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『戦争の天才』は白金作戦を開始する!

 今回は三人称視点での話となります。

 三人称離れてないので拙いです....

 それでも見てくれたら嬉しいです。

 ワハ島。

 フェアンベルゼン王国とヴァントリアス帝国を隔てる海青龍洋のど真ん中に位置しする島。

 コンクリート製の要塞化がされており、2個師団が常時待機。

 全周囲に36糎露天連装砲が展開されており、他にも高射機関砲、20糎連装砲など様々な砲が展開された四方どこにも隙が無い、まさに鉄壁の要塞。

 青龍洋の真ん中に位置するがゆえに地政学的に非常に重要な意味を持つ。



‐‐‐




 聯合艦隊は既に準備を終え、敵の返答を待っている段階。


 聯合艦隊司令長官に任命されたのは高野五十六。


 艦橋では大きな足音とともに一人の兵士が高野に駆け寄る。


「長官!統合作戦司令部の石原陛下より伝令、『ワ号作戦を実行せよ。ちょうど1時間後の12時8分に宣戦布告する』との事」


 戦争は始まってしまった。

 高野は予想していた。

 ヴァントリアス帝国の外交態度を見れば敵意は明白だった。


 辻は戦争を、ヴァントリアス帝国を、この世界を、自身の功名心を満たす道具としか思ってないような奴だと高野は思っている。


 石原に勝ちたいだとか、石原よりも優れた軍師であることを証明したいとかそんな理由で戦争しているのだろう。

 

 高野は先ほどの兵士に命令する。 


「最終点検を済ませた後、随時発艦せよ。宣戦布告と同時に攻撃を開始する」

 

 兵士は高野の話を聞き終わると、勢いよく船室を出た。

 それと、無線士にも指示を出す。


「すでに上空で待機している落下傘部隊をワハ島上空に待機させるよう言ってくれ」


 落下傘部隊こそが、今回の作戦の鍵となる。


 そこから準備は、順調に進み、気づけば作戦開始まで残り一分。



‐‐‐



 落下傘部隊は既にワハ島上空にいた。

 そして時計が12時8分まで残り30秒をさしたとき、部隊は一斉に降下を開始した。

 飛行魔法を巧みに使い、軌道を修正する。

 そして、運命の時間は訪れた。


 落下傘部隊は落下しながら一斉に魔法を放つ。

 火、水、土、雷、様々な属性だが、そのどれもが、超級、または神級の魔法。

 そしてそのどれもが、ワハ島を直撃した。


 あまりにも理不尽な一撃。

 上空から、しかも高高度から敵が降ってくるなど前代未聞。

 ワハ島にいた陸上兵士の半数は、今の攻撃で無力化された。


 落下傘部隊は飛行魔法を使って、徐々に速度を落としていく。

 自由落下からの減速。

 かなりの重圧だが、落下傘部隊は全員が戦術歩兵、または戦略歩兵。

 それをも意に介さず作戦を実行する。


 敵は大混乱のなか部隊は着地する。

 大多数の部隊は敵基地のど真ん中へ。

 ただ、一部小隊はなぜか、少し離れた林へ着地した。

 落下傘を用いらなければ、着陸直前まで、姿は見えない。

 ましてや音もない。

 部隊は何と、着地するまで攻撃を受けることはなかった。


「火を消せ!」

「こっちに要救助者がいるぞ!」

「いったい何なんだ!」


 敵は大混乱である。

 落下傘部隊が着陸してすぐ、敵兵と戦闘を開始した。

 と言っても敵は武装していない。

 一方的な蹂躙だ。

 ヴァントリアス帝国の兵士たちも腕に覚えのあるものは戦闘をするが、敵は連合軍の戦術、戦略歩兵。

 しかも完全武装してるとなれば、勝負は見えている。


 こうして敵は一時退散するが、落下傘部隊は深追いはせず、手分けして対魔法結界スクロールを探し出す。

 たいていは分かりやすく頑丈な建物に展開されている。


 どうやら今回も例外ではなく、一つの小隊がそれを見つけ出す。

 その小隊の辺りには2人の兵士が死んでいた。

 恐らく対魔法結界スクロールの護衛だったのだろう。


 小隊はそのまま建物を出て音と狼煙をあげる。

 これを聞き、他の部隊も続々と建物から出てくる。

 狼煙と音は任務が完了した合図なのだ。


 すると、先ほど林に着陸した部隊も音と狼煙をあげた。

 この二つの合図を聞き、落下傘部隊は飛行魔法を使ってワハ島を脱出した。


 5粁(キロメートル)離れたところに小型艇が用意されている。

 それを目指して部隊は撤退した。


 嵐のような攻撃。

 敵は混乱に陥り、反撃できなかった。

 

