EX 水無月しあ花束つぼみの風景
取り返しがつかなくなるそんな予感がする。
「精神病院から抜け出した患者が、廻芽高等学校の屋上から飛び降り自殺したという情報が入ってきました。ただ、不気味なことに血痕のみがあり遺体はなくなっているとのことです。
警察は、これを死体損壊などの事件とみて、捜査を進めています。
―っいま、新しい情報が入ってきました。現場に残っていた血痕からDNA鑑定をしたところ、廻芽高等学校の二年生、簗型つむぐさんであることがわかりました。遺体に心当たりがある方は警察まで通報をお願いします。
続きまして」
驚愕した。
水無月しあはボーっと眺めていたテレビがいつものくだらないニュースをやっていると少しくだらなさげにソファーでくつろいでいた。
だから、吹き飛ばされたみたいな衝撃がした。
知っている名前知っている顔知っている場所、すべて知っているで構成されたそれは、まったく知らない情報として、水無月しあのもとに入ってきた。
蜜蜂呱々呂との一幕により隔離された簗型君は今、精神病院で療養中のはず。
水無月しあは、簗型つむぐのことを思い、面会をもう少し後にしようと、時間がすべてを解決してくれる とそう考えていた。
その選択や思考がいかに楽観的で、淡い幻想であったのか、水無月しあは理解した。させられた。せざるを得なかった。
”自殺”それはあると思っていなかった概念。
どれだけ救いようのない学校で、どれだけ救いようのないいじめが行われていてもあるわけがないと考えていた。惨たらしい凄惨な行為。
震えたティーカップの赤黒い液体が真ん中に波を寄せて、はねる。
ぽちゃんと音を立てて液体は赤へと帰っていく。
ティーカップを置いて、目を閉じる。
耐えられないのだ。水無月しあは、表面的には破滅論者だが、彼女の本質は博愛主義、聡い彼女は博愛をすべてに向けることは難しいと悟り、博愛の範囲を狭めた。
それが花束つぼみたちであり簗型つむぐであった。
そんな、愛情と慈悲深さを持っている彼女は、自殺や殺人なんてものが現実の近くにあるなんて、想像もついていなかった。
「あ、あぁ。あああああああああああああぁああああぁ!」
叫ぶことに脳のリーソースを使う。
叫び嘆いている意識と、冷静に、いや、淡白に、淡々と事実を受け入れる意識が同時に脳に広がり、矛盾する。
叫ぶという行為により。嘆きや悲しみを思考に絡ませないようにしている。
水無月しあは冷静だった。
叫び声は上げている、見るからに以上だった。
でも。冷静だった。聡かった、賢かった。
単純に悲しむことができなかった。今の感情ではなく、この後、花束つぼみたちに迷惑をかけないように。
一番早く、哀しみを終わらせるように、叫んでいた。
意識が覚醒していく、叫んだことにより。一時的な哀しみをはぐらかして今やるべきことを考えていた。
歪な飛び降り現場、死体の場所、或いは、持ち主。
持ち主……
「―っ!つぼみ!学校の裏の山や学校の変わったところを調べて!」
あるいは、彼女ならやりかねない。
そう思った水無月しあは、花束つぼみとファミリーのみんなに声をかけ、学校と学校付近の変わったところを洗い出した。
「……旧校舎の準備室、緊急用の棚から無くなった水や乾パンが無くなっている。裏山の一部が不法に占拠されている。」
確定だった。彼女、彼岸しのが簗型つむぐの死体を隠し持っている。
なぜこんなにも証拠が残っているのか、理由は明白で簡潔で簡単でいかにも単純だった。
隠していないのだ。彼女は。
正確には潜在意識以外の彼女のすべては、何も隠さず、さも当然というように異常な行動を繰り返していた。彼が学校に来ず一緒に居れるのなら、学校にこだわる意味もない。
