第15話 よりファンタジーらしく(レイヤーマスク)
私が使っている画像ソフトは Adobe Photoshop Elements です。廉価なお絵かきソフトですが、出自はフォトレタッチの業界標準 Photoshop で、Elements にも基本的な写真加工の機能は残されています。
今話と次話の操作は他の画像ソフトにはないものかも知れません。あらかじめご了承ください。
さて、前話では羊皮紙模様に不透明度を調整した色を重ねることで地図の色分けをしました。
しかし、羊皮紙のようにある程度均一な濃い目の色を持つ素材ならば、実は色分けするのにもっと良い方法があります。「素材そのものの色を変える」やりかたです。
これは前回使用した「地図」と「羊皮紙の素材」です。
「海岸線/国境線レイヤー」でひとつの国を選択します。「羊皮紙の複製レイヤー」に移り、その選択範囲を反転、領域外の部分をカットでばっさり切り落とします。そしてメニューの画質調整>カラー>色相・彩度でレイヤーの色を変更します。
同様の操作で各国と海の色を変更すると次のようになります。
色レイヤーを上に重ねるよりも模様がよく保たれていて、濃い色にすることもできます。
次に森と山の色を変えます。これらは境界線を隠し、かつ、周辺をぼかしたいのですが、羊皮紙模様を保ったまま行うにはどうすればよいでしょうか。例えば指先ツールでゴリゴリしたら模様が破壊されてしまいますね。
「海岸線/国境線レイヤー」の下に「羊皮紙」を複製し、その色を森の緑に変えて「森レイヤー」を作ります。「海岸線/国境線」に戻り、森の範囲を選択します。選択範囲を2ピクセル拡大し、境界線がほぼ隠れる大きさにします。
また「森レイヤー」へ移り、境界外を切り落とすのではなく、メニューからレイヤー>レイヤーマスク>選択範囲外をマスクという操作を行います。
領域外を切り落としたのと同様の効果になります。そして、「レイヤー操作盤」には次のような白黒の図が現れます。
これは「レイヤーマスク」というものです。
「マスク」とは一部を覆い隠して改変できないよう保護する、という意味です。
ここでは特に、「レイヤーの絵を保ったまま」「そのレイヤー内で場所により不透明度を変えて」「絵の一部を表示し他の部分は非表示にする」ために使います。白い部分は不透明度100%で表示され、黒い部分は不透明度0%で非表示になります。
レイヤーマスクの他の例です。
「森のフクロウ」に上のようなレイヤーマスクを加えると、「お座敷の幽霊フクロウ」になります。
ゲームの画面などで、背景が色々変わってもキャラクターの絵はそのまま、というのを見かけたことがあるでしょう。絵師さんが描いた原画のうちキャラの部分だけを表示する、「レイヤーマスク」が仕事をしているわけですね。
「森レイヤー」を「海岸線/国境線レイヤー」より上に入れ替え、「レイヤーマスク」の白い部分を外側にぼかしながら拡げます。羊皮紙模様に直接手を加えるのではなく、マスクのほうをいじるわけです。山も森と同様にマスクを使って作業します。
外枠は前回作ったものを流用します。
そして、「焼き込みツール」で、海の外周をなぞります。これは色合いを変えずに、色を濃くする効果があります。
地図の標題が入る部分は「覆い焼きツール」でこすってみましょう。こちらは焼き込みの真逆、色は変えずに薄くする道具です。
「ICOOON MONO」様より今回は16ピクセルの黒いアイコンをダウンロードして使用しました。真っ黒なアイコンは小さくても重く見えるので、若干色をつけ不透明度を下げています。
「海の素材屋」様のスクーナー型帆船の絵を縮小しアクセサリーとして配置しました。
完成した地図はこちらです。
いかがでしょうか?




