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居眠り卿とナルファスト継承戦争  作者: 中里勇史
悲劇の終わりと始まり

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ウィンの帰還 その2

 「まあ、ロンセーク伯は継承順1位だし、勢力も優勢。レーネット派に陰謀を仕掛ける意味はない。余計なことをして露見した場合の不利益の方が大きい。無理をするとすればスハロート派さ。どうせ揺さぶりをかけるなら、スハロート派を標的にした方が確実でもあった」


 「両派に揺さぶりをかけて武力衝突を誘発し、『ナルファストに統治能力なし』として皇帝軍を入れていじくり回す、という計画だったな。ところが監察使軍が来て両派がおとなしくなったので、当初の筋書きは使えなくなった。そこでアルテヴァークを呼び込んだ」


 「そこまでしますかね。そのために、宮内伯が推したかったサインフェック副伯の継承はあり得なくなってしまったわけですし」


 「だからティルメイン副伯を確保しようとしたのさ。アルテヴァークを駆逐した後、ロンセーク伯とサインフェック副伯両方の責任を問う。そして幼少であるがゆえに失点がないティルメイン副伯を擁立して解決、と。宮内伯たちはサインフェック副伯を買っていたわけじゃなかった。皇帝家に連なるリンブルン公女が生んだ男子なら誰でもよかったんだから」


 「そんなことのためにアルテヴァークを引き入れて、ナルファストを戦乱にたたき込みますかね?」


 「宮内伯たちは何とも思わないさ。自分たちは何も損はしない。辺境の領民や諸侯が苦しんだとしてもね。それは彼らにとっては取るに足らないことなんだ」


 「やはり宮内伯を特定することはできないのか。どうにも腹の虫が治まらん」


 「今は無理だろうねぇ。デズロントももう正気には戻らないだろうしなぁ」


 フォロブロンは、ウィンが「今は無理」と言ったことを聞き逃さなかった。「今は」と限定したのだ。ウィンはどうでもいいことを言う傾向があるが、表現は意外に正確だ。


 真意を問いただすべきか否か逡巡したが、結局フォロブロンは口を閉ざした。「今は」そのときではない気がしたからだ。


 なんとはなしにフォロブロンとムトグラフがウィンから離れると、アデンが口を開いた。


 「ロンセーク伯になぜあの件を指摘しなかったのですか?」


 「さて、何のことだろう」

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