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異世界転移先が殺人事件だらけの小さな村だった〜田舎パンとマリトッツォ殺人事件〜  作者: 地野千塩


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21話 事件ノートを書き始めました

 散々迷った。


 杏奈先生に自分の部屋にはいるなと言われていたが、あのチョコレートやポテトチップスがあった事を思うと、帰る方法がわかるのかもしれないと思った。

 私は、心の中で杏奈先生に何度も謝罪をして彼女の部屋に足を踏み入れる。


 そこには、紙で描いた扉の絵が壁にあった。あのとき、旧校舎で見たものとよく似ていた。


 思わず駆け寄り、扉を撫でる。しかし何も変化は無い。


「開け、ゴマ!」


 一応そんな言葉も言ってみたが、当然扉の絵は変化が無い。


 何か仕掛けでもないのか、紙の裏もめくってみたり、外してまじまじと眺めてみたが何の変哲もない。


「ごめんなさい、杏奈先生」


 私は再び杏奈先生に謝罪をし、机の引き出しを見てみた。一番大きい引き出しには、チョコレート菓子や飴、コーヒーや緑茶、コンソメやパック出汁も入っていた。どれも日本製のもので、やはり杏奈先生は日本とここを行き来していた事がわかる。


 それ以上は何もなく、書類のようなものがないか探す。手帳などが有ればいいのだが。小さめな引き出しにはカフェの帳簿類やレシピだけある。


 最後の引き出しは鍵がかかっていた。用心深い。でもここに何かがあるのに間違い無いようである。


 鍵はどこにあるのかわからない。でもこのタイプの鍵ならヘアピンでも開けられそうだ。私はポケットの中にあるヘアピンを鍵穴につっこみ、開ける事に成功した。


 中には、予想通り手帳とノートが入っていた。ノートの表紙には「事件ノート」と大きく書かれ、どうやら今まで関わった事件の詳細や推理が記録されている。杏奈先生は地道に容疑者達の事情を聞き、事件を解決してきたようである。化学的な捜査などは当然ながらやっていないようだ。ジャスミンの夫の事件の記録もあったが、これは後で読めばいいだろう。


 私は少しドキドキしながら、手帳を開く。ちょっと緊張してしまった為、ポトチップスの袋も開け、2、3枚口に入れる。久々に食べるのり塩味が、体や心に染みる。パンがあまり美味しくなかったせいか、ポテトチップスは日本で食べるより数倍おいしく思えた。


 手帳には、あの扉のイラストが描かれた紙が挟まっていた。ペラペラとざっと見ると、なんと事件が解決した後に日本にこの紙の扉を通して帰っている事がわかった。杏奈先生はどうやら日本に帰るために殺人事件を解決していたらしい。しかし、だんだんこの村に愛着がわき、「行き来する事が一番良いんじゃない」という呟きも書かれている。最初の事件を解決した後、杏奈先生は自らこの村に戻っている事も書いてある。


 どうやら日本では彼氏と上手くいっていなかったようで、この村の医者・ジェイクに片想いしていたようだ。「ジェイク様」と様付で呼び、彼の想いも少女漫画ポエム風に紡がれていた。自らこの村に戻ったのもジェイク様に会いたいからだろう。


 一体なぜ殺人事件を解決すると紙の扉が開き、日本と行き来出来るのかはわからない。その点は杏奈も不明だったようだが「ご都合主義として受け入れておきましょう」と妙にドライだった。


 なぜ行き来できるかはわからないが、これで殺人事件を解決しなければならない理由ができてしまった。


 捜査についてヤル気はないが、渋々やるしか無いようである。


 引き出しの中に使われていないノートがあったので、事件について書いてみる事にした。


 ●殺人事件

 被害者は杏奈先生。この村の空き家で刺殺。第一発見者はミシェル、牧師さん、私。


 ●容疑者


 ・ミッキー

 パン屋。パンの種類について杏奈先生と揉めてた?


 ・ミシェル

 神学生。杏奈先生のカフェに料理を文句を言って揉めた?


 ・ジャスミン

 司書。夫が杏奈先生に捕まって、精神病んだらしい。杏奈先生を恨んでいた?


 ・ジェイク

 医者。杏奈先生の片想い相手。恋愛で揉めてた可能性あり?


 ・牧師さん

 杏奈先生を恨む理由はないが、死体を見て冷静すぎる?


 ・アラン保安官

 杏奈先生が事件を解決してしまった為、自信喪失している。杏奈先生を逆恨みしてもおかしくない?


 ・チェリー

 占い師の魔老婆。転移者自体に逆恨み。正直とても怪しい人物。


 ・ロブ

 書店店長。転移者に理解があり、杏奈先生を恨む理由がない。


 ・リリー

 雑貨屋。杏奈先生のカフェメニューが好き。殺す理由は無い。


 ・クラリッサ

 金持ち未亡人。杏奈先生のカフェを支援者。カフェメニューも好きな様子。杏奈先生を殺す動機は無い。ただ親戚であるジャスミンの事情を知っているし、犯罪を協力するぐらいをする可能性はゼロではないだろう。


 ・アナ

 カフェ店員。杏奈先生のアシスタント立場と言える。何か揉めている様子は無い。杏奈先生を恨む理由も見当たらない。


 ●嫌がらせ事件

 カフェの窓が破られ、嫌がらせのチラシは投げ込まれた。杏奈先生はこの犯人に心当たりがあると言う。事件と関係ある?殺人事件と同時期に起こっているし、事件と全く関係ない事はあり得ないだろう。



 ここまで書いてみたが、犯人の目星は全く付かない。とりあえず、医者のジェイクに会ってもいいだろう。殺人事件の動機は金、恋愛ぐらいのものだろう。金はわからないが、杏奈先生はジェイクに片想い中だったのは動かしにくい事実である。


 彼が何か知っている可能性が高い。もっとも今書いた容疑者達についてのメモを見返すと杏奈先生は逆恨みして殺された可能性も十分ある。杏奈先生には悪いが、この部屋やカフェの中に手がかりや証拠がないか探してもいいだろう。これを先にやってジェイクに会おう。今後やる事も決まっていった。


 私はそれもノートに書き込みポケットに入れた。手帳もノートもさほど大きいものでは無いので、ちょうど入った。

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