それで、彼女の中で理論が通っている。
ただ、彼女も潜在意識では理解している。彼は死んでおり、死体を現場に置いておくと彼が持っていかれてしまうことを、だから、ある程度離れた山にこっそりと暮らしている。
なぜ、学校付近の山なのか、それは単純なことで、閉じこもって、衰弱しきった体は、重たい死体を運び遠くに逃げるなんてことが、できない、なら、なるべく見つからないように、裏山でごっこ遊びをしようとしているのだろう。
やっと、簗型つむぐを自由にできる番が来たのだ、たとえそれが死体であっても、刹那の夢物語や空想、ごっこ遊びであっても、一瞬彼と幸せに暮らせればいいとそう思っている。
「つぼみ。裏山に行くわよ。」
「……ほかのみんなは、どおするんですか?」
「私たちだけで行きましょう。あの子たちに、この筋書きは重過ぎるわ。」
「はい。それじゃあ、そのよおに。」
花束つぼみは、慣れた手つきでファミリーへ伝達をする。
ただ、行動の端々に動揺と、焦りが見える。
夜の涼しい山は、木々が風に吹かれ、葉っぱが振り落とされていく。
暗いのに明るい空は、妙に明るく、星々が照らしていた。
やけにすがすがしいその森は、逆に怖さや不吉さが体の内から登ってくる。
「はぁ、肌寒いわね、薄着で来たのは間違えたみたい。」
「わたしのふくをきますかぁ?」
「つぼみ、大丈夫よ。それ以上脱いだら、裸でしょう。露出プレイは、また今度にしましょう。」
「はぁい」
心なしか残念そうにする花束つぼみをよそに、水無月しあが、森の中へ入っていく。
森林をかき分け、進んでいくと、人の足跡のようなものが、ぽつぽつと点在しているのがわかった。
「こっちの方ね。」水無月しあはそう言って、足跡を追う。それに追従するように、花束つぼみも足を進める。
一歩いっぽ進むたびに、妙な緊張感が背筋に張り付いていく。
そんな悪寒がピークに至った時、ソレは見えた。
簡易的なテントにぼんやりと明かりがともっているそれは、こんな雑木林には似つかわしくない生活感。
テントは閉まっているが、防音性の低い布が、中の音を、漏らしている。
「 ええ、 ふふ。 よかった。」
それは一見可憐な少女の声にも聞こえるが、確実に狂気を孕んだ声だった
「……彼岸しの」
水無月しあは、分かっていたことではあったのに、思わず息をのんでしまう。
「ごしゅじんさま……」
「……大丈夫よ。行きましょう。」
花束つぼみは不安そうに水無月しあのことを見る。それを安心させるように微笑み水無月しあは、テントへと歩みを進める。
ひらり、水無月しあは、テントの扉を開く。
「あははぁ~お客さん?じゃあ、なさそうだねぇ~」
「」
「へぇ、簗型君もそうおもうんだぁ、やっぱり私たち、息ぴったりだね!」
「」
「えへへぇ。」
目の前の少女、彼岸しのは、まるで誰かに語り掛けるみたいに、まるで愛する恋人のように、ソレに話しかけていた。
ソレは布で覆われてはいるものの、強い腐敗臭と滲む、赤黒いシミ、見覚えのある衣類それによって、嫌が応にも脳が理解をしてしまう。
ソレは簗型つむぐだ、性格には簗型つむぐだったもの。
気持ち悪い、きもちわるい、気持ち悪い、きもちわるい
腐臭の強さか、シミにカビが生えていたからか、彼女の精神性か、どれかははからないが、あるいはどれもかもしれないが、胃の中が、緊急を訴えアラームを鳴らしている。
それでも、水無月しあは口を開く。
「あなたは、そんなことをして、こんなことをして!許されると思っているの!」
彼女にしては珍しい怒鳴り声。
されど、狂気は、迷惑そうに跳ね返す。
「ゆるされる、許されない。なんておかしな話、好きな人と一緒にいるだけで、何で罰せられなければいけないの?」