 一方、近くでその狼煙を観察しいる者がいた。

 それは連合軍の潜水艦だ。

 潜水艦はすぐ、聯合艦隊に狼煙が上がったと報告する。


 それから少しして、悪夢は再来した。

 聯合艦隊による、航空攻撃である。


 先ほどの狼煙は、部隊の撤退と、航空攻撃の合図だったのだ。

 攻撃に参加した航空機は艦上攻撃機500機以上。


 辺り一帯が銀翼の鳥達で埋まる。


 そしてすぐ、攻撃が始まった。


 実のところ敵司令官カーターは辻から直々に言われていたことがあった。


 それは『敵航空機による艦艇への攻撃』

 前世、真珠湾攻撃を模した攻撃。

 辻はそれを警戒したのだ。

 真珠湾攻撃は高野が立案した作戦。

 高野が司令長官であるからして、聯合艦隊がこれを仕掛けると予想した。


 だからこそ、先ほどの攻撃からすぐ、湾近くに対空兵器を密集させ、艦艇に対する対航空防御網を敷いていた。


 しかし、それは裏目に出る。


 なんと、航空部隊はことごとく、内陸の基地を攻撃し始める。

 戦車、戦闘機、その他工作機械。

 陸上戦力とその他補助の車両。

 それをことごとく排除する。


 対空兵器がほとんどない内陸はただ一方的に攻撃される。

 辺りは地獄そのものだ。


 航空機によって敵陸上兵力はほぼ、壊滅。

 水兵も多くが被害を受け、まともに艦隊は動かせそうにない。


 そんな中、彼らに更なる悲劇が襲う。


 航空機が去り、攻勢が終わったかと思われたころ、島の林の方から、音が聞こえた。

 それは重く、厚い音。

 

 そう、転移スクロールによって送り込まれた連合軍だ。

 空間を切り裂くような音の正体は戦車だった。

 先ほどの空挺降下で多くは対魔法結界の破壊のために降下したが、一部は転移スクロールの展開のために林側に降下したのだ。

 

 敵は信じられなかった。

 輸送船も、艦隊も近くにいない。

 なぜ、ここに陸上戦力を送りこめたのか。

 

 それに理由がどうであれ、もはや対抗するだけの戦力は残っていない。

 司令官のカーターは降伏するほかなかった。

 

 降伏の知らせはすぐに聯合艦隊に知らされ、高野の耳にも入った。


「では、敵司令官と会談するとしよう」


 高野は艦橋でそう言って艦隊をワハ島に向けて動かした。


 ワハ島では武装解除が行われ、ヴァントリアス帝国の兵士たちが一か所に集められている。

 ヴァントリアス帝国の使者は4000人を超え、まさに大打撃。

 

 こうしていると、ついに高野がワハ島に上陸した。

 陸上部隊の案内によって、高野は部屋へと案内される。

 粗末な部屋だが、ここがかろうじて爆破されなかった部屋だ。


 すでにカーターは席に座っている。

 高野も席に座る。

 一呼吸置いた後、カーターは煙草をふかした。

 高野はそれを見てやや不機嫌になりながらも呼応するように煙草に火をつけた。

 

「それで、今回の事についてなんだが.... 」


 カーターはそこから、残存艦隊についてはどうするか、兵士はどうするか、武器はどうするかなど、様々な事を高野と話し始めた。

 ある意味、軍人としてはよくできている。

 残された戦力、残された物資を効果的に使い、敵に対抗する。

 それが今できる最後の抵抗だった。


 武器や弾薬、石油は引き渡すので、兵士、残存艦隊は引き渡してほしい、というのがカーターの考えだった。

 簡単に補充できるものは引き渡し、そうでないものはこちらが持っておく。

 非常に合理的だ。


 しかし、その意図を理解できない高野ではない。

 そんなことをしては敵に力をつけさせるだけ。

 だからこそ高野はただ一言、こう言った。


「君は俺らと徹底抗戦するのか無条件降伏するのか、どっちなんだ」


 有無を言わせない2択。

 少しでも有利にしたいカーターにとっては最悪の話だった。


 かなりの間の後、カーターは振る絞るように弱々しい声をあげる。


「私たちは貴官らに対し.... 無条件降伏を受け入れる..... 」


 この一言によって、ワ号作戦は終了した。

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