表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/45

ラズリエラが逃亡した次の日

一発書きです。

※視点がラズリエラでは御座いません、あしからず

 リンリン…リンリン…リンリン…。


 わたくしはアズラエル・フォン・ミュラーと申します。

 現在、友人であるラズリエラのお部屋のベルを、数回鳴らしております。

 ラズリエラは昨日のパーティの惨事の後は、直ぐに自分の寮の部屋に戻ったそうですわ。

 途中で寮母のエレニーさんが、ラズリエラと会話をしていたそうで、青ざめてとても気分が悪そうだったと心配していらっしゃいました。


 わたくしは経験上、ラズリエラが早く一人になりたいと考えていたのは、手に取るように分かりますわ。これでも長年の友人ですもの。

 この様な場合は時間を置いてから慰めるのがベストだと思っておりましわ。


 今日この日が来るまでは。


 ラズリエラの婚約者…いえ、元婚約者のノエル様には文句と魔術を喰らわせてやりたいのを、我慢するのを苦労させられましたわ。

 あの方…厚顔無恥にもラズリエラの前で、あの気味の悪い髪の色の平民を愛おしくなっただの、真実の愛を見付けたなどとおっしゃって……あの方、脳内に蛆でもわいたのではなくて?


 あんな大勢の前であのような振る舞いをなさるなんて……騎士侯爵家の後取りが聞いて呆れますわ。

 侯爵家ではどの様な教育をなされていらっしゃるのかしら。侯爵ご本人へ抗議の書簡を送っておきましょう。



 まあノエル様の事はもうどうでもよいのです。問題は先程から何度ベルを鳴らしても何の反応も寄越さないラズリエラですわ。


 も…もしやあの子……ノエル様に手酷く婚約破棄を申し渡され、世を儚んで…み…自ら命を断つとか……無いですわよね?

 途端に心配になって来ましたわ。

 寮母のエレニーさんにマスターキーで、ラズリエラの部屋を開けてもらう事致しますわ。

 因みにマスターキーとは有事の際、本人以外の魔力でも扉を開ける事が可能な、魔力で出来た鍵型のマジックアイテムですわ。このアイテムが使用できる人物は限られておりますの。

 心に邪な気持ちがある者には、決して使用できない物なのですわ。




 わたくしは急いで寮母室にいらっしゃったエレニーさんに、事情を説明し、ラズリエラの部屋の扉を開けて頂くようお願いを致しましたわ。

 エレニーさんは昨日のラズリエラの様子を心配していらっしゃったので、直ぐに快諾して下さいましたの。


 有り難いですわね。


 ラズリエラの部屋の扉をマスターキーで開けて頂き、扉を静かに開け放ったわたくしは、急いで室内に飛び込みましたわ。


 そんなわたくしの目に飛び込んで来たのは、グチャグチャに引っ掻き回された部屋の姿で御座いました。


 通常はドレスや制服が収納されております両開きのクローゼットが、開きっぱなしであちらこちらに服が落ちたり、引っ掛かったりしておりますし、貴重品などを仕舞っておく棚からは、宝飾品がひとつ残らず無くなっておりましたわ。


 そして一番大事なラズリエラ本人の姿は影も形も無かったですの。


 慌てふためくエレニーさんに、学園長に連絡を取って頂き、ラズリエラを捜して頂く様にお願いしました。

 部屋の荒れようから、何者かが学園寮に侵入し、ラズリエラを拐かしたではないかと、わたくしは推測致しますわ。


 犯人許すまじ!でございますわ。


 ラズリエラの部屋は2階で、横には手頃な樹が植えられておりますから、犯人はこの樹をつたって侵入を果たしたのでしょうね。

 わたくしの推察を裏付けるかの様に、窓は全開でしたわ。

 どうやら犯人は急いで逃げたのでは無いかしら?

 

致命的なミスですわね?


 ですが若干、腑に落ちない点もございますわね。ラズリエラは落ち込んで居たとしても、魔術は使えますし抵抗した形跡が無い事が、疑問ですわね。


 考えられる事は2つ……。

 1つは魔力を何らかの方法で封じられた可能性。

 2つ目は……世を儚んで……どうでもよくなってしまい、犯人の思うままに付いて行ってしまった可能性。


 いえ…そんなあり得ませんわ…。

 1つ目はともかく、二つ目は無いと信じたいのですが……ですが、その信じる相手のラズリエラが消えてしまっておりましてよ……。




 必ず…必ず見付けて、犯人からラズリエラを助け出して差し上げますわっ!


ラズリエラ、待っていてくださいませ!!!





ラズリエラは誰かに拐われたと、思っていらっしゃいますが、正解は自分から出ていったのです。


アズラエル……見事に勘違いしています。

彼女はこのまま見当違いな方向に突き進んで行きそうです…周りを巻き込んで。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