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一流魔法師妹と三流剣士兄  作者: 霧島 アヤト
入学編
8/64

三流剣士の所以Ⅴ


「おーいアレクシアー待って〜」


いつもと違い、ヘラヘラしながら氷雨はアレクシアを追いかける。


「はいはい」


なぜか、校長室を出てからのアレクシアは氷雨とフレンドリーになっていた。


「そういえばさ、あなたなんで魔眼持ってるの?」


氷雨がアレクシアに追いつくと、アレクシアから話を振って来た。


「ちょっと、外で話すの嫌だから部屋戻ってからでいい?」


「分かった」


氷雨の顔が暗くなったのを察してその話を中断した。


「それより、アレクシアさこの学校に知り合いいるの?海外から来てしかもお姫様とか誰も話しかけてくれなくない?」


アレクシアは動揺したが、しっかりと返答した。


「知り合いは、いないけど友達はまだいないけど頑張って作るわよ!別に友達が出来ないとかそう言うわけじゃないからね!」


「ま、まあ、頑張れ!」


右手の親指を立てウィンクでアレクシアを応援する。


(応援してっぞ!)


呆れながら応援する氷雨。アレクシアに友達ができる日は来るんだろうか...


「そういうあなたは知り合いいるの?」


「ああ。中学校同じだった友達と、あとは、小学校で多分一緒だった女子だね」


「へ、へぇ!そうなんだ。あっそ!」


何故か、少しアレクシアは気分が悪くなっていたが氷雨は気付かず話題は変わった。


「そういえばさ、皇女ってどんな感じなの?」


「あのね、それよく聞かれるんだけどなんて答えればいいかわからないいんだよね。だって、あなたは、平民ってどんな感じ?って聞かれても答えられないでしょう?」


アレクシアは、偉そうにペラペラ喋るが、言っていることには間違いない。


「平民ってなんだよ、平民って!」


「皇族からしたらそんな感じよ」


シレッとしたアレクシアの声のせいで話がなくなり、二人には沈黙が訪れた。



二人で自室に到着した。氷雨は覗き魔とか言われたり、手当のためにしかこの部屋にはいつまでいなかったのでゆっくりと部屋を見たのは初めてだった。

玄関からすぐ右に風呂場とトイレと洗面所があり、その奥には二段ベットがある。それ以外には、冷蔵庫やキッチンなどかなり充実した部屋だった。


「他の部屋もこんな充実してるのかな?」


「え、これが充実っていうの?」


二人の基準が全く違いため、意見がほとんど噛み合わない。


「え?だいたい家具揃ってるから充実してるでしょ」


「え、机もキッチンも風呂もしょぼいじゃない。全部揃ってるのは当たり前よ!」


「え、だって学費ないんだぞここの学校。本当に何言ってんだ!?」


「え?」


二人の会話は驚きの連続で全く話が進まない。高校生にしては何故がしょうもないところで張り合っている。


「まあ、いいわ。それより、本題に入りましょうよ」


アレクシアが一息ついて、声を真剣なトーンにする。


「俺が魔眼をもっている理由か?」


氷雨の言葉にアレクシアはコクリと頷く。それに対して、氷雨は一息ついて話を始める。


「俺の異能者になった理由を話せために、俺の家族のことを喋らなきゃいけない。さらに、話は長くなるけどいいか?」


最終確認を行うが、アレクシアは瞬時に頷く。


「俺の家族は、妹が二人いる。親はあっという間に死んでしまったよ。俺が小学生の時にはもういなかったと思う。」


「ちょっと待って!」


首を傾け、話をやめてアレクシアに話をさせる氷雨。


「『と思う。』って、なに?しっかりと覚えてないの?」


アレクシアは驚き質問をする。


「あ、説明するの忘れてた。俺は記憶喪失しててね。覚えてる中学生からの思い出には親の記憶がないから、多分いないと思うよ。でも、親がどんなものか体験したいと思ったことはある。」