「あなたが持っているそれは、人ではないし、あなたの理屈は普通じゃないわ。」
「私たちは、特別だから、普通じゃないのは、あたりまえ~。」
「死体は、あなたが持って行っていいほど、軽いものじゃないし、あの子は、あなたが持ってしまうような陳腐なものじゃないわ。」
「死体、知ってる簗型君?」
「」
「あぁ、今朝のニュースの、あれ怖かったねぇ。」
「いい加減に―ッ!」
熱くなっている水無月しあを止めたのは、花束つぼみだった。
その顔は、何か諦めたようなそんな顔で、「もうやめて」と、そう訴えているようだった。
「話しても無駄ってことがわかったわ。彼がさんざん悩んでいたこと、誰かに求めていたもの、今のあなたに、愛なんてないわ。あなたの事、許さない。」
水無月しあが、睨みつけると呆れたような軽蔑したような顔の花束つぼみも彼女たちを影の落ちた目で見つめる。
「あはっ、こわぁい。」
「」
まるで挑発とでも言わんばかりの場に合わない明るい声が、水無月しあが聞く彼女の、最後の声だった。
後日、水無月たちは諸々の通報や手続きを終えて、リビングのソファーに腰掛けていた。
ティーカップに入れた紅茶は、ミルクと砂糖が入っているにもかかわらず。とてもとても苦かった。
簗型つむぐという人物は、水無月達に大きな呪いを残してこの世を去った。
残酷なまでに明るいモニターは奇抜な事件の顛末を語る。
「―以上が今回の廻芽高校死体のみがあり遺体はなくなっているとのことです。
警察は、これを死体損壊などの事件とみて、捜査を進めています。
―っいま、新しい情報が入ってきました。現場に残っていた血痕からDNA鑑定をしたところ、廻芽高等学校の二年生、簗型つむぐさんであることがわかりました。遺体に心当たりがある方は警察まで通報をお願いします。
続きまして」
驚愕した。
水無月しあはボーっと眺めていたテレビがいつものくだらないニュースをやっていると少しくだらなさげにソファーでくつろいでいた。
だから、吹き飛ばされたみたいな衝撃がした。
知っている名前知っている顔知っている場所、すべて知っているで構成されたそれは、まったく知らない情報として、水無月しあのもとに入ってきた。
蜜蜂呱々呂との一幕により隔離された簗型君は今、精神病院で療養中のはず。
水無月しあは、簗型つむぐのことを思い、面会をもう少し後にしようと、時間がすべてを解決してくれる とそう考えていた。
その選択や思考がいかに楽観的で、淡い幻想であったのか、水無月しあは理解した。させられた。せざるを得なかった。
”自殺”それはあると思っていなかった概念。
どれだけ救いようのない学校で、どれだけ救いようのないいじめが行われていてもあるわけがないと考えていた。惨たらしい凄惨な行為。
震えたティーカップの赤黒い液体が真ん中に波を寄せて、はねる。
ぽちゃんと音を立てて液体は赤へと帰っていく。
ティーカップを置いて、目を閉じる。
耐えられないのだ。水無月しあは、表面的には破滅論者だが、彼女の本質は博愛主義、聡い彼女は博愛をすべてに向けることは難しいと悟り、博愛の範囲を狭めた。
それが花束つぼみたちであり簗型つむぐであった。
そんな、愛情と慈悲深さを持っている彼女は、自殺や殺人なんてものが現実の近くにあるなんて、想像もついていなかった。
「あ、あぁ。あああああああああああああぁああああぁ!」
叫ぶことに脳のリーソースを使う。
叫び嘆いている意識と、冷静に、いや、淡白に、淡々と事実を受け入れる意識が同時に脳に広がり、矛盾する。
叫ぶという行為により。嘆きや悲しみを思考に絡ませないようにしている。
水無月しあは冷静だった。
