究極の二択
そうして慣れない環境に入ったせいか早産となり予定よりずっと早く第四子テオを出産した。
テオを殺さない代わりに、彼に抱かれ続けて一か月が経つと、私は妊娠した。
誰の子供かなんて言わなくても分かる。
今後の状況次第で、テオとこの子は殺されるだろう。
テオは今の状況で唯一私を繋ぎとめられるから殺されないだけ。
この子達が生まれれば、テオは殺されてしまう。
でも万が一、イギリスに戻ることになれば、この子達が殺されてしまう。
どちらも私にとっては地獄のような悲しみを味わうことになる。
どちらからも逃げることが最善だけど、そんな人脈もお金も、私にはない。
泣き始めるテオを抱きしめる。
私には、どちらかなんて選べない。
月明かりが水面を照らす夜、いつも通り訪れたマクシミリアンをソファに着かせる。
「珍しいですね。私と対話を求めることは…」
「テオを、殺さないでください」
「…貴方とは約束したはずですが?」
「テオを殺したら、この子達を産んだ後、死にます」
「そうすれば、その子供達がどうなると思いますか?」
「貴方の、子です」
「そうです。私と貴方の子。決して辛い思いを味合わせたくはないでしょう?」
「…おねがいします。おねがい…っ。テオを、テオを殺さないで!」
ソファに座る彼の足に詰め寄り縋りつく。
どれだけ惨めになろうとも、泣き縋った。
「貴方は泣き顔すら美しいですね」
そんな私の訴えも、所詮は殻の声だというのに。
私の瞳に映る彼はやっぱり、嗤っていた。
それから彼は容赦など知る由もなく、私を犯した。
そしてとうとう十九歳の梅雨に、第五子イヴァン、第六子ヴィクトリアを出産した。
一卵性の双子で、どちらもマクシミリアンの遺伝子を色濃く受け継いでいた。
それでも、愛せない理由にはならなかった。
テオに弟と妹の存在を知らせる。
オリバー、オリビア、イーライのこともずっと不安だ。
マクシミリアンは双子が生まれたというのに、扱いはテオとさほど変わらなかった。
相変わらず私を繋ぎとめる道具としか認識していない。
その無機質な目が、どことなく彼を連想させた。