アレクシアは少し驚くがこれ以上驚くことがあるかもしれないため、すぐに話をさせた。


「話を続けて」


氷雨は、二段ベットの上に登りながら話を続ける。


「二人の妹は、双子で魔剣士と常人だった。上の妹は、少し言いにくいんだけどブラコンで、でも、成績が良くて一流剣士で正直言って完璧だった。性格は俺以外には少し冷たいが俺には馴れ馴れしい性格だよ。それに対して、下の妹は運動音痴で成績も悪くて、でも家族だから俺は好きだった。性格はまあ、優しいよ。でも、その妹はもう消えた」


長々と説明していくうちに氷雨の顔はどんどん険しくなっていった。アレクシアを睨んだときよりもすごい気迫になっていた。


「いないってどういうこと?」


アレクシアは、つばを飲みゆっくりと質問をした。


「死んだわけじゃない。おそらく第二人格を作られて下の方がどこかへ消えてしまったんだ。さらに妹は、いま世界で2番目に強い魔法士だ。」


アレクシアは口を押さえ震え始める。信じられないほどの壮絶な話だが、それ以上に驚いたのは、氷雨がそれを体験しこれだけ暖かい性格ということだ。そして、アレクシアはこの人が全力を、足したらと考えた瞬間恐怖を覚えてしまったのだ。


「まあ、話を続けさせてもらうよ」


氷雨の怒りの感情は消え、氷雨はまた落ち着いた状態となり話を続けた。


「で、その妹は魔力を注入させられて消えたんだ」


ゆっくりと、感情を殺しながら話す。


「誰が、やったの?」


アレクシアは、ここまで酷い話にはなると思っていなかったので話を振ったことを後悔している。


「お、ぉ、俺、な、んだ、よ」


氷雨は顔に腕をつけ顔を隠すようにシクシクと泣いていた。


(!?)


アレクシアも話についていけなくて悶絶。アレクシアは自分が、そのようなことをされた時のことを考えていたが、考えをすぐにやめてしまった。想像だけでも辛い。もはや、そこは人間が耐えれるような場所ではないと確信したアレクシアであった。


「だ、だけど、俺は利用、されただけで、その時、チューブみたいな役割をさせられたんだ。それで、そん時に気絶して、起き上がったら、こんな体質になってた、んだ」


泣き声を殺しながら、話を続ける氷雨。泣き途中だが、氷雨がこの体質になったのは自身は知っているが、こんな事件のせいで人を信頼することができなくなってしまったため、アレクシアにも本当の話はできなかった。


「た、大変ね。だけど、ここに来たからにはその妹を救いましょう!」


アレクシアは氷雨が話してる最中に氷雨を励まそうと恐怖の感情を消えさせていた。しかも、まだまだ話に謎は多いが、アレクシアはその話に深入りしなかった。氷雨を苦しめないために。アレクシアはかなり優しい性格なのだ。彼女にも彼女の性格を作る事件があったからなのだ。


「だ、だね!」


氷雨は涙を拭き、アレクシアへとしっかり返答した。



氷雨の話の後、二人はぎこちない空気となり少し長い沈黙に襲われていた。仕方ないだろう、なぜなら二人は今日初めて会ったと思っている人物なのだから。


「ちょっと、氷雨質問があるんだけど?」


沈黙で、話そうとしていたことが話せなかったアレクシアだが、アレクシアがその沈黙を打ち破る。


「なに?」


「上の妹が、魔剣士ってことはこの学園にいるの?」


泣き終えた氷雨は、ゆっくりと二段ベットのはしごを降りながらアレクシアに話しかける。


「そうだけど?」


「ブラコンなら、一度部屋に来てもおかしくないよね?」


氷雨は、なにか心当たりがあるようで少し警戒する。


「多分外の足音俺の妹だと思う。」


少しずつ足音が聞こえてくる。その足音は次第に大きくなっていく。しかし、意識しなきゃ聞き取れないレベルだ。


“ガチャ!”


