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深淵聖女(ディープマリア) ~転生魔王は勇者ご一行~  作者: 恩谷
JUPITERIAS(ジュピタリアス) 第一章 ~二人の真祖~
19/61

19.丑三つ時、件の情報屋(上)

警告を受け。表現や展開などを全年齢向けに修正。オリジナルはミッドナイトへ移行しました。


この世界の登場人物のバラエティ、世界観、ご堪能くださいませ。

[ノグルシア連邦 ノーブルムース ギルド『賢者(けんじゃ)(やかた)』]



(時間軸にして新章第8話前後のお話)



賢者の館では、午前0時を過ぎると全館に配備された『冷却の刻印』という冷風を生成する魔法陣の刻まれた装置への魔力提供が途切れる。数年前までは24時間常に魔力提供されていたのだが、公共魔力の削減ということで省エネが決まったのだ。


とは言え、季節はもう夏の終わり。深夜時間帯ともなると、外のそよ風だけで十分すぎるくらいには涼しい。本日も冷却の刻印の稼働音が途切れると、館内は静寂に支配された。



「あ~、もうずっと夜勤でいいわぁ~。応接のノウハウすら忘れちゃいそうだもの」



白フリル付きの黒いリボンで両側の長い髪を束ねた、ブロンドツインテールの美少女が呟く。先月から賢者の館の深夜帯シフトの受付嬢となったサウザリア・ルーデンスは、先ほど同じく深夜帯シフトのカフェ従業員であるポニカ・スウェールに淹れてもらったブレンドコーヒーを一口啜った。


先々月まで昼シフトの受付嬢であったサウザリアは賢者の館の看板娘であり、幼少期から受付業務を担ってきた大ベテランだ。彼女の持つ冒険者の人脈はとても広い。またノーブルムースは最先端の帝国の情報に精通する街であり、そこの冒険者ギルドの顔役であった彼女の人気はとても高い。遠い国から彼女に会いに来る冒険者のファンが大勢いるくらいだ。


しかしそんな彼女もとうとう疲れ果て、上司に時間帯を変えてくれと相談したのだが即却下されてしまう。そこで幼馴染である帝国の月読姫(つくよみひめ)であるウラナ・ブリュンタールに頼んで、ウラナLOVE!な祖父であるジリウス・ブリュンタール(賢者の館のオーナー)へ直接時間帯の変更を認めさせたのだった。


『晴れて』サウザリアは『闇夜の元』夜勤の受付嬢。彼女がいないと嘆く冒険者たちが多いようだがもう知らない。既に気に入ってしまった夜の静けさに、彼女の日頃のストレスはたちまちどこかへ霧散していった。



「今度ウラナにお礼のお茶菓子送りましょ」



ノーブルムースは眠る街。20時を過ぎると大抵の店は閉店し、22時には明かりも消える。そうなると街を出歩く人も自ずと少なくなる。


そんな中賢者の館だけ24時間営業なのには理由がある。魔王軍との戦いの最先端である帝国からの使者や情報屋を夜間問わず受け入れ、常に最新の情報を掲示できる体制を取っているのだ。サウザリアの知る限り冒険者ギルドで24時間営業をしているのは帝都ステラザイルの剣の館とうちくらいだ。



「おかげ様で私はこの静寂を得られたわけ。持つべきものは著名な幼馴染のコネよ!」



そんなこんなで口ずさんでいたところ、人の気配を感じて口に手をやるサウザリア。深夜とは言え全く冒険者が来ないわけではない。彼女はゆっくりとクライアントオーダー掲示板のスペースに目をやった。


そこには白いローブを頭から被った妖艶なウェイブブロンド髪の女性がいた。ここ数日何度か見かける人で、顔はよく見えないが恐らくは恰好からして聖女だと推測される。その女性は毎度掲示板だけをチェックしに来て、クライアントオーダーを受付に持ってくることはしなかった。



『人混みを嫌って夜に忍んで来てるって感じよねぇ~、わかるわ。私ももう人混みは嫌だし。でも冒険者であるからには、受付に持ってこないと仕事は始まらないゾ、っと』



白いローブの娘はやはり今日も見ているだけだった。



『気になるのはあの子、いつも端のコーナー見てるのよね。あれって難度A級あたりの依頼よね。まさかS級? いやいやいや、どう見てもそんな強そうに見えないし』



そこでサウザリアは思い出す。冒険者のランクには特権があり、クリスタル級以上の冒険者の場合は受付を通さずに依頼達成報告だけをギルドマスターやその直下の者にすることが可能であった。それでも大抵は受付を通すものだ。サウザリアは何度もクリスタル級冒険者の依頼を受理した経験がある。


