三流剣士の所以Ⅲ
「あぁ、アレクシアか。あと、君は確か氷雨だったっけかな?」
大きな椅子に座り、机を肘におき、顎を手の上に乗ってけている。しかし、背の低く茶髪だったため、威厳がない。だが、彼女は校長だ
「はい」
アレクシアが、瞬時に返答する。だが、氷雨はへんとうをしなかった。
「おい、氷雨であっているよな?」
確認を行う校長。
「はい。そうなんですが、校長先生。一つ疑問なあります。なぜ俺の名前が分かったんですか?」
氷雨が疑問を打ち明けると校長は笑いながら返した。
「ハハハツ!そんなん、決まってるだろ。お前が、滅多にいない異能者だからだよ。さらに、お前異能者の中の異能者だろ。あと、すまない名乗るのを忘れていたな。私の名前は、春咲雫。今年からこの学園の校長になった」
(覚えてないわけないとか言わんばかりの態度なのに確認必要な程度しか覚えてないのかよ)
と心の中で氷雨は突っ込んでいた。
異能者と言う言葉に反応し、アレクシアが校長の机を叩いて質問する。
「異能者のなかの異能者ってなんですかっ!?」
話についてこれなくなったためか、少しアレクシアは取り乱していた。
「まあ、それについては氷雨に聞け。それより挨拶しに来ただけじゃないだろう?」
まるで心の中を見ているような口調で、春咲は質問をして来た。
「はい。そうです。ここは、生徒主体の学校が理念と聞いているんですが、それは違いますか?」
机に手を置いたままで、質問をするアレクシア。
「ああ、そうだが?なんか問題でもあったか?」
「問題大有りですよ!てか、どっちかっていうと問題しかありませんよ!」
ぽかんとしていた春咲に対してアレクシアは瞬時に返答する。
「例えば、問題っていうのはどんなことが起きたんだ?」
その質問を待っていたかのようにアレクシアは瞬時に答える。
「ここにいる変態が発情して、私を覗いたり胸を揉んだりしてくるんですよ!」
「フェッ!?いや、発情してないから!!しかも、胸揉んだのも事故だから!」
焦りながら氷雨は弁解をする。
「おい、氷雨。話がある。耳をかせ」
氷雨は、机の横を通り春咲の口元に耳を寄せた。
『おい、なんで私を呼んでくれなかったんだよ』
コソコソ話かけてくる春咲に呆れる氷雨。
「もうあんた教師やめたら?」
頭にハテナマークが浮かんでいるアレクシア。
「何話してたの?」
純粋に気になったアレクシアが氷雨に質問をする。
「あの、校長がね…」
「アレクシアが来たことを感謝してるっていう気持ちを伝えてくれと言ったんだ」
氷雨が爆弾発言をする前に話を無理やり中断させ、話をすり替える春咲。
「え、でもなぜ氷雨に言ったの?」
痛いところを突くアレクシア。
「そ、それは、なんというか、恥ずかしかったんだよ!!」
(うわぁ、バレバレの嘘ついてどうするつもりなんだろう)
氷雨は、さらに春咲の発言に呆れていた。
「でも、恥ずかしいのになぜ今言えたの?」
アレクシアは、嘘に気づかず話を続ける。
(それは嘘だからですよ。アレクシア)
心の中で優しく突っ込む氷雨。そっと、アレクシアは戦闘でもない場合あまり力が出ないタイプなのかと思っていた氷雨がいた。
「くどいぞ。まあ、二人をルームメイトにした理由を教えてやるよ」
無理やり話を切って、本題へ話を戻す。アレクシアは、忘れかけていたのか今度は頭にビックリマークが出ている。
「それは、二人の実力が近いからだ」
「えっ?」
アレクシアは無意識に言葉を発してしまった。
「実力が近い人と部屋を一緒にするなんて決まりないですよね!?先生!!」
アレクシアが驚きながら、氷雨の方を向く。
(俺も抗議をしろと?無理に決まってるよ。俺だってお偉いさんじゃないし、三流剣士だしあなたとは違うんです)
心の中でぶつぶつ呟く氷雨。アレクシアになんか言ったらまた戦いになると思ったため、言葉には出さず、気づいていないふりをする。
「いや、そういうわけではないんだがな。二人で出場する試合があった時、ルームメイトと組ませる予定なんだ。そこで、だいたいレベルの同じぐらいの人と組ませているんだが嫌なら別にペアを替えてやってもいいが、俺は氷雨程度に勝てないくせに部屋変えろとか弱虫の嘆きにしか聞こえないけどな」
春咲が衝撃的な事実を告げるが、プライドの高いアレクシアには効果抜群だった。氷雨は、自分が決闘したという情報が回っていることに驚いていた。
「一言も、部屋を変えてとか言ってないですから!私は理由を聞きたかったでけですから!では、話を聞けたので私はこれで失礼します!」
アレクシアは若干屁理屈を言いながら、一礼し校長室を後にした。
「おいっ!またかよ〜」
氷雨もゆっくりとドアに向かうが、ドアノブに手をかけた時氷雨に春咲が声をかける。
「よく気づいたな。俺を敵に回すんじゃねぇぞ」
氷雨は、部屋に外部につながる通信機があることに気づきアレクシアに気づかないように通信機を壊していたのだ。
「どうも」
氷雨は笑顔で振り向き校長室を後にした。
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