ドアが開き落ち着いた妹が出てきた。顔は凛としていて、氷雨の説明していた馴れ馴れしい感じは全く感じられなかった。


(氷雨の説明と全然違って、可愛いじゃない)


だが、アレクシアのその考えは一瞬にして崩れ去る。


「お兄様ぁ!!!!」


妹は氷雨を見ると走って氷雨に抱きつき、顔を氷雨の顔にくっつけていた。


(犬かっ!)


アレクシアは心の中で突っ込み、氷雨に質問をする。


「え?ここの国ではこれが当たり前なの?」


アレクシアは、やっとこの行動が変なことだと気づき、氷雨に質問する。


「ちょっ!時雨!どいて!」


アレクシアの質問は誰も聞かなくても答えが分かるような返事を行動で表してくれた。


「嫌です!」


イチャイチャしてる兄妹を見ながら、アレクシアは呆れて質問をする。


「氷雨さん。助けて欲しいの?」


嫌そうな目で二人を見るアレクシア。


「ちょっ!止めろっ!助けてくれっ!」


妹が氷雨に抱きつき続け、寝っ転がりながらイチャイチャしているところにアレクシアが近づいて、妹を引っこ抜き座らせた。


「あ、ありがとう。アレクシア!」


アレクシアの目はまだ引いている。氷雨は、少しやりすぎたと思っていたが状況はさらに悪化する。


「あなたは、私とお兄様のスキンシップを邪魔する権利とかがあるのですか?」


氷雨は、頷きそうになっていたがアレクシアに睨まれションボリし始めた。


「いや、こんなスキンシップ止めない方がおかしいでしょ!このままじゃ危うい方向に行きかねないでしょ!」


ニヤリと笑いながら妹が質問する。


「危うい方向とはどのような事ですか?」


少し、顔を赤らめながら恥ずかしそうにアレクシアは答える!


「性の方向に行きかねないでしょ!」


なんとか言葉を濁らせて大声をだす。


「おお〜。ドアの空いたままよくそんな大声でそんなことが言えますね」


妹は笑い始め、アレクシアは顔を抑える。


「アアアアアアアア!なにしてんだ時雨!俺にいちゃつくのはいいけど、人を罵るのは止めろっていっつも言ってんだろ!」


氷雨が、珍しく切れてドアの方向に向かいドアを閉める。


「ぇ?ウッ、ウエエエエエエン」


少し疑問が出たが妹は泣き始めてしまった。


「あっ、ごめん!時雨!言い過ぎた!」


妹に近づこうとする氷雨に雷が飛ぶ。


「あんた、妹に甘すぎだろうがぁ!だから、妹がひねくれた嘘泣き野郎になんだろうが!」


アレクシアは恥ずかしさの頂点を突破したせいで、なぜかキレていた。


「えぇ!?ご、ごめん!」


氷雨は驚きながら、アレクシアに謝る。方向をアレクシアの方に向け歩き始めると、今度は氷雨とアレクシアの間に大きな水の壁が出来る。


「分かりました。お兄様が今日キスを拒んだのはこいつのせいですね」


時雨は泣き止んでいて爆弾発言を部屋に放つ。


「「嘘泣きじゃねぇか!」」


二人は同時に突っ込んで、氷雨が追撃を行う。


「いや、キスは毎回してないよ!16歳と15歳の兄妹が、キスするわけないでしょ?」


アレクシアは引いているが、妹には話が通じていなかった。


「この淫乱野郎がお兄様を変えたのですね」


「いや、違っ」


「大丈夫です。お兄様今からこの女はこの世から消えます」


氷雨の説明を聞かず勝手に被害妄想していく妹はもう止まらなかった。


「ソウルロック、解」


妹は、胸に手を当て捻り全身に魔力を送る。流石、氷雨が言うほどの魔力だ。氷雨の単なるシスコンではなく、ちゃんとした魔力量だった。腐っていても、今年度3位の実力の持ち主だ。


