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第64話 『姉妹』

「……何故、貴女がここ(ドーム)に?」


 セラは私をガン64して、ミアに一礼した。


「ミア殿。ドームの封印を解除してくれて感謝する。ここだけは、我々の力ではどうにもならなかった」


「必要なことをしたまでよ。それよりフラれた直後で、ちょっと感傷的(センチメンタル)になってるの」


 それはこっちの台詞だ。私がムッとすると……


(かん)に障った? けど、私は貴女(リア)の『幼馴染み』じゃない。それと『相棒』ごっこは楽しかった?」


 相棒……ごっこ。ミアは私をそんな風に見てたの?


「いつ……からなの?」

「いつ……からというのは?」


(とぼ)けないで! 私を(おとしい)れようとしたっ」


 自分でも信じられないほど、大きな声が出た。ミアはしばし考え……


「そうね……強いて言うなら、つい『最近』よ。私も貴女と再会した時は、『本物』の莉愛が帰ってきてくれたと思った。けど、『実際』は違った。その時の私の落胆が分かる?」


「………………」


 本当に『いつから』だろう? 私たちの『すれ違い』が始まったのは?


セラさん(・・・・)に『事実』を聞いて、愕然(がくぜん)としたわ。同時に『莉愛(あのコ)』が無事だと知って、安心もしたけど」


「ミアはセラを知ってたの……?」


「……? 何を言ってるの? 都合が悪いことは全部忘れるのね。セラさんは他ならない、莉愛の『お姉さん』でしょ?」


「ミア殿」


 セラが顔をしかめたが、私は驚いて目を見開いた。セラは莉愛の『実姉(じっし)』……あっ!


 私は思い出した。大聖堂でセラにやられた時、浮かび上がった映像。アレは幼き日の莉愛と『リサ』だったのか。


「……リサ姉さん」

「黙れ」


 私の一言をセラは一蹴した。


贋作(フェイカー)めに『姉』呼ばわりされる覚えはない。ん、なんのマネだ?」


「ミアを連れていかせる訳にはいかない!」


 私が聖刃(ブレイド)を構えるも、セラは一笑(いっしょう)に付した。


「やめておけ。貴様は以前より、弱く(・・)なっている。私は『加減』が苦手だ」


 対するセラは、武器すら構えてない。まさかここまでハッキングなし、さらに『素手』で踏破したの? この女なら、やりかねない。


 それでも……!


 ブゥウウウンッ! 私は限定解除(オーバーリミット)で解放したオーラを聖刃に乗せた! 今にも暴走しそうなエネルギーを必死に制御する!


 これが私の全身全霊(ありったけ)……!


「敗けると知りながら、敢えて挑むか。その蛮勇に敬意を払い、少しだけ相手をしてやる」


 相変わらず、セラは微動だにしない。先手必勝……!


 私が聖刃を振り被る! が……


 バチバチバチッッ‼ 聖刃はセラの『金色(こんじき)のオーラ』に阻まれた! なに……? この『異色』のオーラは⁉


 セラは表情一つ変えず、スッと手をかざした。ドンッ! 一瞬、何が起きたのか判らなかった。どうやら、私は大きく弾かれ壁に激突したらしい……。


 そんな……何もできないなんて。私は成す術もなく崩れ落ちた。ここまで絶望的な『差』があるなんて……。


――敵もまた遥か怪物


 セラは静かに歩み寄り、私の胸ぐらを掴んで手刀を構えた。トドメを刺すつもりだ。


「いかに貴様でも、動力(コア)を潰されたら『終わり』だ。最期に何か言い遺すことは?」


「ねえ……さん」


 それまで無表情だったセラが、ピクリと眉を上げた。私を掴む手に力がこもる。


「やめて……リサ姉さん……」


「――私を『姉』と呼ぶなっっ」

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