私の外見って、一体何歳に見えるのか?
一発書き。フルスロットル。眠い。だが充実感。
フローズンバイパーの町へは、特筆すべき事もなく直ぐにたどり着いた。
町に入るには、大きな外壁がそびえ立つ門を通らねばならないらしく、旅装の人々や、荷馬車を引いた商人風の人が門を通ろうと順番待ちをしている。
本当は姿を消したまま町に入ってもよかったのだが、もし無断で入ったことがバレたら……と、思いちゃんと手続きをしてから町に入ることにした。
人の目ってどこにあるか分からないし。
うん。日本人の概念が混ざってしまっていて、ちゃんと手続きをしないと、捕まるとか考えちゃったりして。
日本人のルールを遵守する気質が異世界では足を引っ張る気がする。
大きな大木の影にソッと降りると、箒を魔法のカバンに突っ込む。
そして魔術師とバレバレな黒のローブを厚手の皮のコートと、交換する。
魔法使いは数多居るが、魔術師は人数が少ないので、黒のローブを着ていると物凄く目立つとミランダさんに言われていたのを、思い出したからだ。
王都には黒いローブを着た人物などそこら辺に居たので、黒のローブ=目立つという事を失念していました。
インビジブルシールドを解除した後、辺りをキョロキョロしながら人が居ないかを確認して、何食わぬ顔で門の通行待ちの列の最後尾に並びました。
結構な人数の人が並んでいて、中々私の番にはならず、手持ち無沙汰になって居ると、私の後ろに並んだスキンヘッドで筋骨隆々のいかにも歴戦の強者の貫禄を漂わすおじさんが、声を掛けてきた。
「おう嬢ちゃん。こんな北の町までどっから来たんだ?」
「ふぇっ?えっと……あの……」
いきなり声を掛けられたので、反応に困る。ついどもっちゃったよ。
「ワッハッハッ……驚かせちまった様だな!すまねぇなあっ!俺はゼノンだ。冒険者をやってる。故郷にお嬢ちゃん位の娘が居るんで、つい声を掛けちまったんだ!驚かせて悪かったな」
そうか…故郷に娘さんを残して居るんだ…。私も故郷に両親と兄達を残して逃亡しているので、おじさん…ゼノンさんに少し親近感が湧く。
「いえ、大丈夫です。私はリエラと申します。そうですね……王都から来ました」
「何っ?そりゃまた結構遠くから来たんだな?」
今度はゼノンさんが驚いた表情をする。
確かに馬車を使っても、王都からフローズンバイパーまでは、普通は1週間程度かかる道のりだ。深い谷とか悪路もあるからね。
魔術…反則ですな。普通の行程マルッと無視ですやん。
まあ、だからこその有事の際以外の飛行禁止なんでしょうけど。
破ってますが。
個人的には十分有事だったのだから、目を瞑って頂きたい。えっ?駄目?でも既に飛んじゃいましたけど?
「はい……まぁそうですね。大変…でした」
何とも歯切れの悪い返事です。こんな返事の仕方では嘘だとバレて仕舞うのではないだろうか?
恐る恐るゼノンさんの表情を窺うが……あぁ……大丈夫そうです。
何か涙ぐんでます。何故だろう?
「ううっ…こんな小せぇ娘が…良く頑張ったな!!偉いぞ?」
頭をガシガシ撫でられる。あうあ~首がっ!首がもげるぅぅぅ。
ゼノンさん、荒っぽいです。本当に私と同じ位の娘さんが居るのでしょうか?痛てて。
「それで……連れは?」
「はい?」
連れ…?一人ですけど?誰か一緒に居るように見えますかね?見えて居るならば、何らかの目の病気ですので、無料で私が治療してあげますよ?
目の病気で無いのならばゴーストの類いですかね?
自慢じゃ無いですが、私は光と闇の属性以外ならば全部使えますからね。えっへん。
「ん?…………ま…まさか一人でこの町まで来たのか?」
何をそんなに驚いてるの?別に普通でしょう。ヘスさんだって同い年の18歳で冒険者だったし。
「………?当たり前じゃ無いですか。誰かと一緒に居るように見えますか?」
「何てこった!まだ13歳位だろうに……リエラは苦労してんだな!うっうっうっ……」
マジ泣きされました。
筋骨隆々なスキンヘッドの大男に、目の前で泣き出されたら、皆どうする?