「いやっ!ちょっ待て!時雨!やめろ!」


「ソウルロック、解!」


アレクシアも、胸に手を当てソウルロックを解除する。


「雷鳴雷光轟け!〈クラウ・スラスト〉」


すでに501号室はボロボロになっていっていたが、剣が床に突き刺さる。


「なんで、お前もやる気満々なんだよー!」


氷雨はすでに取り残され、空気と化していた。


「氷と水よ。我が刀に忍べ!〈霜月〉」


二本の日本刀が、時雨の手に顕現させられる。


「お兄様に近づかないと約束さえすれば、懲らしめないであげますよ」


「それはこっちのセリフなんですけど?あなたと氷雨が一緒にいたら危険だわ。逃げるなら今よ」


(あーあ、もうこれはダメだ)


氷雨は呆れて、自分の周りに防護フィールドを貼る。


「黙れ」


「テメェがな」


二人とも女子とは思えない口調になり、剣を構える。


「くたばれ淫乱野郎おおおおおお!」


「死ねぇ!ブラコオオオオオオン!」


二人の快心の一撃は501号室を吹き飛ばし、全ての寮の部屋を停電させ大きな氷柱を作り出した。



「バカなんですか?」


氷雨は二人を正座させ、説教していた。


「え、でも」


時雨が言い訳しようとするがそれを無視して説教を続ける。


「あのね、これは100パーセント時雨が悪いよ」


氷雨は時雨を睨む。


「ちょっと、一つだけ言わせてください。お兄様は変わりましたよね?」


時雨は正座しながら、上目遣いで氷雨の手を握りながら話す。


「え、いや、その」


「オッホン」


アレクシアが、咳払いをして氷雨は自我を取り戻す。


「変わったかもしれないけどそれは高校生になったからだよ」


(え?中学生の時はキスまでしてたわけ?)


アレクシアは少し引いていた。


「それは、こいつに洗脳されたからですよね?」


時雨はその状態で話を続ける。


「だーかーらー、そこが悪いって言ってんだよ!」


氷雨は少し声のトーンを低くして話し始める。アレクシアは首を縦に振っていた。


「じゃあ、聞くけどアレクシアが俺を洗脳した証拠はあるの?」


アレクシアはまた頷いている。


「だって、人の名前を軽く下の名前で呼ばないお兄様が1日で下の名前で呼ぶようになったのは不自然じゃないですか」


氷雨は、予想外の返答に回答を困らせた。


「そ、それはっ、ルームメイトだからだよ!」


言い訳を思いついた瞬間、すぐさまその言葉を発する。


「へぇー、そうなんですか。じゃあ、これはどうですか?なぜ保健室で彼女の胸を揉んでいたんです?」


((!?))


アレクシア頷くのをやめすぐさま顔を赤くした。氷雨は、アタフタしていながらも疑問が浮かぶ。


「見てたの?」


氷雨の言葉によりアレクシアも気付き顔を上げる。


「そ、そうよ!あ、あんたまさか見てたの?」


あの恥ずかしい行為を見られたことの恥ずかしさもあるが、それよりも衝撃的だったのは時雨が氷雨のことをずっと追いかけていることだ。


「見てて悪いんですかお兄様?」


なんの罪悪感もなく話を続ける時雨に対して二人は嫌悪感を抱き始めた。


「お、おい、まさか入学式から一度も俺と目を離さないで生活してるわけじゃないよな?」


さすがに氷雨もここまで酷いブラコン精神だとは思っておらず、話は大きくそれる。


「はい。お兄様に近づく見逃すわけにはいかないので。タイミングがあれば一番最初にお兄様にあっておきたかったのですが、最初の方は家の用事がたくさんあって見て入られませんでした」


時雨の衝撃的な告白にアレクシアは言葉を失った。


「いやいや、おかしいでしょ!家の用事ってなんだよ、俺ら同居してて家売ったから家なんてないはずなんだけど?」


氷雨は時雨の矛盾に気づき質問する。


「あ、言い訳をしたのがバレましたか。朝から監視しましたよ。だからお兄様に近づいたのは、私の実力以上の女子だけです」


氷雨はさらに驚く。氷雨に近づいた女子は4人。


(つまり彼女たちは、学年4位の妹と同格以上!?)


