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夫婦でほのぼの開拓VRMMO  作者: 島 恵奈華
2年目、春と夏の間

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ユ:マルドゥークの奥の手


 キーナが後ろでやりたい放題やっているのを、俺は検証勢とマルドゥーク達の悲鳴で把握していた。


 楽しそうで何よりだ。


 俺の方は肋骨の隙間からボウガンを撃っているわけだが、これが安定していて滅茶苦茶やりやすい。

 骨ドラゴンがデカいから視点も高いし、全体の戦況ひと目で分かるから告死紋の位置も決めやすい。


「回るぞ!」


 骨ドラゴンの方もちゃんと派手に動く前にひと言くれて助かる。

 気の利く骨ドラゴンだ。


 さて、戦場を高めの位置から見ていて思うのは、やっぱり大手クランになる麗嬢騎士団とモロキュウ冒険団は、どっちも連携がきちんととれているなって事だ。

 誰がどのくらいの立ち位置で、何をするのか。

 陣形とも言える。

 盾役、火力、バフ、デバフ、回復。そういった役割分担を決めて、きちんと練習しているんだろう。迷いがない、動きが良い。

 強いて言うなら番犬ジョンがやたら突出して突っ込んでるが……あれは立ち位置を無視しているわけじゃなく、そういう役なんだろうな。


 敵が厚い所へ告死紋を入れる。

 ポメベロス先輩の紋も、その近くに入る。


 戦場をポメポメと走る告死獣の先輩は、俺が告死紋を入れた敵の付近に告死紋を入れる事にしたようだ。

 その方が、クランの範囲攻撃持ちがやりやすそうだったしな。


 そして同じく戦場をワフワフと駆け回るチーム・ベラドンナ。

 ある意味初陣ともいえる毒持ちの植物系狼達は、ネビュラをリーダーとして駆け回り、敵に毒をばら撒いていた。

 日々デスポテトだのイチコロキノコだのを食べて健やかに育った狼茄子達は、相当凶悪な毒を会得したらしい。

 口内や爪には、戦闘中だけドロリと粘性の高い毒液を滴らせる腺がある。鋭い爪牙にその毒を纏わせて敵を砕いているわけだが……

 ……どう見ても敵が軽く溶けてるんだよなー

 鉱石系の敵にそれって、どんだけヤバい事になったんだろうか。有志wikiでも見ないレベルなんだが……ああ、それなら今度採取させてもらって矢尻に使おう。……矢尻が溶けなければ、だが。


 そんな感じでうちのワンワンズと大手クランが頑張ってくれている最前線だが、何せグルリと囲まれているから多少は後ろに抜かれる。

 それを始末して魔法陣を守っているのがジャック達三兄弟だ。


 ジャックは【草魔法】のレベルが高くなってきているから、茨のようなトゲだらけのツタを生やして魔法陣を囲んでいる。

 そこへ粘着性のある糸を追加して守っているのがマリー。

 デューが騎兵のように走るニワトリのダディに乗り、ジャックと一緒に駆け回っている。


 全体的に、安定はしている。

 ただ、敵が補充されている雰囲気があるんだよな……


 この敵は洞窟内に大量に散らばっている輝石がモンスター化している物だが、壁際の輝石が追加でモンスター化しているのが見えている。

 そして洞窟中央の魔法陣付近では、輝石を封印に使っている。


 ……まさか全部使い切るまで終わらないって事は無いよな? ……エフォ(EFO)だとありそうで怖い……封印完了するまで耐久とかだと思いたいが。


 そんな風にクリア条件を考えていると、後ろから魔法陣の上で伏せてポーションを飲んでいるMPタンク担当達の声が響いた。


「ヤバいよMPの回復追いついてないんだけど!」

「この人数でポーション飲んで目減りしてるの怖すぎる……」


 あ、そんなヤバい?

 ちょっとキーナにMP控えめでって言った方がいいか?


 だが俺が動く前に、MPタンク担当のプレイヤー達は自分達で解決策を持ち出してきた。


「誰かもっとMPの回復量が大きくなるポーションとか持ってないの!?」


「おっ、言ったな? 言ったな??」

「その意気やヨシ! 君達にはまだ早いかと思っていた切り札をお出ししようじゃあないかぁ!!」

「目的のために全てを捨てる覚悟はあるかぁー!?」


 ……なんだ、何を始める気だマルドゥーク。


 聞こえてくる会話に耳を向けていると、マルドゥークの誰かが「じゃーん!」と何かを見せびらかしたような声を上げた。


「これぞ!『マナへと捧ぐ贄の霊薬』!!」


 なんだその不穏な名前の薬は。


「これを飲むと、一定時間強制的に睡眠状態になる代わりに、MPがアホみたいな速さで回復を始めまーす」

「寝ちゃうからなんにも出来なくなるけどな!」

「文字通りの人間MPタンクがいっちょ上がりって寸法だぁ!!」

「うわ」

「人権が無い!!」

「何そのポーション!? に……森フェアリーが噛んでたりする!?」

「俺も聞いたことねぇよ!!」

「何を使った薬だ……!? 材料は何処の何だ!?」

「おふざけでも誰かに『飲め』って圧かけるだけで一発警告喰らうから気をつけろよ☆」

「そうでしょうとも!!」


 これはひどい。


 マルドゥークが持ち出したとんでもポーションに阿鼻叫喚が飛び交う魔法陣の上。

 ……とはいえ、起死回生の一手になるならと、MPタンク役は全員飲む気になっているらしい。


 ああでも、それなら──



「ポーション飲んで寝るヒト達。寝てる間、ステータスをバフとして使ってもいい?」



 うん、そうだな。キーナはそれが出来る。


 問われた魔法陣の面子は一瞬沈黙して……論丼ブリッジさんがすぐに確認の問いを発した。


「それは……ヒュージソーンネペンテスのようなステータスドレインか?」

「ボスの名前忘れたけど多分それ?」

「マジかよ……」

「大魔女お姉様がそれやるなら、封印魔法組も飲んだ方がいいんじゃない?」

「だろうな……飲もう」


 どうやら方針は決まったらしい。

 MPタンク要員18人と、封印担当の3人を加えた、計21人を全員キーナに収束させての一手。


 ……責任重大だぞ、頑張れ相棒。


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― 新着の感想 ―
ダブルメテオとか元気玉とか
完全に一人レイドバトルじゃねーかw
ベラドンナ達の爪切りして切った爪を粉にして矢尻に塗ったら毒耐性できそう
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