叫び声は上げている、見るからに以上だった。
でも。冷静だった。聡かった、賢かった。
単純に悲しむことができなかった。今の感情ではなく、この後、花束つぼみたちに迷惑をかけないように。
一番早く、哀しみを終わらせるように、叫んでいた。
意識が覚醒していく、叫んだことにより。一時的な哀しみをはぐらかして今やるべきことを考えていた。
歪な飛び降り現場、死体の場所、或いは、持ち主。
持ち主……
「―っ!つぼみ!学校の裏の山や学校の変わったところを調べて!」
あるいは、彼女ならやりかねない。
そう思った水無月しあは、花束つぼみとファミリーのみんなに声をかけ、学校と学校付近の変わったところを洗い出した。
「……旧校舎の準備室、緊急用の棚から無くなった水や乾パンが無くなっている。裏山の一部が不法に占拠されている。」
確定だった。彼女、彼岸しのが簗型つむぐの死体を隠し持っている。
なぜこんなにも証拠が残っているのか、理由は明白で簡潔で簡単でいかにも単純だった。
隠していないのだ。彼女は。
正確には潜在意識以外の彼女のすべては、何も隠さず、さも当然というように異常な行動を繰り返していた。彼が学校に来ず一緒に居れるのなら、学校にこだわる意味もない。
それで、彼女の中で理論が通っている。
ただ、彼女も潜在意識では理解している。彼は死んでおり、死体を現場に置いておくと彼が持っていかれてしまうことを、だから、ある程度離れた山にこっそりと暮らしている。
なぜ、学校付近の山なのか、それは単純なことで、閉じこもって、衰弱しきった体は、重たい死体を運び遠くに逃げるなんてことが、できない、なら、なるべく見つからないように、裏山でごっこ遊びをしようとしているのだろう。
やっと、簗型つむぐを自由にできる番が来たのだ、たとえそれが死体であっても、刹那の夢物語や空想、ごっこ遊びであっても、一瞬彼と幸せに暮らせればいいとそう思っている。
「つぼみ。裏山に行くわよ。」
「……ほかのみんなは、どおするんですか?」
「私たちだけで行きましょう。あの子たちに、この筋書きは重過ぎるわ。」
「はい。それじゃあ、そのよおに。」
花束つぼみは、慣れた手つきでファミリーへ伝達をする。
ただ、行動の端々に動揺と、焦りが見える。
夜の涼しい山は、木々が風に吹かれ、葉っぱが振り落とされていく。
暗いのに明るい空は、妙に明るく、星々が照らしていた。
やけにすがすがしいその森は、逆に怖さや不吉さが体の内から登ってくる。
「はぁ、肌寒いわね、薄着で来たのは間違えたみたい。」
「わたしのふくをきますかぁ?」
「つぼみ、大丈夫よ。それ以上脱いだら、裸でしょう。露出プレイは、また今度にしましょう。」
「はぁい」
心なしか残念そうにする花束つぼみをよそに、水無月しあが、森の中へ入っていく。
森林をかき分け、進んでいくと、人の足跡のようなものが、ぽつぽつと点在しているのがわかった。
「こっちの方ね。」水無月しあはそう言って、足跡を追う。それに追従するように、花束つぼみも足を進める。
一歩いっぽ進むたびに、妙な緊張感が背筋に張り付いていく。
そんな悪寒がピークに至った時、ソレは見えた。
簡易的なテントにぼんやりと明かりがともっているそれは、こんな雑木林には似つかわしくない生活感。
テントは閉まっているが、防音性の低い布が、中の音を、漏らしている。
「 ええ、 ふふ。 よかった。」
それは一見可憐な少女の声にも聞こえるが、確実に狂気を孕んだ声だった
「……彼岸しの」
水無月しあは、分かっていたことではあったのに、思わず息をのんでしまう。
「ごしゅじんさま……」
「……大丈夫よ。行きましょう。」
