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第13話:テルノミクス(6) JGPの真実 ― 泥まみれの英雄たち

 テルが記者会見の壇上に立った。

 今日の会見は、数字の発表だった。


「完全失業率、〇・八%。経済学上の定義における完全雇用を達成しました」


 会場がざわめいた。


「そして、今日は。JGPの実態を、皆さんにお見せしたい」


 スクリーンに、映像が流れた。

 見事に整備された農地が広がっている。その上で、泥まみれになりながらサツマイモや米粉用米を収穫する人々の姿。彼らのほとんどは、三年前まで工場で働き、商社で働き、あるいは誰かの部下として働いていた、普通の都市生活者たちだ。手は荒れ、爪の中に土が詰まり、しかしその表情は、充実していた。


「機械も肥料もありませんでした。だからこそ、政府が『最後の雇い手(JGP)』となり、職を失った国民の手足を総動員する人海戦術を決断したのです。彼らの汗が、輸入小麦が途絶えたこの国の食卓を支えたのです」


 国民は、飢えなかった理由が、批判していた政府のセーフティネットにあったことを知り、愕然とした。

 映像の中に、見覚えのある顔が映った。

 望月雄介だ。

 泥だらけの農作業服で、腰まで雑草に埋まりながら、鍬を振るっている。その顔は疲弊しているが、どこか誇らしかった。彼もまた、ハローワークのチラシ一枚を頼りにこの農耕部隊に飛び込み、最前線で家族のために戦っていた一人だったのだ。


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