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今更ながら、召喚師デビュー!  作者: 古澤深尋
20/24

モフモフ

お読みいただきありがとうございます。

 ユラです。

 萌え死にそうです。

 モフモフ地獄です。


 …冗談はさておき、私の目の前には猫がいる。

 三毛の子猫、しかも、耳が、スコティッシュフォールド。

 鼻血が出そう。


 ヴァイツの街からライドの街に向かう途中。

 巨大な狼男に襲われている群れを発見。

 何とはなしに狼男をぶちのめし、助かった者はと振り返るとこの子がいた。


 私はモフモフに目がない。

 以前そのことで私を揶揄した愚物は物理的に修正してやった。

 反省も後悔もしていない。

 相手のその後?

 知らない。


 懐いてくれないかな~

 

※※※※


 お母様が錯乱している…

 ミューキットという小型の幻獣を前に、いつものハンサムが台無しになっています。

 

「おいで~」


 チッチッチ、と鳥のさえずりでしょうか。

 妙に上手いということは、いつもされているのでしょうか?

 これまでの凛々しいイメージが台無しです。


「にゃんにゃーん、いい子ねぇ」


 あ!

 ミューキットがお母様に抱かれました!

 小型とはいえ幻獣、警戒心が異様に高くてなかなかテイムできないはずなのに!

 ミーミーと鳴いてお母様の庇護欲をかき立てているようです!

 羨まし…ゴホン!


※※※※


 ミューキットというらしいこの猫モドキ。

 ミーミーと鳴いて私の方に来たので抱き上げると、いつものアレがきた。


《ミューキットを調教しました!名前をつけて下さい。》


【   :ミューキット(雌)】


 女の子だった様子。

 タマミケあたりは凡庸で面白くない。

 何がいいかな。 


 振り返ると。


「「「…」」」


 三人の生暖かい視線が突き刺さった。


「え、何?」

「お母様…」

「ママ…」

「お母さん…」


 そのやり取りで、自分が今の今まで何をしていたのかに気がついた。

 全部、見られていた訳だ。

 猫に話しかける馬鹿面も、幼児言葉も…


「あああ…」


 身悶えして転げ回りたくなるが我慢だ。

 更なる醜態は私の心のライフを削りまくる。

 既にライフはゼロな感じだけど!

 黒歴史が、また一つ。

 つらい…



 名前が決まらず揉めたので、ミューキットの前で挙げる。


「お前の名前の候補だから、嫌なら嫌と言いなさい。」

「みゃ。」

「タマ」


 プイッ

 お気に召さないようだ。


「ミケ」


 ザッザッ

 砂かけし始めた。

 それほど嫌だということですね分かります。


「リーン」


 そっぽを向いている。


「ウメ」


 誰だこれ入れたの。


「ウニャニャ、ニャー」


 のどをグルグル鳴らし、ジタバタと転げ回る。

 何かめちゃくちゃ喜んでいるわね…


「…渋い名前がお好みで」


 抱き上げると、ステータス欄の名前が『ウメ』になっていた。

 ちょっと、他人に紹介するのが憚られるな。

 まあもっとも、紹介するような知人もいないけど!

 最近気づいたよ!

 このゲームで会話しているのは娘達か住民ばかりで、異邦人とは話したこともないって!



 ヴァイツまで戻り、マイルームに連れ込むとウメはすぐに床で丸くなった。

 調教した幻獣は食べ物は要らないようで、主人の魔力を糧とするらしい。

 ログアウト時は召喚獣達と同じく、一時的に消えるとか。


 よし、明日からはウメ用猫アイテムを揃える!


 ポーン♪


 メール?


 アリスだった。

 今から会いたいとのこと。

 了承する。

 即座に出現した。

 何でもありだな、アリス。


「お久しぶり。元気してた?」


 たわいない挨拶。

 だが、猛烈な違和感。

 目を見た。

 何かを訴えかけている。

 そして気づいた。

 口の動きと台詞が合ってない。


「あれ?もう一度聞くよ。お久しぶり。元気してた?」

『あれ?もう一度聞くよ。気づいてたら、助けて』


 視線を動かす。

 器用なことを…


「まあね」


 うなずく。

 アリスも気づいた。


「あ、ミューキット!かわいい!」

『衣装に住所を書いた。そこに来て』

「あたしも欲しいな」

『通れるようにしておく』


 そこまで慎重に言うと、急にざっくばらんになった。


「あ、業務があるんだっけ。またね」


 アリスは帰って行ったが、何かやばそうな気配。

 住所は調べなくても知っていた。

 爺様を看取った病院だ。




私は猫派です。

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