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金魚戦記  作者: 悠布
3章 南橘北枳
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90話 

お待たせしました…半年ぶりですね( ;∀;)


実は精神系の持病の悪化により執筆ができなくなっておりました。回復してきたので、以前よりもクオリティがダダ下がりですが、投稿を再開したいと思います。

 遠目で様子を窺っていると、トニーを取り巻く人々から何故か少し覇気が失われたのがわかった。珍生物でも見るような目で俺をチラチラ見ている気がする……気のせいか?


「...」


 向こうに集中した僅かな隙に、相対していた魔族の男が攻撃を仕掛けてくる。

 長い日本刀のような武器が、風切り音も立てずに迫ってきた。

 それを普通に避け……

 

 ーー…避けた先に、刀身が出現した。


 んえ゛っ!?


 咄嗟に腕の籠手で受け止めて、そのまま逆らわずに飛ばされる。受け流した衝撃も相当のものだったが、籠手を見ると傷ひとつついていなかった。おぉ…。

 

 まだ混乱するまま、上下逆転した景色を視界に収めて目を瞬かせていると、背後から敵の気配が。

 今度は試しに、避けないことにする。


 振り向きざま、長剣型に変化させた如意棒で攻撃を受け...


 ーー…ようとした先で、長刀の動きが突然変わった。本能的に危険を感じて、近くに瞬間移動する。

 見ると、先程までいた場所に刀が突き出されていた。鎧の隙間を狙って貫こうとしたのだろう。


 …なんだこいつ、強くね!?

 よし心を読もう。


 無表情でこっちの動きを観察している相手の、頭の中を見る。



(.....)


 内心も何も喋ってねえわ!!

 これが無心というやつか…


 俺のように瞬間移動しているのかとも思ったが、それならさっきのように武器の動きを変えることはないはずだ。

 わからないなら、試しに聞いてみるか。


「どうやってんだ? 未来でも見えんの?」

「そうだ」


 こっ、答えてくれたぁ!!?

 

 何事も、やってみるものだな……

 いや、まだ嘘という可能性もある。


「おまえは時間稼ぎか?」


 その衝撃が抜けきっていないうちに急に問われて、焦る。超焦る。

 なんたって図星。

 …いや待て、本当に未来が見えているなら正直に答えなくても変わらないが、違かった場合は損だ。

 とにかく、色々喋るな。お口にバッテンだ。


「違う」

「なら何故反撃しない」

「…反撃すればお前をすぐに片付けられるとでも?」


 返しながら、高音に熱した岩石を作り出して相手を取り囲む。

 案の定、スイスイと岩の隙間を縫ってあっさり脱出された。


 本気を出せば一瞬で黄泉(よみ)送りできるが、下からのギャラリーもいる中、そんな反則技は使わない。

 それに…


「お前、本気で俺を倒す気あるのか?

 言わせてもらうが、攻撃が手緩すぎるぞ」


 手加減しているという程じゃないが、男が実力を出していないのは明白だった。シソとは違う。彼も時間を稼ぎたいのか?

 俺としちゃ、その方が有り難いんだがな。

 計画的にもそろそろ引く頃合いだ。できればサリーがワスプを連れて街の外に出たあたりで、こっちもフェードアウトしたい。

 

 相手は、今度は質問に答えず、黙って切り込んできた。

 だから俺も、無言で受けた。



       ◆



 空で戦うジャス達の姿を見た者たちは、ジャスが押されている、と思った。

 しかし見る者が見れば、両者共に本気を出していないことは一目瞭然だった。そして今の状況のトニーでは、その指摘をしない事は不自然になる。

 

「…敵はともかく、あの彼ーーまだ名前も聞いていなかったけど、彼もかなり余裕に見えるね」


 ギルバートが眉を寄せて頷く。


「ジャスはそうだとして、あいつも遊んでるのか? 最初から真面目だったし、そんな奴には見えないが…」


 トニーは同意しながらも、軽く笑った。


「まぁ彼の思惑が何にせよ、敵の親玉の一人を抑えてくれているなら好都合だ。居場所がわかっているだけでも、不意打ちへの備えになる。

 あとはサリーを捕まえられれば一番良いんだけど…」


 言って、未だ小競り合いながら睨み合っているレイラ達、人々を見やる。


「現状では、現実的とは言えないかな」


 

 









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