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4-1

本日は2話投稿しています。

 最近は我が家も大分にぎやかになってきました。当初はお姉さまと私(+天さま)だけだったのが、織姫さまに墨ちゃんが一緒に住むようになり、美雷さんも都合があえばいつも晩御飯を食べに来て時々泊まっていきます。お風呂にみんなで一緒にわいわい入るのはとても楽しいです。


 「七夕GOよ!」


 ある時、天さまが突然立ち上がって叫びました。授業中だったのですごく恥ずかしかったのですが、クラスのみんなは何事もなかったかのようにスルーしていました。曰く、私が突然奇声を上げることはいつものことだからだそうです。私じゃなくて天さまなのに。


 いったい何が起きたのかと後で天さまに聞いてみると、七夕牧場の次世代バージョンが配信開始になったのだそうです。人気がありすぎて公開初日にサーバーダウンを起こして延期になっていたのが、とうとう再配信にこぎつけたのだとのこと。


 大雑把に言って、旧版の七夕牧場はガチャで牛さんたちを集めるのですが、新しい七夕GOは外を歩いていると牛さんたちが闊歩しているのでそれを投げ縄で捕まえて集めるというところに違いがあるのだそうです。


 新しいゲームの可能性を切り開く取り組みだということで、旧来の七夕牧場のファンだけでなくそれまでゲームに興味のなかった人たちまでも巻き込んで、一夜にして一大ムーブメントになったのでした。


 何より驚いたのは、お姉さままで七夕GOを始めたということです。


 「お姉さま、それ、面白いのですか?」

 「ん、なんかね、昆虫採集的な面白さというか……」


 そう言いながらも、お姉さまの指はスマホの画面を滑らせて投げ縄を投げるジェスチャーをしていました。もちろん、私の指も天さまが投げ縄を投げるのに使っています。


 「はぁ」


 私は思わずため息をついてしまいました。なんだかお姉さまをスマホに取られたようで悔しい気がします。


 「あ、ちょっと待って。私、こっちに行くから、雪は先行ってて」

 「私もお供します。お姉さま」

 「えー、あたしはこっちに行かないとダメ」

 「ちょ、天さま、あ、お姉さま」


 お姉さまと天さまがスマホを見ながら別々の方向に歩いて行ったので、必然的に私はお姉さまと別れてしまいました。ううー、七夕GOのバカ!


 しばらく天さまに付き合って七夕GOをして歩いていると、美雷さんが慌てて後ろから追いかけてきました。


 「か、かぐや姫さまがさらわれましたっ!」

 「え、ど、どういうことですか?」

 「いきなり車が止まって黒いと思ったら、ドアにかぐや姫さまがさらわれたんです」

 「ちょ、美雷さん、落ち着いてください。初めから話してくださいます?」

 「は、はい。()()()()()()()かぐや姫さまを尾行していたら」


 いつものように、というのは突っ込むところでしょうか……、いえ、今はお姉さまのことが先です。


 「突然黒塗りの車がかぐや姫さまの隣に止まったんです。それで、中から黒い人が出てきて何かを話していると思ったら、かぐや姫さまが押し込まれるように黒い車に乗せられて。慌てて近くに駆け付けたのですが、すぐにドアが閉まって車は発車してしまったのです」

 「それで、その車はどこに?」

 「式神に後をつけさせています」

 「よーし。追いかけるよん」


 話を聞いていた天さまが表に出てくると、近くの小枝を拾ってこねこねするとぱっとモップに早変わりしました。


 「乗って」


 私の後ろに美雷さんが背中につかまるようにしてモップにまたがると、天さまの合図でふっとモップが宙に浮きました。


 「「きぃゃぁぁぁぁぁぁぁぁ」」


 同時に2人の女子の甲高い悲鳴が上がりました。天さまの操るモップが信じられない速度で錐揉みしながら宙に舞い上がったからです。

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