しかしクリスタル級以上の依頼となると達成自体が難しいので、先に達成した者の事後報告を可能とし、更には機密保持の為その依頼が執行中であるという情報すら開示しない場合があるのだった。



『うーん、確かに最近何度かS級の依頼書を掲示板に付けたり外したりした覚えはあるけど、依頼が達成された場合だけじゃなくて取り消された場合も取り外すし。うーん…それにしても』



サウザリアは息をのむ。



『デカいわね』



ローブの上からでもわかるその娘の牛のような乳房を横目に、彼女は心の中で呟いた。



「いや、でかけりゃいいってわけでもないし、私だってHカップあるし十分よ!」



肘をついていた両腕を持ち上げ、自前の胸を両脇から挟んで強調するサウザリア。



「ウホッ、何言ってるでござるかサウザリア殿!」



《ひゃぁ!》



いきなり真横から男の声がして飛び上がるサウザリア。そこには背の低い眼鏡をかけた小太りの男が大きな冒険者カバンを背負っていた。



「いきなりビックリするじゃない! 声をかけるときは気を使いなさいよモハメッド!」



「サウザリア殿はHカップ、いい情報を手に入れたでござるよぉ、ウヘッ」



褐色肌で白いターバンを巻いたカッパー級冒険者モハメッド・ジ・オークシャーは気色悪い笑みを浮かべた。南の商国アバンテ出身の冒険者でノーブルムースを拠点としている彼は、生産や発掘などの難度C級の依頼ばかりこなしている、ギャザリング専門だ。


元々深夜型らしく、サウザリアが先月から深夜シフトに移行して以来頻繁に顔を合わせている。喋り方や雰囲気は気持ち悪いが不快には思わない程度らしく、変な気を遣わずに済む話し相手としてサウザリアは接していた。



「アンタ、冒険者マニアでしょ? だったら今あそこにいる冒険者! 誰か知らない?」



知っていたら儲けもの程度の雑な振りをモハメッドにするサウザリア。



「あそこって何処でござるか? 誰もいないでござるよ?」



「あれっ? あ、ホントだもういない」



金髪白ローブの聖女らしき冒険者はもうそこにはいなかった。



「最近ちょっと気になってたのよねぇ、有名な冒険者さんだったら挨拶ぐらいしておきたいし」



「サウザリア殿ならば、著名な冒険者なんて沢山知り合いにいるでござろう?」



「勿論よ! ノグルシアにいるからにはクリスタル級の葉隠(はがくれ) 投十郎(とうじゅうろう)様とプラチナ級の鎖縛(さばく)零士郎(れいしろう)様とは良く話すわ。ギルド従業員会議で大賢者様ジリウス・ブリュンタールとも話すし… あと小さいころノーブルムースに立ち寄った勇者様と話したわよ」



少し夢中に話してしまって、実は割と自分は冒険者オタクなのではないかと思うサウザリア。



「厳密にはデューラン閣下は冒険者じゃないでござるが、クリスタル級に部類されるのが一般常識でござるな」



「ったく、細かいわね!」



「そういう(さが)でござる。しかし、今の方々は土地柄会う確率は高いでござるな。もっと他の国の冒険者たちとは知り合いじゃないでござるか?」



「今のは序の口よ序の口! そうね… 青天照(せいてんしょう)のイライザ様なら会ったことある。神聖ウルバニア皇国の水の都出身よ、あの方は」



「オホッ! 青天照きたぁああ!! 人類最強の『(とき)番人(ばんにん)』エスタリザ殿と獣人バルゴス殿、アダマンタイト級が二人もいる伝説の冒険者チームでござるからな」



「そっちに反応するのね。まぁエスタリザ様はさすがに会ったことないけど、っていうか多分受付嬢通さないでしょあの方は」



徐々に白熱してきた二人組。サウザリアは「オホン」と一息ついて手元のコーヒーを啜った。



「あと、これはあまり誰にも話したことないんだけど… 私が帝国に留学していた時に師匠と呼んで親しんでいた人がいるの!」



「だ、誰でござるか?」



「…二つ名持ち」



「う、うむ」



「…クリスタル級の魔女」



「『道化師のグロリア』! でござるか?」



「ブブーーッ! ちがーう! まぁ確かに道化師様は有名だけど。私の師匠は『断罪のネフィルロッツェ』様!」



「ええええ!!??」



モハメッドは一際大きな声をあげる。



「シィーーーーッ!! 声が大きい。だから誰にも言ったことないって言ったでしょ!?」



「信じられないでござる! クリスタル級冒険者であっても大抵はチームに所属してるでござるが、あの一匹狼な断罪殿と師弟関係とは… あ、例外は一人いて、漆黒のゼネス殿もチームに属さないでござるな」



