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エピローグ





 雪の降る町だった。真っ白い純白の雪。それがやわらかい朝もやに包まれている。

 いつもの柔らかい町の喧噪が嘘のように静まり返っていて、その世界はとても幻想的だった。

 その場所はとても暗い。街灯も遠くて、世界には誰もいないよう。

 でもその世界はどこか優しい、そんな空気をまとっている。

 その美しい世界の中――

 二人の人間が立っていた

 少年と少女。

 少年はいかにも寝起きのような格好でそこに立っていて、

 少女は待ちつかれたように白い息を吐き出しながら少年を見つめていた。

 どこまでも白いその雪の上で少年は顔を真っ赤にしながら手を差し出した。


「好きです、つきあってください」


「ええ、よろこんで」


 それに答えるように少女が微笑する。

 二人はとても仲がよさそうに笑いあっていた。

 それはどこにでもある風景のようで、何処にもない風景だった。

 二人人とも浮かべた笑顔がとても華やかで心から笑っていたからだ。美しく、そして本当に優しい笑顔だった。

 しんしんと寒い夜気の中に二人の笑い声だけが響いていた。

 やがて二人を照らすように光が差した。


「……うわあ」


「朝日だ」


 朝日が昇る。二人が歓声を上げた。


「いこう! 雄平!」


 幸せそうに微笑んだ少女が、告白した少年に手を差し伸べる。


「ああ、いこうか。芳乃」


 少年は優しく、包み込むようにその手を握り締めた。

 その手は暖かく、どこまでも優しい。

 視線の先には大きな朝日が上っていた。




というわけで『ここが夜だと貴女は謡う』。閉幕であります。

この作品は今より一年半ほど前に書き上げた、初めての長編になります。

まあ、だからどうだというわけではありませんが、相当稚拙な出来となっていることをまず謝罪したいと思います。っていうかずっと思ってました。

しかしながら、全体の雰囲気がどこか現実離れしてるというかふわふわしてる感じなので、謝罪とかいれて雰囲気を壊してしまったらただでさえへっぽこな作品がさらにどうしようもなくなるので、この場を借りて呼んでいただいた方への謝罪をさせてください。

余韻をぶったぎってもうしわけありませんが(汗)


加筆修正を行うことももちろんできたのですが、これが当時の限界だったわけで、小手先だけの技術が上昇した(のかなあ……)現在、文章から伝わる何かを損ねるかもしれないという可能性を考慮して、あえて原文のまま掲載させていただく運びとなりました。

この作品は『新人賞応募規定内』を想定した作品でありまして、最後らへん、ページ数が足りなくなったためにかっとんでエピローグとなっています。

というわけで、おそらく分かり難いであろう『夜』の概念についてひとしきり説明したいと思います。


あれは、ストレスの浄化機構を視覚化(言語化)しようとしたもので、すなわち外的から与えられたストレスを、自分の哲学、思想、考え方、人生観なんかで(雄平であれば双剣がその象徴ですね)倒してしまうという感じです。

白血球とばい菌の関係ですかね。だから戦闘能力とか持っているわけです。

幼いころ、雄平と芳乃と希はそれぞれボロボロになっていました。ゆえに彼らはストレスをより強い方法で倒さざるを得なくなり、最終的に自分という主体さえ迷い込ませてしまいます。自分のすべてをかけてストレスを退治しなければなかったわけです。

雄平は孤独。

芳乃は喪失。

希は抑圧。

そして彼らは純粋で、とても優しすぎました。それぞれがやさしすぎるゆえにああなってしまったのは作中で描きましたが、それ故に彼らは他人のつらさに取り込まれてしまうのです。

そのために雄平は他人から意識的に遠ざかり、芳乃は仮想的な自分を創り、希は男性というパーソナリティを盾にせざるを得ませんでした。

彼らはその孤独から仲間を求めます。それが『夜』という境界領域の共有を招きます。

そこで出会ったのが三人なのです。

『夜』の構造としては卵のパックみたいなイメージで球体が隣り合って並んでいる感じです。

孤独な叫びは殻をぶち破り、そして三人は出会いました。

それから三人は一緒にすごし、そして希が芳乃に嫉妬して二人の自我を殺してしまいます。それはセーブデータが消えたゲームのようなものです。

まあ、レベルアップ性ではないので、セーブとは別のテクニック的な部分は脳に残っているとかそんなイメージでした。

大体そんな感じです。まだまだ矛盾はありますし、すでに破綻しているわけですが、それでも完結させられたことは僕の宝になっています。

というわけで終わります。


ではまた、別の作品であいましょう!

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