最終話
あれから琴が公園に来ることはなかった。
それでも、孝介は毎晩公園に足を運んでは遅くまで琴を待ち続けた。
何故来ないのか。孝介には理由がわからなかったから。
別れるにしても理由が欲しかった。
だから孝介は琴を待ち続けた。
半年が過ぎた頃。
孝介は公園に行くことをやめた。
仕事が忙しくなってきたせいもある。
けど、一番は時間。
半年という月日は孝介を納得させるのに十分だった。
琴はもう来ない。
それが現実だった。
それからまた半年が経った。
孝介は琴の事を数える程しか思い出さなくなった。
本当は忘れたかった。
もう会えないのだから。でも、それは出来ずにいる。
なんて女々しい男だろう、と自分でも思う。
まだ心のどこかで琴に会えると信じていたのだ。
孝介はいつからかラジオを聞くようになった。
それは何かを期待してではない。
音楽のない生活が少し寂しかったから。
ラジオから流れる歌を聞きながら仕事の疲れを癒す。
いつの間に自分はここまで歌を好きになったのだろう。
不思議な気持ちだった。
この日もいつものように仕事から帰ってくると、ラジオのスイッチを入れた。
この地域にしか流れないローカルラジオ局のDJの声が聞こえてくる。
テンポよくトークを展開し、曲紹介を始めた。
孝介は冷蔵庫からビールを取り出し、プルタブを開け、何気なくそれに耳を傾ける。
「今から流す曲は番組に送られてきた…」
いつもとは違った曲紹介。
どうやら誰かがラジオ局にテープを送ってきたようでそれを流すようだった。
「送り主からのメッセージがあります。
『ごめんなさい。急にいなくなってびっくりしたかな?
ううん。きっと怒ってるよね。
でも、まだ私のこと忘れてなくて…まだ私のこと好きでいてくれているなら…
いつもの場所に来てください。
私はずっと待ってるから…
どうか、この歌が貴方に届きますように』」
DJの言葉が終わると同時に曲が流れてきた。
ゆったりとした心地よいメロディ。
最初は気が付かなかった。
当然だ。練習の時はずっと曲なんて流れてなかったんだから。
それでも、歌声を聞いた瞬間、孝介は家を飛び出していた。
彼女が、琴が待つあの場所に向かうために。
前回の更新から1ヶ月以上空いてしまいました…m(__)m
一応、完結させましたが(無理矢理)かなり中途半端なので番外編を短編で書こうと思います。
拙い文章ですが、読んでくれた方に感謝致します。
でわ