「まぁお師匠様は弟子は取らないって言ってたけどね」



サウザリアは思い出す。帝都ステラザイルの魔法学院でのネフィルロッツェの言葉を。



『アタシは弟子は取りませんがルーデンス、テメェは素質があります。なのでアタシが魔法省に滞在している間のみ面倒を見て差し上げましょう』



過去を懐かしむ彼女は遠い目をしていた。



「それってもう弟子を取ったと言ったようなものでござろう。凄いでござる!」



「フフッ。あ、漆黒のゼネス様で思い出したわ。私、巷で話題の亡国の戦士たちとのコネが皆無なのよね。見たことすらないわ」



「うっはぁ! 亡国の戦士!! そりゃあもう、2年前のグランゾーラ侵攻で滅んで以来、夜光の祭典ギルドの生き残りの話題は絶えないでござるからな!! クリスタル級はギルドにつき1人いれば多い方なのに、夜光の祭典には3人もいるでござる!! 特に…」



一同「深淵のメサリア!」



「その話、俺も混ぜてくれないか?」



カフェスペースの方からミスリル金属製の防具を纏ったガタイの良い剣士が、コーヒーを片手に近づいてきた。短髪黒髪で両耳にピアスをした男で、三日月型の大刀を背負っている。



「あら、ジェイソンさんお久しぶりね」



「ルーデンス嬢、相変わらずお美しい」



ジェイソンはわざとかしこまった風にお辞儀すると、モハメッドに向き合った。



「初めましてだな。賢者の館の剣士ジェイソン・マクガハンだ。階級はゴールド。よろしくさん、アバンテの冒険者オタクさんよ」



「あ、やはりアバンテ出身ってわかるでござるか… カッパー級のモハメッド・ジ・オークシャーでござる。よろしくでござるよ」



ターバンを触りながらモハメッドが自己紹介をする。



「食いつくわねぇー、やっぱり亡国の戦士の話題って興味深い?」



「亡国の戦士もだが、特に深淵聖女(ディープマリア)だな、っとその前に」



ジェイソンがサウザリアに待ったを掲げ、後ろを振り向いた。



「そこの隅っこで佇むお兄さんよ、あんたも来いよ。興味津々って感じだぞ?」



追ってサウザリアとモハメッドが視線を向けると、そこにはいかにも自分は興味ないと言いそうなポーズを決めた細見長身でブロンド長髪の聖騎士がいた。女性のように長い髪とまつ毛で白銀の鎧に身を包んだ男だ。



「話は… 聞かせてもらった」



男が3人に歩み寄る。



「アリシア王国、鋼鉄教会(こうてつきょうかい)所属の聖騎士(パラディン)ビリッサム・ゼッシオ。階級はプラチナさ」



「えっ、プラチナ級冒険者!?」「おいおい鋼鉄教会かよ、また随分と凄いところから来たな」「アリシア出身でござったか」



3人がそれぞれ反応すると、ビリッサムは続ける。



「僕の肩書など大したことじゃないさ。これからする話の登場人物たちと比べたら、僕らなんて地を這う蟻。…お招き感謝するよ」



ビリッサムは3人分の椅子をカフェスペースから持ってきた。見かけによらず力持ちのようだ。


モハメッドとジェイソンとビリッサムが椅子に腰をかける。サウザリアはそのまま受付カウンター備え付けの業務椅子に座ったままだ。見渡す限り現在賢者の館にいる殆どの者が、受付カウンター前の一か所に集まったことになる。



