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第10話 彼女の弱さを知ってヤバい!

「あらぁ、私はずっとここにいるわよぉ〜」


 真横から聞こえた声、驚いて扉の方を振り向けば、相変わらずおっとりした雰囲気を纏ったメア先生が消えた所と全く同じ場所にいた。


「はぁいレイ君ありがとねぇ。 席に戻っていいわよぉ」


 お前が現れた瞬間、俺はお役御免かよ!

 せっかく勇気出して前まで出てきたのに

 あっでもいい事思いつい……人前だ。出来ないな……


 いやな? まだ誰も捕まえてないから捕まえたって言って胸を鷲掴みにでもしようかと……マリアでの失敗しここで取り戻せないかなって……ちくせう。


 ──もしやったとしてもこの愚者に待っているのはシロからの抉り出しだが、この男、気づいていない。


 とりあえず先生には捕まってもらうか

 警戒もせずに教壇へと歩いてくるメア先生の腕を最速で掴みにかかる。

 予備動作一切なし、身体強化魔法も相まってマッハを超えた掴みだ。避ける事は不可能と見ていいだろう。


「しゃっ、捕まえっ……えぇぇええええ」


 捕まえた。捕まえたと思ったんだ。

 いやいやいや、これは一体何だ? メア先生幽霊?

 クラスの誰もが目をみひらいていた。あのシロでさえもだ。


 ()()()()()()()()()()()()()()()()


「奇襲としては70点くらいの素早さねぇ。 でも残念、相手が悪かったわねぇ」


 日光の反射角度をずらして位置を偽造しているのか? それとも幻覚?

 いやどれも違う気がする。勘だが、あくまで先生はそこにいる。そこにいるのに干渉する事が出来ない。実物の虚像がそこにあるような感覚だ。


「レイ君分析するのはいいけどぉ、とりあえず席に戻って欲しいなぁ」


「あっすいません」


 思考が完全にそっち側に言ってたせいでつい生返事で了承してしまった。

 が、十分な収穫になった。恐らく先生の姿が消えたのも似たような原理なのだろう。

 これはマリアにも十二分に通用する魔法と見た。参考にさせてもらおう。


 俺が席に座った事を確認した先生はマリアが居ない状態で話し始める。

 一体奴は何処へ行ったんだ。


「さぁてみんなお疲れさまぁ。私がみんなに求めた物は分かってくれたかなぁ?」


 …………まぁ当然の沈黙。分かる訳あるか


「うんうん、それじゃ正解発表だけどぉ、今の状況が私の求めたものなのよねぇ

 みんなが手を取り合って一つの事について考えている。 それこそレイ君が言った通りで3人集まれば何とやらってやつよぉ」


 言い終わった彼女は一度、皆の表情を確認する。

 初めて見せる彼女の真剣な表情は、これから話すことが重要である事をありありと示しており、自然と背筋を伸ばし、聞きの姿勢に入ってしまう。


「これって私の持論なんだけどぉ、本気の人間が手を取り合った力って何よりも強いのよねぇ。時には足し算とか引き算、掛け算とか割り算になるんだけどぉ、最後に待ってる答えって絶対億兆を超えたあり得ないような数字なのよねぇ」


 ──俺と妖精ちゃんで過ごした11年間、確かに色々な苦悩も味わったが、2人で試行錯誤を繰り返したからこそ、今の俺はランキング2位という通常では考えられないような立ち位置にいる。

 勿論満足などしていないが、それでも最弱種族が個人で2位まで上がってくるには、間違いなく妖精ちゃんの存在が必要不可欠だった。

 そう思えばこそ、 今の先生の言葉は恐ろしいほど心に響く。

 今度妖精ちゃんへのお礼は言わないとなぁ


「逆にここがマリアちゃんの弱点なのよねぇ。

 私が保証してあげるわぁ、今のままじゃ彼女がこれ以上強くなる事はあり得ない」


 一瞬だけ先生の素を見た気がした。刺々しい雰囲気は直ぐに消え、普段の雰囲気に戻ったが、その一瞬だけ見せたその素には、先程の言葉に絶対的な確信がある事を感じさせる。


「力が強すぎるとねぇ? 孤独になるのぉ、だからこれ以上強くなんかなりたくないって無意識に思うのぉ。先生ってば先生だからぁ、みんなも応援したいんだけどぉ、マリアちゃんも助けたいのよねぇ。

 マリアちゃんを追い抜けるのはぁ、手を取り合った貴方達だけよぉ。だからぁ、頑張ってぇ」


 多分、マリアの事を誰よりも理解しているのは先生なのだろう。

 遠い目をした彼女は、1年生の頃からランキング1位だった自身とマリアを重ねているのだろうか


「目指せランキング1位、みんなで切磋琢磨していきましょぉ」


 ……なんかいい感じで纏めてるけどさ?

 もうクラス一致団結して行きましょうみたいな雰囲気出してるけどマリアどうしたんだよ!?

 マリアを孤独から助けてとか宣いながら、反マリア同盟の結成促してるだけじゃねぇか!

 いやまぁ除け者にする気なんてさらさら無いけどさ?


 そう思っていると視界に唐突に爛々と輝く2つに纏められた赤髪が映った。

 神出鬼没とは正にこの事、こいつテレポート乱発しすぎだろ、何を血迷ったら蛇口を捻る感覚で大規模魔法行使出来るんですかね?


「お前どこ言ってたんだ?」


 当然のように注目を集められている状態な彼女だが慣れているのかその佇まいは堂々としている。とはいえ何か嫌なことがあったのか珍しく苦虫を噛み潰したような顔で、


「そこの精霊もどきに一杯喰わされたんですの、タチが悪いですわ」


「あらぁ、メア先生って言いなさいって言ったでしょぉ?」


 一体こいつら何を言ってるんだ

 ていうかマリアと会ったみたいな雰囲気だが先生はずっとここに居たんじゃ無いのか?


「まぁいいわぁ、ほら早くマリアちゃんも座ってぇ。全員集まった事だしぃ、改めて私の自己紹介から始めましょうかぁ。私の名前はメア、下はないわぁ。

 一応だけど在学期間はランキング1位を独占してたわねぇ。

 大体のことは経験してきたからぁ、大体は答えられると思うわぁ。よろしくねぇ」



ここまで読んで下さった方へ格別の感謝をm(_ _)m

連続投稿なので、次話も読んで頂けると幸いです!

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