第48話 トゥルーエンド
帝都郊外の新居。
暖かな灯りの中、ミリアは診断書を胸に抱きしめ、小さく切り出した。
「レオン……赤ちゃんができたの」
レオンの目が驚きに見開かれ、やがて笑みに変わる。
「そうか……! やっと……俺にも守るものができたんだな」
ミリアを抱きしめる彼の声は、本心からの安堵と喜びに満ちていた。
「……俺がヴァルディア王国の国境を侵犯して攻め込んだあの日から、いろいろあったな」
その言葉に、ミリアの瞳が一瞬だけ鋭く光る。
しかし柔らかな微笑みを浮かべ、問いかける。
「ねえ、その時のこと……詳しく聞かせてくれない? あなたがどう戦ったのか」
ミリアはレオンが国境侵犯をしたというのは初耳だった。
レオンはワイングラスを手に取り、肩をすくめる。
「戦った、ってほどでもなかったな。アンチマナダイト粒子をばらまいた時点で、あの国境警備隊は無力化された。フレーム部隊もろとも、ただの鉄塊と化したんだ」
彼は愉快そうに笑い、続ける。
「だから簡単だったよ。抵抗らしい抵抗もなく、突破できた。隊長の特権で、俺が全部仕留めることになった。ま、動かない標的なんて外すことはなかったけどな。でも、それで活躍は終わり。あとは、あのフェニックスにやられて散々だった」
ミリアの胸が焼けるように痛む。
――その撃破されたフレームに乗っていたパイロットこそ、エリアス。
彼女の婚約者であり、最期まで誇りを持って戦った人。
「……簡単、だったのね」
ミリアの声は震えていた。だが微笑みを崩さず、ワインのボトルを手に取る。
「今日はお祝いだもの。もっと飲んで、ね」
レオンは満足げに笑い、満たされたグラスをあおる。
深夜。
静かな寝息が新居に響く。
ベッドの傍らに立つ影――ミリア。
その手には紐と包丁が握られていた。
愛した人を「簡単に」殺した男。
そして今、自分の子を宿す男。
憎悪と葛藤が渦巻き、彼女の指先は白くなるほど震えていた。
なんか、書いているうちに思っていたのと違う方向に。あらすじはちゃんと書くとネタバレになるので、あんな感じになりました。




