食い違い
里崎絵美の目撃証言の確認を行った田中と一はその足でもう一度コンビニ付近の聞き込みを行うことにした。アパートで20歳くらいの男が証言していた情報と絵美の話す目撃情報の食い違いを解消するためであった。コンビニ近くの通りを歩く人や付近の商店街などで聞き込みを行うが、これといったものはやはり出てこなかった。
「しかし、こうも何も出てこないものですかね。」
疲れたようの一は田中に愚痴をこぼす。それもそのはずである、絵美を今朝訪ねてからすでに3時間以上経過している。
「今手元にある情報が2つ。1つがあの少女のもの、もう1つがあのアパートの男のもの、か。」
確認するかのように田中はぼそっと独り言を呟く。
「事件の目撃情報が2つしかなくて、その2つが食い違ってる。あと少し何か情報があれば判断できるかもしれませんが、このままだとどちらが…」
「本当か分かんねーな。」
そう会話を交わした後、二人はじっと押し黙る。田中は事件について考えを巡らせていたが、一は今晩は何を食べようかななどと他のことに思考を働かせていた。そんなとき一はふと思い出したようにはっとした。
「田中さん、そういえば昨日聞き込みをしたおばちゃんが言ってたアパートのゴミを捨てる日にちを守ってくれない男子大学生って情報をくれた男のことなんですかね?」
「あーそういえばお前が熱心に愚痴を聞いてたあのおばちゃんか。」
「別に熱心には聞いてないですよ。」
「まぁそこは重要じゃねーよ。そうかもしれんが、それがどうかしたのか?」
「いや、もし行き詰まってるのなら情報を再確認しに行くのもありかなって思いまして。」
「再確認しに行くことにはまぁ賛成だけどよ。それとおばちゃんがどう絡んでくるんだ?…お前まさか。」
「そのまさかです。」
「やっぱりゴミについて注意するつもりか。」
「お節介ですかね?」
「刑事の仕事とはとても思えねぇけどな。でも確かに行き詰まってるし、行ってみるのはありかもしれねーな。」
二人はそう話すと聞き込みを一旦中断し、昨日行ったアパートに向かうことにした。そして、そのアパートに向かう間にまたあの女に出会うことになるのである。