私はドン引き一択です。
ゼノンさんから気持ち距離を取って居ると、門を守っている兵士に呼ばれた。
「次の者、後がつかえているので早く来なさい!」
「はっ…はい!今行きますので、少々お待ち下さい!」
どうやらゼノンさんと話し込んでしまって居る間に、門を通過する順番が来てたみたいです。
「ゼノンさん!私は先に行きますから!失礼します~」
まだグスグス泣いているゼノンさんに、先に行くと一応挨拶をしておく。
「おうっ!…ううっ…じゃあな!」
私はバタバタと走りながら、門の前に居る兵士の方に向かって行く。
すると何やら兵士の人は手を出してくる。
握手かな?
私が条件反射で兵士の人の手を握ると、兵士の人は戸惑ったように眉を寄せ、こう言った。
「何をしているのですか?」
えっ?マジで?分からないの?握手ですよ。
「握手……ですが?」
「いえ、そう言う事では無くて。通行するには通行証か、ギルドカードのどちらかが必要で、無い場合は銀貨1枚が必要ですが?」
なっ…何ですと?お金取るの?王都では取って無いのに……。私故郷の所領も町に入るのにお金なんか取って無い………あっ…。その為の通行証やギルドカードか。うっかり忘れてたよ。
通行証やギルドカードは、この世界の身分証明書みたいな物だよ。
そして、現在どちらも持って無いよ。
通行証は発行してもらうのに時間がかかるし、ギルドカードはギルドに行かなきゃ作れない。
したがって私がフローズンバイパーの町に穏便に入るのには、銀貨1枚が必要だという事だ。
大体日本円にして、1000円程度です。そんなに高くは無い。
私は銀貨1枚を支払う為に、魔法のカバンに手を突っ込んで数秒後…………天を仰いだ。
ジーザス!!
金………持って無いし。金目の装飾品しか持って無かった。換金し忘れた。こんな所で八兵衛もビックリなうっかりを発揮して仕舞うとは……無念。
私がガックリと項垂れていると、後ろに居たゼノンさんが銀貨を兵士に出してくる。
あっと。スミマセンねぇ。遅くて。でもね、順番くらい待ちましょうよ。直ぐに退くからさ。ふぅ…やれやれ。
私がカバンを持ち直して、その場から去ろうとすると、ゼノンさんが驚いた様に声を掛けてくる。
「おいおい、嬢ちゃん!?どこに行くんだ?」
それを聞きますか?後ろで私の行動を見ていたでしょうが。
スゴスゴ退散しますが、何か?
「いえ……残念ですが、通行証もギルドカードもお金も無いので諦めますが……」
「はあっ?今俺が払っただろ?それで町に入れるだろ」
「ええっ?それはゼノンさんが町に入るためのお金じゃ無いんですか?」
「ははっ…。俺はギルドカード持ってるからな。銀貨は払わなくて良いんだ」
あっ!そりゃそうだ。ゼノンさんは冒険者だったんだ。ギルドカードを持ってるよね。
じゃあ何か?私がお金を持っていないので、代わりに出してくれたと?
何が狙いでしょうか?無料より怖いものは無いですしね。
「………どうして出してくれるのですか?」
なぜそんな事を聞くのか?と、ゼノンさんの表情は雄弁に語っている。
首を傾げながらゼノンさんは、事も無げにこう言った。
「子供が困ってたら、大人は手を貸すもんだろ?」
子供じゃ無いのですが。ゼノンさんの勘違いを正してあげましょう。
「言いづらいのですが、私は子供じゃ無いです」
「ん?ああ、背伸びのしたいお年頃ってやつか?」
「………違いますっ!!私は18歳ですよ?もう一人前ですっ!」
私が大きな声で年齢を口にすると、ゼノンさんと兵士の人が一緒に驚いた表情をした後に、同じ言葉を口にした。
「「冗談を言うなっ!!!!!」」
コイツら……見事にハモりやがったな
この世界の貨幣価値は簡単です。(私が覚えられないので)←頭は相当悪いです。
石貨→10円
銅貨→100円
銀貨→1000円
金貨→10000円
白金貨→100000円
晶貨→1000000円
宝貨→10000000円
となってます。1枚辺りの金額ですぞ。
石貨、銅貨、銀貨、金貨が大体一般に出回ってるお金です。
白金貨、晶貨、宝貨は大商人や貴族、王族などが使用します。




