない」



メサリアが悪役の表情で言葉を返す。



「いや、そういうのいいですから。これからの指針を示してください。アンタの用事が済んだら、私は直ぐにでも旧魔王城ジュピタートライデントへ戻ってアスラ様とディライサ様を目覚めさせたいです」



「よかろう。わらわのすべきことはただ一つ。わらわの本体の眠る人口冬眠器官(ハイバーポット)を確認して、その肉体を回収することじゃ」



「回収!? 本体の中に戻るんですか!?」



メルトが眉間にしわを寄せる。横耳で聞いていたテトラが向かいの4人組へと視線を移す。



「戻るというより、前世の身体のポテンシャルを引き継ぐという感じかしらね。ベースは今のままだけど、以前の身体の能力を全開放できるようになるわ。合体と言ったところかしら」



「い、以前の魔王に戻るということではないですよね??」



テトラの説明に慌てるメルト。ユノレヴィアがそれに答える。



「以前よりもパワーアップするわね。だってメサリアは以前のジュピタリアが扱えなかった神聖魔法を習得してるんですもの。補完されて完全体になるわね」



一同「完全体!?!?」



「でもベースが人間なんだから、能力以外は今のままなはずです。その、ジュピタリアの転生後のメサリアさんの事は知りませんけれど。ねぇジュピタリア?」



「………」



テトラの問いかけに対して、メサリアは俯いて黙っていた。



「おいおいおい、クレステルに続いてメサリアの嬢ちゃんまで跡形もなく消え去ったら、オジサンめちゃめちゃ悲しいぞ! ヴァナンからの半月足らずの付き合いだけれども、俺を置いて行かないでくれよぉ!!」



割とガチで悲願するオルデイルは涙目だった。



「メサリア? 大丈夫ですか?」



メルトがメサリアの顔色を近くまで来て伺う。



「大丈夫じゃメルト」



晴れない表情で返事をするメサリア。



「とりあえず調べてみるでござるよ。先に管制室に戻るお!」



山城が1人管制室へと消えていく。メルトが目で追う。



「調べるって何を??」



「恐らくわらわの本体の在り処じゃな。山城はこの施設のスペシャリストじゃからのぅ」



「じゃのぅ!」



メサリアの語尾を反復し、テトラが立ち上がって腰に手をやった。紺色の生地に金色の柄の入った和服を着ているその様は誰が見ても完成されていた。



「ワシの方がジジイ言葉しっくり来ないかのぅ?」



「そうじゃのぅ!」



テトラとユノレヴィアがメサリアをからかうが、彼女からの反応はなかった。




「な、なんだってぇぇぇぇええええーーー!?!?!?」




突如、管制室へと戻った山城の叫び声がこちらへと届く。居住区画で寛いでいた皆は、お互いに顔を見合わせ、自然と管制室へと足を動かした。



「どうしましたかー? ヤマ…やまデブさーん!?」



「随分とわざとらしい驚き方ですねぇ、いやはや」



メルトとクゥエイスを筆頭に皆が管制室へとなだれ込む。山城は皆に後ろ姿をみせるが、振り返ることなく目の前のモニターの一点を凝視していた。メサリアが覗き込む。



「なんじゃ? わらわの身体の在処に問題でもあったのか?」



「こ、ここを見るでござるよ」



メサリアと後から来たユノレヴィアが山城の指した箇所を凝視する。そこには数字が表示されていた。ユノレヴィアが読み上げる。



「生体反応………3!?!?」



   一同「3!?!?」



「どうゆうことじゃ? この施設に眠っておるのはわらわの身体だけじゃなかったのか??」



「ええと、まぁ後ひとつは分かるんだけれどね…」



そういうとユノレヴィアはメサリアから少し視線を逸らした。



「メサリアたんのハイバーポットの位置は表示されているでござる! だけど、稼働しているもう一台の場所が表示されないでござる、故障かな?」



「稼働しているのは2台なんじゃな? つまりわらわ以外の卵に2人いると… 一体誰じゃ? わらわたち以外の旧人類?」



「旧世界からの渡航者…」



メルトが呟く。



「と、とりあえずメサリアたんのハイバーポットへ行ってみるでござる。E-3022でござるよ」



山城は、タブレット端末に表示された地図を片手に、その場の皆を先導した。一同は最初に入って来た入口よりも更に下層のフロアへと降りてゆく。


透明のフロアの下に見えたパイプだらけの淡く発光する空間だ。そして、最下層に見える巨大な球体へと辿り着くと、山城は扉にコードを打ち込んだ。


鉄の扉がたちまち開かれ、中側から冷気が漏れ出す。



「この中でござる」



中へ入ると、機械の張り巡らされた壁に包まれた細い通路を突き進んだ先に、既に見慣れた卵型のハイバーポットが壁にめり込んでいた。



「ん゛な゛ッ゛!!?」



山城の後ろにいたメサリアが思わず声をあげた。それもそのはず、ソコにあったのはかつてのメサリアの裸体と、その胸に顔を埋めるように抱き合っている鍛え上げられた青年の裸体であった。



「キャッ!?」「あらあら♡」「うおっ!? 最中だったかァ?」



慌ててメサリアが卵を塞ぐように立ちはだかる。



「み、見ないでくださいい!!」



「メサリアが2人!! それにその男性…まさか!?」



「そうよ。彼こそが500年前の勇者、フレイダ・ディアステラよ」



クレステルばりのにやけ顔で、ユノレヴィアはそう言い放った_____




















次話、来週予定です。


あと、評価と感想欲しいです!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