嬉しそうにサウザリアは口を開く。



「この夜更かしさんどもめ。もう深夜2時よ?」



「それを言ったら君も十分夜更かしだろ?」



「私はいいの! 仕事中だから!」



「こりゃまた楽な仕事があったもんだぜ」



ジェイソンが話を切り出した。



「で…だ。ぶっちゃけどうなんだ。話は聞こえてたが、この中で亡国の戦士たちに詳しい奴、もしくは会ったことがあるヤツでもいい。いるか?」



「せ、拙者は会ったことはないでござるが、結構詳しいほうでござるよ」



「聞いてたならわかるでしょー、私はないわよ」



そして3人は最後の一人を見る。



「…おおっと。ご期待に応えられなくて済まないが、会ったことはないよ。ただ、隣国のツヴァイエルスの剛雷の三騎士とは面識があった。1人欠けて今は2人…亡国の勇者パーティ2人と再結成したそうだね」



「知ってるわ、特にその三騎士の亡くなった方。屋根裏番衆『紫苑』の鎖縛の零士郎様の妹君だもの」



「あぁ、俺も知ってる」「レイナ・ホールチェイン殿でござるな」



「腹筋の美しい褐色の戦乙女だったさ…」



少ししんみりし出したところ、気を取り直して続けるビリッサム。



「えーと、モハメッド君だったかな? 君はあと二人は知ってるね?」



「雷鳴のセシル殿とキース・フラウデル公子殿でござるな」



「そうさ。セシル・トル・ライデンは誠意の塊。普段は優男、戦闘時は勇敢な男。その名の通り雷系の、確か中級魔法まで操って仲間の武器に雷元素をエンチャントし、自らも戦う魔法剣士さ」



「凄いわよね、魔法剣士って中々いないもの」



「アダマンタイト級の緋炎のアルヴェント殿が炎の魔法二槍使いで、エスタリザ殿が風と氷のデュアル魔法レイピア使いにして加速系補助魔法も使うでござる」



一同「やべぇ」「ヤバいわね」「やば」



「つまり、雷鳴のセシルはアダマンタイト級のやっている器用さを持つ、と」



ジェイソンが結論付けるとビリッサムは頷いた。



「そして、フラウデル公子は彼の雷系魔法を受けた武器の帯電時間を増幅し、何度も追加で雷撃を撃てるみたいだね。確か、最高記録5分だとか」



「え、それってキースさんは魔法も使えるってことよね?」



「いや、彼は魔法の素養はないよ。確か固有スキルみたいなものだとか言っていたね」



「でだ、やっぱり本題は深紅の槍刃なんだが…」



「あなたそればっかりね、少しは情報提供しなさいよ」



「だーっ、分かってるぜ。面子くらいはしってるからモハメッド君、掘り下げはよろしくな… まずはやっぱりよく耳にする爆乳な魔女のねーちゃんだな!」



サウザリアがジェイソンを横目で睨む。



「えーっと深紅の槍刃のファーストメイジのクオリア・オッドニッサ嬢でござるな。旧貴族オッドニッサ家の長女にして神聖魔法と火炎魔法のデュアルソーサラー。オッドニッサの家系の特徴であるように右目が赤、左目が緑のオッドアイでござる」



「セント・ウルバニア製の特注フリーデン魔女装束を纏っており、胸を8割くらい晒し、アンダーはコルセット… 胸のサイズはOカップでござる」



一同「Oカップ!?!?」「ハァ!!??」



ひきつった顔でサウザリアが申す。



「後半やたら変な方向に詳しかったわね。でもとりあえず… デカすぎるし、痴女じゃない!!」



「やべぇなソイツぁ、会ってみてぇ!!」「素晴らしい」



「彼女のファンクラブがあるでござる。そこからの情報提供でござろう」



「んで、極端に情報の少ない、亡くなった狩人さんな」



「えーっと『魔弾(まだん)射手(しゃしゅ)』ミィルダ・ドイトル殿でござる。彼のクラスはアーチャーでござるが、実は持ってるスキルの半分はアサシンスキルだったようでござるな。二年前に情報は開示されてて、あの勇者デューラン殿と数年間一緒のパーティで魔王軍と戦っていたでござる」



「あ!!」



そこでいきなりサウザリアが声を上げた。



「子供のころデューラン様に会った時に一緒にいた帽子で目元が見えない顎鬚のおっちゃん!! 会ったことあるわ!!」



亡国の戦士との面識があったことに喜ぶサウザリア。



「魔弾の射手って名前は子供の頃に勇者の本読んでれば誰もが知ってるな」



「噂じゃクリスタル級への推薦を蹴ったみたいでござる」



「んで、ガタイの良い糸目の大楯の男」



「アーサー・ユングリッド殿でござる。ゴールド級の植物を操るドルイドで、大地系の下級魔法も使う、小説好きのオタク。拙者と同じ喋り口調だとかなんとか」



一同「…」「あら、気が合いそうね」



「んで、行方不明の勇者」



「振りが雑でござるなジェイソン殿」



「うっせ! はよ詳細詳細!」



「勇者ナハト・レイラルド殿はプラチナ級で、オッドニッサ嬢の火炎魔法を付与された龍槍(ドラゴンランス)使い。彼の持つ槍は緋炎のアルヴェント殿の持つ槍と同じクレイドル・アンデルセン作でござる」



