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不思議な秘密

 この国は、平和すぎると思う。


「ねぇ。平和なのに聖女が必要だってことは、何か裏があるんじゃないの?」


 ふと、思いついた疑問。

 それをフィスロに問いかけると、彼はすっと真面目な顔になった。


「どうして、そう思うんです?」

「どうしてって……。王太子殿下が隠されていることもそうだし、なんかこの国には不思議な秘密があるんじゃないかなって」


 王太子殿下は、隠されている。

 聖女が必要とは思えないくらい、平和な国。

 そんな現状があるからこそ、平和すぎることに疑問を持ったのだ。


「王太子殿下に会いたいですか?」

「え?」


 いきなりですか。

 そうねぇ、会ってみたいけど緊張するよね。

 だって、この国のセレブでしょ?

 思い立ってすぐに会える人じゃないよ。


「会いたいのでしたら、その場を設けますよ。お菓子付きで」

「どっちかって言うと、最後の『お菓子』が重要ポイントか」


 本当、フィスロはブレないな。

 

「一番手っ取り早いのは、聖女としての仕事をすることですね」

「はぁ?」

「聖女は王宮管轄ですが、基本的には王太子が管理しています。聖女補佐官も、王太子殿下の管轄になるんですよ」


 つまり、聖女の仕事をしていれば王太子殿下に会うことができるのだ。

 ……会ってみたいけど、聖女の仕事をするのかぁ。

 私は司書教諭で大満足なんだけど。





「王太子殿下、ですか」


 その日の夜。

 リンちゃんに髪を梳かして貰いながら、フィスロとの話をしてみた。

 すると、リンちゃんは櫛を手に微笑んだ。


「意外と近くにいるものですよ」

「それ、フィスロにも言われた。やっぱり、ヒースさんなのかな」

「あら、ヒースさんにお会いされたんですね」


 リンちゃんの笑顔。

 フィスロの真面目な顔。

 やっぱり、王太子殿下はヒースなのかもしれない。


「スイ様の図書室は、委員さんも加わって活発化してきたんですよね」

「うん。おかげさまで」

「なら、聖女としての仕事をしてみたらどうです?」

「えぇ、リンちゃんまで」


 リンちゃんまでそう言うのか。

 私はがっくりと肩を落とす。

 すると、リンちゃんがくすくすと笑った。


「聖女の仕事のために王宮へ行くのでしたら、王宮図書館に行き放題ですよ」


 確かに!


「他の図書館にも関わってみたいんだよね!」

「禁書事件のときに、けっこう顔なじみになっていましたよね。ならば、大丈夫ですよ」


 よし、決めた!

 司書教諭として動きながらも、今後は積極的に聖女としての仕事も入れてみよう。

 そうしたら、色々な本に出会えるかもしれない。

 うんうん、そうしよう。


「ありがとう、リンちゃん!」

「お役に立つことができて嬉しいです」


 明日、フィスロにも伝えよう。

 聖女を崇拝してそうだから、きっと喜んでくれるはず。

 

 私は、そんな期待を持って一日を終了したのだった。


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