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3-6

 「彦星さまって意外に有名なんですね」

 「それは七夕牧場を作った方ですから」

 「え、マジで、ってそれマジのマジで?」

 「天さま、急に出てこないでください」


 美雷さんの話によれば、彦星さまは地上ではITベンチャーの社長をしていて七夕牧場の大ヒットで一躍脚光を浴びている新進気鋭の社長さんなのだそうです。なんでも、今は六本木ヒルズレジデンスに住んでいるとか。


 「え、彦星は六本木にいるの? じゃあ、直接マンションに押しかけたら……」

 「セキュリティが厳しくて入れないんじゃないでしょうか?」

 「だわよね」


 とにかく、グループを分けたのでこの先はグループ別行動になります。お姉さまたちはホテルや旅館を回って彦星たちが宿泊していないかを確認し、私たちは観光名所を回ってみることになりました。もちろん、天さまがゴネた結果です。


 「さ、行くわよー!」


 天さまは元気満々です。幸い、七夕牧場のイベントスポットは熱海の観光スポットをほぼ全部カバーしていたので、天さまの目的地に向かえば自動的に捜索予定ポイントを回ることになるということで、基本的に天さまの案内に任せることになりました。


 「いないわね」

 「いないです」

 「いません……」

 「いたーーー!」


 最後のは天さまが七夕牧場のイベントで何かを見つけただけですので、気にしなくていいです。だから、毎回私のほうを見ないでくださいーー!


 「次は秘宝館よ」

 「雪さま、秘宝館て何です?」

 「分かりません」

 「ふふ。大人の秘宝を展示してあるところよ」

 「「??」」


 織姫さまが何やら意味深なことを言うので逆にちょっと興味がわいてきました。天さまはというと、行く先がどんなところかにはちっとも興味がない様子です。


 ということで秘宝館に着きました。結論から言うと入場できませんでした。は、恥ずかしかったぁ……。織姫さまは離れたところで笑ってるし、天さまは係員さんと意味の分からない口論を始めるし、墨ちゃんは妙に冷静だし。


 とにかく、天さまをねじ伏せて係員さんに謝って、墨ちゃんの手を引いてちょっと離れたところに避難してきたのです。


 「織姫さま、ひどいです」

 「ははは、ごめんごめん」

 「雪さま、あそこは人間の交尾を展示して何が面白いのでしょう?」


 よく考えれば、墨ちゃんは格好はこんなだけれども平安時代に出会ったときからもう成猫だったのでした。しかもそれから1000年も経っていて精神的にはずっと大人なわけで、もしかしなくてもこの中で未成年なのは私1人だったのではないでしょうか?


 「雪さま、どうして落ち込んでいるんですか?」

 「何でもないのよ」


 結局、天様が回収したかったイベントは秘宝館の中に入らなくても達成可能だったことが分かり、彦星が仙ちゃんを秘宝館の中に連れ込むことはないだろう(仙ちゃんの実年齢を考えれば不可能ではないけれど)ということで、秘宝館は後にすることにしました。


 ただ、ちょっとだけ、あの中の展示物に興味がなかったかといえば嘘になる……って、何を言わせるんですか!

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