花束つぼみは不安そうに水無月しあのことを見る。それを安心させるように微笑み水無月しあは、テントへと歩みを進める。
ひらり、水無月しあは、テントの扉を開く。
「あははぁ~お客さん?じゃあ、なさそうだねぇ~」
「」
「へぇ、簗型君もそうおもうんだぁ、やっぱり私たち、息ぴったりだね!」
「」
「えへへぇ。」
目の前の少女、彼岸しのは、まるで誰かに語り掛けるみたいに、まるで愛する恋人のように、ソレに話しかけていた。
ソレは布で覆われてはいるものの、強い腐敗臭と滲む、赤黒いシミ、見覚えのある衣類それによって、嫌が応にも脳が理解をしてしまう。
ソレは簗型つむぐだ、性格には簗型つむぐだったもの。
気持ち悪い、きもちわるい、気持ち悪い、きもちわるい
腐臭の強さか、シミにカビが生えていたからか、彼女の精神性か、どれかははからないが、あるいはどれもかもしれないが、胃の中が、緊急を訴えアラームを鳴らしている。
それでも、水無月しあは口を開く。
「あなたは、そんなことをして、こんなことをして!許されると思っているの!」
彼女にしては珍しい怒鳴り声。
されど、狂気は、迷惑そうに跳ね返す。
「ゆるされる、許されない。なんておかしな話、好きな人と一緒にいるだけで、何で罰せられなければいけないの?」
「あなたが持っているそれは、人ではないし、あなたの理屈は普通じゃないわ。」
「私たちは、特別だから、普通じゃないのは、あたりまえ~。」
「死体は、あなたが持って行っていいほど、軽いものじゃないし、あの子は、あなたが持ってしまうような陳腐なものじゃないわ。」
「死体、知ってる簗型君?」
「」
「あぁ、今朝のニュースの、あれ怖かったねぇ。」
「いい加減に―ッ!」
熱くなっている水無月しあを止めたのは、花束つぼみだった。
その顔は、何か諦めたようなそんな顔で、「もうやめて」と、そう訴えているようだった。
「話しても無駄ってことがわかったわ。彼がさんざん悩んでいたこと、誰かに求めていたもの、今のあなたに、愛なんてないわ。あなたの事、許さない。」
水無月しあが、睨みつけると呆れたような軽蔑したような顔の花束つぼみも彼女たちを影の落ちた目で見つめる。
「あはっ、こわぁい。」
「」
まるで挑発とでも言わんばかりの場に合わない明るい声が、水無月しあが聞く彼女の、最後の声だった。
後日、水無月たちは諸々の通報や手続きを終えて、リビングのソファーに腰掛けていた。
ティーカップに入れた紅茶は、ミルクと砂糖が入っているにもかかわらず。とてもとても苦かった。
簗型つむぐという人物は、水無月達に大きな呪いを残してこの世を去った。
残酷なまでに明るいモニターは奇抜な事件の顛末を語る。
「―以上が今回の廻芽高校死体遺棄事件の顛末であり、事件被害者の簗型つむぐさんの遺体は親族に帰っており、事件加害者の、彼岸しのさんに、現在事情聴取をしています。
事件を担当している担当者によりますと、おぼつかない会話や幻覚に近い症状もあると判断され、心神喪失の可能性も視野に入れているようです。続きまして―」
流れる機械が伝える音声は決して好転とは言えないものだったが、水無月しあや花束つぼみたちにやれることは、もうなかった。
傍にいた花野小路花乃や冴乃愛萌がうつむき、顔を曇らせている
彼女たちにとって、簗型つむぐの死は大きすぎる呪いとなっている。
それは彼岸しのも同じように、一見幸せに見える呪いは呪いとなり、また彼女を苦しめていく。
水無月しあは、そんな呪いを残していった彼に思いをはせるように、真っ赤に反射する紅茶の入ったティーカップが作る水面に思いをはせながら、ポツリと、つぶやいた。
「私は貴方を愛していた。」
続く人生は語るるか、