彼女たちはそうそう強く思えなかったが、

妹より魔力量や武器の繊細さがあるなど考えられなかったのだ。


「あのさ、それよりね俺も時雨以外の女子と仲良くなりたいの。だからそんなことしないでくれる?変な噂が立っちゃうでしょ?」


「お兄様がどうしても嫌というならいいですが、お兄様と友達以上の関係ができた場合そいつをぶちのめす許可をください」


氷雨は時雨の脳内回路を疑った。


「だ、だめだよっ!?」


「さすがに冗談ですよ。私は、お兄様が幸せになればいいですから」


氷雨は時雨の最後の一言に全て持っていかれてしまった。だがそのゆるい空気を打破したのは案の定アレクシアだ。


「で、時雨さんは悪くないと」


アレクシアの周りには雷が少しづつ現れる。


「ちょっ!待って!もう説教は終わりだから!」


氷雨が時雨の手のひらで踊らされていることに嫌悪感を抱いたことをアレクシアは疑問に思っていた。


「でも、時雨、アレクシアには謝らなきゃだめだよ。さすがにやりすぎたんだ」


時雨を睨みながら謝罪を強要させてくる氷雨に時雨は仕方なく謝った。


「すいませんでした」


プライドを削りながら謝った時雨に対してアレクシアは会心の一撃を喰らわせる。


「いや、だぁいじょうぶだからぁ」


と、嫌味全開で時雨を煽る。

だが、怒る時雨に対して氷雨が注意を認め、その場では何も起こらなかった。


「まあ、これ以上話はないでしょ?今日はもう遅いしここら辺で帰らない?」


と、氷雨が時雨に自室へ帰るように促すと、なぜかすんなりと自室に帰っていった。



「そういえば、風呂はどっちが先に入る?」


氷雨の言葉に対しアレクシアが目を丸くした。


「あなたの後に入るのは汚いし、あなたの前に入ったら私のエキスを味わうつもりでしょ!」


「いやいやっ!?俺そんな陰獣みたいなことしないよ!?」


氷雨の悪いイメージがアレクシアの頭に定着していた。


「いや、私のエキスを味わうに決まってるわ!」


「じゃあ俺が先に入るよ!」


と言って、何もなかったかのように氷雨は風呂に入る。



(私はなんでこんなに酷いんだろう。自分の言動に対して後悔ばっかり、無責任な女ね)


アレクシアは氷雨が風呂に入っている間に自分の言葉に後悔していた。目を瞑り、ベットに横たわっていると、氷雨が風呂から上がってきた。


「いやぁ〜、気持ちよかったぁ!!」


アレクシアが目を開けるとその視界には、腰だけにタオルを巻いた氷雨がいた。


「フェッ!?」


アレクシアが、唾を吐くように叫ぶ。しかし、恥ずかしがっていたアレクくしあの顔はだんだんと暗くなっていく。


「あー、ワリィワリィ。皇女様はこういうのなれてなかったよな」


氷雨は笑いながらズボンを履く。


「そ、そうじゃないわよ。何よ、その体」


全身についた数え切れないほどの傷跡。剣で刺されたような形、切られた形、むち打ちされた形。形状は様々だったが、普通の人間じゃないことは一目でわかった。


「ああ、手がかりを探すためとか、修行のせいでこんな体になったんだよね」


アレクシアが考えているよりも激しい修行をしている氷雨にアレクシアが言葉を失った。しかも、それを何もなかったことに話す氷雨の精神も疑った。


「あんた、すごいわね」


アレクシアは恐怖心も持ちながら話す。だが、アレクシアはこの男なら、自分の願いを叶えるための味方になってくれると確信した。


「それより、風呂に入りなよ」


氷雨は着替え終えて、自分のベットに横たわっていた。

そう言われると素直にアレクシアも考え事をしながら風呂に入る。

何事もなく風呂を上がり、アレクシアもベットについた。

こうして氷雨達の長い長い入学初日は幕を閉じた。


今回で、入学式の日の長かった出来事は完結です。

ここから、本編に入っていきたいと思います。

では、また次回!

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