「え、同じ作者なの?」「500年前、フローレンツィア王国の伝説の刀鍛冶だね」



「ソイツか! 許せねぇ!」



突如ジェイソンが言う。



「ソイツって刀鍛冶がかい? ジェイソン君」



「ちげぇちげぇ、そっちじゃなくてナハトって野郎だ。勇者ご一行で魔法武器使いってこたぁ確実にデキてるじゃねぇかよ、なぁ?」



サウザリアが何をって顔をしているが男性陣は分かっているようだ。



「魔法を付与(エンチャント)するだけなら普通だが、付与する魔導士と武器の使い手との間にマナの絆が紡がれているかないかで攻撃威力が3倍以上違う!」



そう言ったジェイソンの言葉で、サウザリアの顔が少し赤くなる。



「つまり冒険者チームに魔法武器使いがいて魔導士が別にいる場合、その二人は確実に儀式をしてるってぇことだ! 男女ならごもっとも、男同士ならホモォで女同士ならユリユリだぜ!」



「俺が言いたいのは、そのナハトって野郎がエロエロムチムチのクオリアさんのパートナーだってことだ。勇者パーティならなおさらだ。戦いの前なんて確実だぜ!」



うんうんと他の男二人も相槌をうった。ジェイソンは続ける。



「男の魔法武器使いは良い魔女を選べ。男の魔導士は良い女戦士を選べ。男の教訓だろ!」



「冒険者チームに男女の魔導士・魔法武器使いペアがいる場合、その二人のカップリングで妄想しろ。ほぼ確実にデキてるから。男の常識だろ!……ぶろぺッ!!??」《ドガッ》



サウザリアの鉄拳が顔面にめり込み、ジェイソンは仰向けにぶっ飛んだ。



「最低」



ロビーのフロアに仰向けになるジェイソンは天井を仰ぐ。そこには水色の布があった。



「ぐほぁあっ!!」《バキッ》



スカートの中を覗かれた女性が無言でジェイソンの顔面を踏みつけた。そこに立っていたのは真っ白なメイド服姿の栗毛ツインテールの女性で、年齢はサウザリアと同じくらいの20歳前後ってところだ。彼女は両手で丸いトレーを持ち、淹れたてのコーヒーが入ったポットと3人分のカップを持参している。



「暇だから来ちゃった!」



「あらポニカじゃない、待ってたわよ~」



サウザリアが歓迎すると、カフェ従業員ポニカ・スウェールはトレーを受付テーブルに置いた。



「今日はもう誰も来なさそうだと思ってロビーを見渡したら、ここだけ賑わってたから気になって」



「有名な冒険者の話をしてたのよ。特に今は亡国の戦士の話ね」



「もしかして冒険者の話なのにエロイ話題に持って行ったんですか? この人は」



ポニカはジェイソンを見下す。ジェイソンが身体を起こして言った。



「良いかかと落としだったぜポニカ嬢ちゃんよ。ちなみに俺は男の代弁をしただけだ」



「なぁにが代弁者よこのセクハラ男は」



ポニカはこなれた様子でジェイソンをあしらう。どうやらいつものやり取りらしい。ポニカは他の二人にも挨拶すると、カフェスペースから椅子を持ってきてサウザリアの斜め横へと腰かけた。手慣れた動作で人数分のコーヒーを入れてから小皿に砂糖と粉末のミルクを添えて全員へと配る。



「んん~良いね。有難く頂きますよノーブルムースのメイドさん」



「かたじけないでござる」



「良いのですわ。誰も来ないから余ってしまって」



5人の男女が静寂の館の受付前に揃う。入館者は一向に来る気配はない。



「話に移る前に、コレを見て欲しいんですよね」



ポニカが雑誌を取り出した。4人が注目する。サウザリアが読み上げた…



「ウルバニア大半島 キャラクターガイドブック&強さランキング!?!?」






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次話「丑三つ時、件の情報屋(下)」来週です。


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