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BBA AW

 火の玉がババババババババババババババババババ!


 連続でバババババババババババババババババパ!


 絶え間なくばばばばばばばばばばばはばばばばばばばばばば!


「あばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばは」


 皮膚が溶け落ち、脂が飛び散る。腕が炭化し千切れて吹っ飛ぶ。バラバラに砕け散ったはずの四肢は細い糸のようなものに引き寄せられる。まるで粘着性の液体のような体に、次々と炎の球がぶつかっていく。


 もうこの時点で、ババアも気づいちまったはずだ。


「む、むり、なんだほ」


 炎の勢いが落ち始めてきた。もう限界が近いはずなのにババアは諦めが悪いらしい。


 これ以上続けても俺を殺すことは出来ない。俺は、決着をつけるべく、ババアの方向に向かって、全力で突進する。


 腕が千切れようと脚がもげようと腸が零れ落ちようと脳みそが吹き飛ぼうと構うことは無く。スペードをグングンと上げていく。


 そして、肩を前に迫り出して、タックルをかました。


 大型トラックと正面衝突した際と同等の衝撃をババアに加えたはずだ。……てか、大型トラックってなんだよ? ……まあ、良い。


 小柄な老婆は呆気なく吹き飛ばされ、遥か数十メートル先に転がり落ちた。そして、そのままピクリとも動かなくなった。


「死んだ、か」


 実に命とは儚いものだ。人間にとって、いや生物にとっても、生きることとは、命を縛り付けるための鎖のようだ。


 俺が今、その鎖を断ち切ってやったぞ。ババア、お前の命はもう解放されたんだ。安らかに眠れ。


 おかしな方向にひん曲がっている老婆の身体を見詰める。



「……う、うぅ」



 微かに呻き声が聞こえた。


 この状態でまだ生きているというのか。全くしぶとい奴だ。


「……あぁ、うぁ」


 ……なぜ命にしがみつくんだ! そんな苦しい思いをして、醜い姿に成り果ててまで、何故抗うのだ! そんな下らない命なんて手放してしまえば良いのに! ……そうすれば、どれほど楽だろうか。


 変形した老婆の奇怪な身体は、脚と腕をずりずりと地面に引きずりながら、ジワリジワリとこちらに近づいてくる。


 まだ動けるのか。どこにそんな力が余っていたんだ。あの時は既に火の玉の威力が落ちていたはずなのに。


「……はぁ……ぁぁ」


 ついに老婆は俺の足元まで辿り着いた。


「……ぅが、ぁぁ」


 そして、俺の踝にしがみついた!


「くそっ、離れろ!」


 脚を蹴りあげて振り切ろうとするも、老婆の手は離れない。それどころか、握る力が強くなっている。


「ふ、ふざけるな! 早く離せ!」


「……あぁ、ぁ……ぁっ……」


「あああああ!!!!!!!」


 しがみつかれた反対の脚で何度も何度も蹴った。


「ガホッ、ゲホッ……」


 老婆は血をまき散らしながら、ようやく地面に転げ落ちた。


「……はァ、はァ」


 すっかり興奮してしまい、肩で息をしていた。


「あ、あ……あ、あし」


 余計に変形した老婆の身体はまだ命を手放さなかった。鎖はとうの昔にちぎれたはずなのに。


「……あしゅ、り……ぃ」


 アシュリー。


 あの小娘のことか。


「ああああああああ……あ、しゅい……ぃ……!」


「あ、あしゅいいいいいい…………!」


「ああすゅいい…………………!」


「あしゅ……」


「あ」


 それ以降、老婆が呻くことも動くこともなくなった。


 俺は、ただその醜い亡骸を見つめるばかりだった。


 コイツは、あのアシュリーという小娘を守ろうとしていたのか。


 その為に命を手放さなかったのか。


 ……何故だ。……何故。


 分からない。


 「……早く死ねば良いのに」


 いや、もう死んだ。


 この話は終わりだ。


 次の場所に向かおう。


 ここから見下ろせる場所にいくつかの家を確認できた。おそらくは人間の集落だ。そこで情報を集めて、もっと大きな街へ向かおう。





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