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最終話:「あの」時代への思い
ヨシコの母は、戦争体験者だ。
終戦時、小学校低学年だったが、
物心ついたときから、戦争はあたりまえのようにあったという。
日本良い国、強い国、世界でひとつの、神の国
ヨシコは、ふと思った。
あの時代の子どもたちは、自分の未来を選ぶことさえできなかった。
国のため。
家族のため。
そう教えられ、それを疑うこともなく、大人になる前に命を落としていった子どもたちがいた。
その子たちが願った未来に、生きているのが今の自分なのだ。
学校へ通い、将来を考え、好きな人と笑い合えること。
そんな当たり前の日常は、誰かが命をつないでくれた先にある。
あの少年を
「家に帰ろう」という言葉で
自由にしたのはヨシコだ。
けれど、その少年たちが守ろうとした未来の中で、ヨシコは生きている。
もしかしたら――
守られていたのは、ヨシコのほうだったのかもしれない。
ヨシコは静かに目を閉じ、感謝の気持ちをこめて、そっと手を合わせた




