孤立と孤独とその先と・・・後編
ふたりだけで電車の終点まで行き、そこからバスで知らない場所まで行きました。
「ど・・・どこ行くの?」
TS娘ちゃんは心配で仕方ありません。
今までに、親友君が学校をサボるなんて無かったので、普段と違う彼に不安が沸き上がるのです。
「このあたりで良いかな・・・」
どうやら到着したようです。でも、ここはどこなのでしょう?
ひと気も無く、帰る手段も夕方のバスまでなさそうです。
親友君はTS娘ちゃんの手を引いて、さらにひと気の無さそうな方に歩いていきます。
不安で不安で泣きそうになるTS娘ちゃん。
ひと気のない寂れた神社。誰も手入れをしていないところを見ると、皆に忘れられたのでしょう。
『俺みたいだな・・・』
そんな事が頭を過ったものの、親友君の目がいつもと違う事に気が付きます。
『あぁ、俺はここに捨てられるんだ・・・』
TS娘ちゃんの心は、壊れてしまったのでしょう。
涙を流しながら、笑い始めました。
きっと親友君も限界だったんだ。
きっと俺を犯して捨ててしまうんだ・・・。
俺は、ここで誰に気付かれることもなく、消えていくんだ。
親友君が、俺という重荷から解放される事を選んだんだな・・・。
膝から力が抜け、その場にへたり込むTS娘ちゃん。
涙と鼻水で、グチャグチャになりながら、親友君の顔を見上げる。
そして・・・
親友君は、優しく頭を撫でてくれます。
「・・・え?」
自分も辛いはずなのに、親友君は笑顔を浮かべて撫で続けてくれるのです。
「え?なに?なんなの??」
TS娘ちゃんには何事なのか判りません。
もしかしたら、これで最後だから優しくしてくれてるの?
そんな考えが、頭から離れません。
いつもいつも不安しか心に無いTS娘ちゃんにとって、優しくされても安心など出来ないのです。
それでも、親友君は笑顔を崩しません。
「なんなのさっ!何がしたいんだよっ!!」
思わず声を上げてしまうTS娘ちゃん。
目に溜まった涙を零しながら、親友君に問い質すのです。
答えない親友君。
不安だけが溢れるTS娘ちゃん。
そして・・・
親友君は、TS娘ちゃんを抱きしめてあげるのです。
強く強く抱きしめるのです。
「なんだよっ。い・・・痛いってっ!」
TS娘ちゃんには何事か判りません。
親友君は、TS娘ちゃんが何を言っても放してくれません。
「・・・なんなんだよ・・・」
そのうちに、疲れたのかTS娘ちゃんも静かになり、徐々涙が込み上げてきました。
涙が零れ、声をあげて泣き始めるTS娘ちゃん。
それを聞いてから、親友君も泣き始めます。
ふたりで抱き合いながら、泣いて泣いて・・・。
泣き疲れるまで、ふたりは泣きました。
そして、自然と離れ、ふたりで向かい合います。
「よく頑張ったな・・・」
親友君は声を掛けます。
ずっとずっと、気を張って苦しくて、誰にも助けを求められなかったTS娘ちゃん。
親友君だって、心に余裕が無いだろうに、それでもTS娘ちゃんの事を優先してくれるのです。
「辛かったら泣こうよ。俺も一緒に泣くから。・・・俺はお前の味方だし、多分、他にもお前の味方は居てくれるよ。だから、思い詰めるな。俺は、ずっと一緒に居るから・・・」
そう言って、もう一度抱きしめてくれるのです。
翌日、ふたりは揃って学校に向かいます。
少しだけ勇気を出して、少しだけ笑顔で。




