EX 彼岸しのの風景
ここからはEXこちらは人によっては蛇足と感じるかもしれませんがぜひ彼女たちのその後をお楽しみください。
この学校の教師というのは今まで見てきたようにろくでもなくて、もう、いや或いは初めから、教育者としてのプライドや教示なんてものがないというのは、虐めの容認や適当に言いくるめるだけで使える旧校舎や、なぜか開かれた屋上から察せられるが、まさか、生徒を残したまま校舎からいなくなるほどだとは思いもしなかった。
彼岸しのは風呂にも入らず、寝れもせず、ただ、スマホを眺めていた。
『愛なんてないから』
「愛なんてないから」
更新
『愛なんてないから』
「愛なんてないから」
更新
……
更新
残酷なまでにデジタルに光るそれは絶望を刻々と、淡々と告げてくる。
簡単だった。
教室にはコンセントがあった。スマホの充電なんて簡単だった。
簡単だった。
セキュリティー意識が皆無な学校の保存食を見つけることぐらい簡単だった。
簡単だった。
他人を痛めつけ、自分を持ち上げ、人生を自分色に染め上げることぐらい。
簡単だった。
なのに、好きになった男の子と添い遂げること
人と対等に話すことが簡単ではなかった。
誰かに叱られるほどの関係性を持つのが、簡単ではなかった。
……ここまで、ある種盲目に、見ないようにしていたことがある。
自分はいじめっ子であるということ、それに虐めた対象は、その惚れた子であること。
叶うはずない。わかっていて、一瞬の幸せのために、すべてを忘れたふりをしたこと。
彼が私を愛するわけないということ。
わかっていたのに、目をそらした。わからないふりをした。耳心地のいい言葉を聞き入れた。
はたはた呆れてしまうのはそれが、今も変わっておらず。
一回受け入れたのにもかかわらず、何かすがれる場所があれば、今までの反省なんてすべて忘れて、空っぽの幸せを心に満たしていく。
ガシャンだったり、ドンだったり、高いところから大きなものが落ちたみたいな音がして、私は音の鳴って居た校舎の方を見る。
性格に捉えられたわけではなかったが、見えたのは赤と黒の布に滲んだ何かだった。
私は、無性にそれが気になり久しぶりに教室を出て、音のした方に歩いて行った。
暮れた太陽が闇に追いやられた深夜、耳障りな木々のノイズと虫のさえずりが聞こえてくる。
ペタペタとはだしで歩く。
足がいたく冷える。久しぶりに外に出て、靴の場所が変わったり、順番が変わったからわかりずらく履くのが面倒になったのも一つの考えではあったが、処分されてしまったのだ。かつて私がやったように、だからしょうがなく、はだしで歩いていく。
整備されているとはいえコンクリートも場所によっては小石が連なっているような形状になっており、皮膚に食い込んでくる。
靴というものの偉大さと、それを、隠す行為を過去に自分もしていたことに恥じ入る。
私は音のした場所に着きそこに視界のピントを合わせる。
夜の校舎前に
彼が立っていた。
「」
「―つむぐくん!……どうして、え?え!あんなに連絡取れなかったのに、どうしてここに?でも、え、あぁ、よかった。私、まだ君に言いたいことがいっぱいあって、君は気にしないと言ってくれたけれど、やっぱりいじめをしてしまったこと謝りたくて……
これは自己満足かもしれないけど!君に、どうしても、謝りたくて。
靴って無くなったら痛いね、何かを買ってこさせられるのってすごく負担だね。
わざとぶつかられるのって怖いね。
ごめんなさい、本当にほんとにごめんなさい。
「」
彼はいつものように優しい言葉を選んでくれた。
こんなところにいたら、風邪ひいちゃうよ。とそういいながら。私は過去に彼がかけてくれたくれたタオルを彼に掛け
「動けないんだ。わかったちょっと待ってね。」
そう言って私は彼を包み持ち上げる。
存外彼をかるく持ち上げられ私は夜、久しぶりに校門を抜けていった。
深夜、太陽が寝返りを打つ頃、私はスマホと寝具と持てる分の非常食を学校から盗み夜の山に入っていった。
家族は、小学校のころ、勉強のできなかった私を見限り、子供のリセマラを始めた。だから、ぼろい倉庫を家として住所を与えられ、その時に絶縁状も渡された。
だから、家に帰ったとて、状況は悪化するばかりだ。
「」
「あ、そうだね、動物とかもいるし何の装備もなしに森にずっといるのは危ないかもね。」
「」
「うん!また学校か、商店街の誰かにおすそ分けしてもらおう。」
彼はいつも道理の優しい口調で、そんなことを言った。
私は思慮深い彼の言葉に次を見据えた作戦を考えていた。
なけなしの充電がされているスマホにニュースが流れる。もう、こんな時間か。
「精神病院から抜け出した患者が、学校の屋上から飛び降り自殺したという情報が入ってきました。ただ、不気味なことに血痕のみがあり遺体はなくなっているとのことです。
警察は、これを死体損壊などの事件とみて、捜査を進めています。」
ニュースはいつになく真剣に怖いニュースを流していた
「」
「へー、こんなじけんがあるんだねー。」
「」
「そうだね、遺体損壊なんて、いったい誰がやったんだろう。」
ほんっと
「こわいねっ。」




