新たな犠牲者(?)
「拭いてほしいんですが……出来ます?」
プスプスと音を立てているMPKに声をかけるがーーー返事がない。
『ただの屍のようだ』
「誰が屍だにゃー!!」
「……『黄泉送り』」
「にゃに!?まだ黄泉化してにゃいって!!」
『屍は、生きていたようだ』
「『ようだ』って、ヒドイにゃ~!!」
『黄泉送り』にしていた、玖の尾を元の『硬尾術』にする。
「早く、拭いてください」
「え、いや……でも…………」
「拭いてください」
「ちょっと、待tーーーー」
「拭いてください……ね?」
首をコテっと曲げ、人差し指を口元に持っていき、ニィっと笑う口をお面の隙間から、わざと見せる。
すると、MPKは、高速コクコクマシンと化した。
布をすぐに取り、秒で拭き終わった。
「布は、どうすれば良いにゃ?」
「適当に、そこらに置いといてください。“処分”しますから」
「に、にゃ!?」
あまりにも怖かったのか、MPKは、すぐに布を手放す。その布を、『紋章魔術』の『フー・ヴァ・ダール』で、吹き飛ばす。
「ひっ……」
このMPKは、所謂ロールプレイをしているのだろうが……時々、素が出るんだな、うん。
僕は、わざとゆっくり振り向き、MPKの方を向く。
「それじゃ、自己紹介から、始めましょうか」
「え?」
「? 何か言った?」
「あ、いえ、何でもありませんッ!!」
……やっぱり、素が出てる。
MPKは、ゴホンと咳払いしてから、名乗り始めた。
「私は、サクラっていうにゃ!職業は、盗賊をやってるにゃ!」
「サクラか……サクラは、ロールプレイ中なの?」
「いきなり、呼び捨てかにゃ!?高等テクにゃ……そうにゃ!私は、絶賛ロールプレイ中なのにゃ!!」
「やっぱり、そうか……僕は、シヴァ。職業は、紋章魔術師をやっているよ」
「にゃ!?紋章魔術師にゃのに、近接武器?」
「…………やっぱり、気になります?」
「もちろんにゃ」
「…………」
「…………」
「……先に、報酬の話に行きましょうか」
「にゃぁ!?強引すぎるにゃ!!」
「……あなたの、言い分は聞いてないんですよ?」
と、言いつつ背負っている剣槍の柄をカチャっと、いじる。
「ひ、ひぃ!!」
(この人絶対Sだにゃ……)
「誰がSなんですか?」
「にゃんで、心が読めるのにゃ!?」
「さぁ?」
「お、恐ろしいにゃ……」
「それで、報酬の話にーーーー」
「は、はい!早く入るにゃ!!」
「えぇ、そうしましょう」
ここに、シヴァの新たな犠牲者(?)が発生することになったーーーー