『戦争の天才』は降伏勧告を受け入れる!
「もうこれ以上奴の横暴は我慢できない!」
「皇帝陛下直属の司令官だろうがもう我慢できない!」
ヴァントリアス帝国の諸侯たちは一斉に声をあげる。
怒りの矛先はただ一人。
辻である。
ヴァントリアス帝国は戦争に負けそうである。
しかし、辻は降伏を絶対に認めない。
首都は陥落し、工場は核兵器で焼かれ、人は特攻で死んでゆく。
もはや帝国の戦況に勝ち目などない。
そこで諸侯たちはどうしたら降伏できるのかを考えた。
そして、一つの結論に行きつく。
辻の暗殺だ。
歴史的に見てもよくある手段だ。
作戦はすぐに実行された。
狙われたのは移動中。
車から降り、建物から移動しようとしたその時、一発の銃声が響き渡った。
銃弾は見事、辻の頭を貫いた。
辻は即死だった。
皮肉にも、狙撃したのは辻が異世界から召喚した、シモ・ヘイヘの一番弟子だった。
それからすぐ、この事実は隠匿され、情報統制が敷かれた。
そして捜査が始まった。
しかし、数々の侯爵が、協力しているため、捜査は難航。
そんな中、リアムリード公爵は皇帝に罪を自白した。
その報を受け皇帝はすぐに、リアム・リード公爵と対談をした。
対談する部屋は、質素で机と椅子が置かれているだけ。
後は花が少し飾られている程度だ。
「リード公、なぜ辻を殺害した?」
そう質問する男こそ、ヴァントリアス帝国の皇帝。
年齢は28で、お世辞にも風格があるとは言えない。
髭はなく、スラっとしている。
「辻は降伏をかたくなに拒みました。しかし、この戦況では勝つことは不可能。よって、辻を殺害し、
この国を降伏へ傾けようと致しました」
それを聞いた皇帝は「そうか」とだけいって黙った。
「陛下、大陸同盟は、人道を重んじると聞きます。降伏を受け入れても、国益を損なう事こそあれど、
滅亡させるようなことはしないと思っております。これ以上戦っても無辜の民を無意味に害するだけ。
どうか、降伏を受け入れてはもらえないでしょうか」
「わかった。降伏しよう」
皇帝の返事は早かった。
まるで、仕組まれているかのようだった。
後に分かる事だが、皇帝は降伏派だった。
しかし、辻が召喚されてからというもの、皇帝の権力は衰え、辻に権力が集まるようになっていた。
最初こそ、近代化を成し遂げ、諸外国を打ち負かし、国家を強化させていたことから、皇帝はあまり強く反論できなかったが、次第に戦況が悪化するにつれて、皇帝は辻に対する不信感を強めていったそうだ。
降伏したくてもできない、そんな状況に頭を悩ませているときに、あの暗殺が起き皇帝にとっては僥倖だった。
‐‐‐
つい先ほど、ヴァントリアス帝国から降伏の申し入れが来ていた。
我々はそれをすぐに受け入れた。
前線には攻撃の停止を命令し、敵には武装解除を要求した。
ついに終わったのだ。
この長く苦しい戦争は。
多くの人が死に、建物は壊され、国土は荒廃した。
しかし、これこそが『最終戦争』
これで、人類は平和になるだろう。
それから私は降伏に向けて、様々な手引きをした。
ここからは政治の世界。
と言うことで、この件の責任者にリノ・バステルを任命した。
しかし、私は一つ、絶対に遵守すべきことを告げた。
それは、一方的な裁判をしない事だ。
前世、極東国際軍事裁判は酷いものだった。
いわれのない罪をかけられたものや、当時は存在していなかった罪で裁かれたもの。
そして、そのすべてで、一切の言い分を聞き入れてもらえなかった。
あんなものを繰り返してはならない。
私はそのことをリノ・バステルに伝えた。
長く苦しい戦争は終わった。
そう思うと、私の方に乗っていた、重い何かがとれたように感じた。
そろそろ物語も終わりを迎えそうになりました。
最後に質問返しをしたいと思います。(実はやってみたかった)
質問や指摘等ございましたらぜひお願いします。




