修行編Ⅵ
第2ラウンドは先ほどの空気の熱さは消えていた。
集中が研ぎ澄まされ、体は震え上がり空気は氷雨の魔力によって冷えていた。
「行くぜ」
氷雨は左手に教師の武装を持って二刀流のような形で剣を構えていた。
「慣れてない流派で俺に勝てるわけないだろう」
教師はそう言いながら手を合わせた。
「将軍の剣よ、来たまえ〈村正〉」
教師はその手を目に見えぬスピードで開いた。そうすると、そこには黒くてだが触りたくないような色づいた煙と一緒に、綺麗な黒い日本刀が出て来た。
(!?)
氷雨は瞬時に違和感を持つ。
(なんで“将軍”の剣なのにあんな妖刀のような雰囲気を持っているんだ?)
そんなことを考えていたらすぐにやられてしまうと思いすぐさま考えることをやめる。
「やらかしたな」
教師はボソッと声を出す。
「なんだ?」
氷雨は首を回しながら質問する。
「お前は、俺に攻撃できる最後のチャンスを潰しちまった。残念だったな」
教師はそう言い放つと、剣をすぐ右手で取り剣を胴体の後ろへと持っていった。
「あばよ」
氷雨はしっかりと構え、ついには魔眼まで起動した。
「我が瞳に宿りし先読みの力よ!ここに現れたまえ!〈オッドアイ〉」
氷雨の淡い碧眼が、少しの間魔力の渦に囲まれ熱く相手を刺すような灼眼へと変わっていった。
教師は、一歩前に足を出したかと思うと氷雨の視界から消えていた。
「秘術第1部〈追〉」
(!?)
すぐさま後ろを振り返り、振り返りざまに剣を思いっきり振るった。
しかし、教師の影は消えていて元の場所へ戻っていた。
(なんだ、この違和感は)
氷雨は、さっきの教師を切った感覚がないことに違和感を感じていた。
教師はまた元の場所から、足を一歩前にジリジリと出していた。
「秘術第2部〈斬〉」
今度は動かず、剣だけを振った。氷雨と教師の間合いは約10メートルほどで、剣など当たるはずもない距離だった。
「グハッ!!!」
しかし、氷雨の体にははっきりと傷が現れた。いくつもの切り傷が体から現れ、若々しい血が空へ舞った。
氷雨は、ドッと膝をついた。
「なんで......」
〈オッドアイ〉を使ってる氷雨でさえも、全く気づかない間に攻撃がどんどんされていく状況に氷雨は唖然としていた。
しかし、教師の猛攻は続く。
「秘術第3部〈盗〉」
氷雨はすぐさま剣を床に刺し、杖のように使い立ち上がった。
そして、また二刀を構え直した。素晴らしいといっても過言ではないほどの回復力だった。
だか、教師に情はない。またすぐさま足を一歩前に出す。
その瞬間、氷雨は足がすくみ、体は震え上がり、体から冷や汗が垂れた。そして、氷雨は恐れすぐさま教師との間合いを詰めた。
“フッ”
第2ラウンドが始まって一切表情が変わらなかった教師がにやける。そして、手をまっすぐと伸ばし小指から波を作るように親指までを握っていく。
その瞬間に、氷雨は左手に持っている教師の剣を振るった。
ちょうど、教師が握り終わるタイミングと氷雨の剣が教師の手に届いたタイミングが重なった。
しかし......
連続投稿成功!!
だんだん慣れて来ました。ここからも調子に乗らないでゆっくりとまったり書いていければと思います。
では、また次回!