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おばあちゃんの異世界漫遊記  作者: まめのこ
【第2章】丘の街ヴィトエート
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3 虐げられた子と白髪のロザール

窓の外が暗くなり、フクロウが鳴き始めた。


台所からはふんわりといい匂いが立ち込め、お腹が鳴る。


「簡単なもんだが。」

ロザールさんが食事を乗せたお盆を持ってきてくれた。

ヤギ肉と野菜のトマトの煮込みとチーズを挟んだナン、そしてチャイティーだ。


「おいしい・・・・」


ヤギ肉はほろほろと溶けるように柔らかく、野菜の甘さが滲み出てる。

ナンは少し硬めだがスープに浸すとちょうどよくなる。

暖かい食事がアガットの疲れた体に染み渡りほぐしていく。


そしてチャイティーに入っているシナモンのピリリとした香りと味に疲れてぼうっとした頭がさえていく。


「ロザールさん色々と本当にありがとうございます。なんとお礼を言っていいかわからないんですが、汚したタオルやお風呂場などの費用はちゃんと払いますので。」

「いや、必要ないよ。俺の方こそこの子を助けてくれて感謝する。」

「知り合いですか?」


そう聞くとなんとも言えない顔になって黙ってしまった。


「・・・顔見知りっといいものか・・・俺もこの村に来てまだ短くてな。迫害されてきたこの子が可哀想でたまにご飯をあげてたんだよ。俺も子供がいてな。」


それからロザールさんはポツポツと自分の話を始めた。

「俺は元々もっと東の方に暮らしていたんだ。」


砂漠の近くの村で鍛冶屋として生計を立てていたという。妻と子供と3人で幸せだったと。

だかそんな幸せも長く続かない。


子供が拐われたのだ。

市場で妻が少し目を離したすきに。村中の人に聞いて回っても、探し回っても見付からなかった。妻は自分のせいだと精神を病み、食事もろくに摂らなくなり、ロザールの看病虚しく、程なくして亡くなってしまう。


ロザールは子供を探すため鍛冶屋を辞め、旅に出る。

いろいろは村や町を廻って来たが、簡単に見付かる筈もなく、

資金が底を尽き、遂には立ち寄った村で倒れてしまう。


「それがこの村で宿屋の主人が助けてくれなければ死んでたかも知れんな。」


礼をしようにも資金がなく、持っている物といえば妻との指輪と家族3人が内側に描かれたペンダントぐらいしかなかった。

身の上話を主人にすると、主人は気前よくただ数週間店番をしてくれたらと言ってくれ、それだけでいいのであればとロザールも安易に引き受けた。


そこで終わればいい話だとなるだろう。


が、2ヶ月が過ぎそろそろ息子の捜索に戻りたいと願い出ると主人はもう少し、もう少しと滞在を引き延ばし始めたのだ。


一食の恩義があるためロザールも強くは出れなく、時間だけが過ぎていく。

苛立ちを抱えながら宿の経営をしていると爬虫類の子供の話が耳に入ってくる。

虐げられ、ろくに食事にもありつけていない状態のせいか幼く、か弱い。自分の子供と重ねてしまい、ついつい世話を焼いてしまう。


すると宿の主人はいい顔をしなくなりロザールに嫌味を言うようになった。


曰く、自分達は爬虫類の魔物に迫害されこんなところに住まなければならなくなったのだ。

ロザールを雇っているのだって村の復興に忙しく人手が不足していているからだ。

その魔物の血が濃く流れている子供は悪であり、この村から追い出したいほど憎しみがあるのだと。それを置いてやっているだけまだやさしいのだと。


つまりは自分たちは良心がある住民だと伝えると同時に、ロザールに子供の世話をするのを辞めろと言っているのだ。


今までの不満もありロザールは主人と激しい口論になってしまう。

そのことが切っ掛けで村人達からもいい顔をされなくなり、食材を買うのも難しくなっていった。


それでもロザールは子供の面倒を見るのをやめなかった。隠れて子供にご飯をやり、時々風呂に入れてやり、言葉を教える。


息子の捜索を忘れたわけではない。だが、目の前の虐待されている子供を見て見ぬ振りもできない。ロザールの良心がそれを許さなかったのだ。ただただ時間だけが過ぎていく。


数ヶ月の時間の中でロザールの髪の毛は心労により真っ白になってしまった。


悩み抜いた末に出した答えが、虐げられて来た子供を連れて村を出ていくことだった。


だが、十分な保存食と必要品を揃えようとした矢先に今回の事件がおきた。


「あんたにゃ感謝しかねえ。俺はうじうじと悩んだまま何もしてこなかった。もしあんたが来なければもっと酷い結果になっていたかも知れない。」

「そんな・・・・ロザールさんもこの子に色々してあげたのでしょう?自分を卑下しないでください。あなたがいなければこの子はもっと大変な目にあってたはずです。」

「俺の存在でこの子が少しでも救われたのなら・・・・・うれしいなぁ。」


最後の言葉は少しかすれ震えていた。


アガットはそれに気付かないふりをして、子供の看病をしていく。


遂に書きたかった部分が少し書けました。


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