序章
敵は最も有利な地形に布陣して待ち伏せるという、積極策を採った。その可能性を考慮して偵察を徹底していたつもりだが、斥候たちはこの台地を軽んじたらしい。
騎兵では、台地の上の敵を直接攻撃できない。いったん、台地からの攻撃が届かない位置まで騎兵を下げた。台地はさほど広くない。下からでは見えないが、台地にいる敵兵はそう多くないはずだ。弓兵による奇襲で混乱させた後、平地に展開した本隊が頃合いを見計らって殺到してくるに違いない。
台地の弓兵を排除するのは傭兵たちに任せて、騎兵は索敵しつつ敵本隊の出現に備えた。
傭兵たちは練度が高かった。
盾で前面を守る者、上からの矢を防ぐ者に分かれて防御陣を構築し、その間から弓兵が台地の上に矢を曲射する態勢を整えつつあった。その隙に、敵の矢があまり届かない地点から台地に這い上がる一団を組織していた。白兵戦に持ち込めば弓兵を沈黙させることができる。そうすれば、台地から降り注ぐ矢を防ぐだけで精いっぱいの部隊を攻撃に回せる。これらを前線の十人隊長や百人隊長が独自の判断で指揮し、実現していた。
「やや、私の出る幕はないね。これは楽でいい」
「全てあなたの無能と怠慢が招いたことです」
「手厳しいな。それなりに努力したつもりなんだけど」
「そうでしたか? あなたは明らかに……」




