城門では何かが起こる運命らしい
すんなり行かない。
ギルドから町の大通りを南下しながら、採取に必要な袋と瓶を購入する。後は小腹が空いたとき用に、パンと干し肉と水を購入する。
袋と瓶はしめて銅貨2枚と石貨5枚で、日本円にして250円だった。
パンと干し肉と水はちょっと多めに買ったから、全部で銀貨2枚……2000円だ。
ん?ちょっと待てよ?ギルドで受けたその依頼を解決するために、採取するための備品?とか必要経費は冒険者が工面するのか?
と、言うことは依頼の報酬が銀貨3枚ずつで6枚。今回の備品と食料に合計2250円掛かっている訳で、報酬は単純に考えて3750円ということだ。
あっれ~?割りに合わなくない?冒険者って……儲からないのかな?
それとも私がまだランクが最低のGだからってだけなのかな?
後者なら問題ないけど、前者だったら冒険者をメインに考えて仕事するのはちょっと無理だな。
まぁ、きっと後者だよね?だって冒険者って大勢居るし、そうじゃなきゃ好き好んで危険な町の外で仕事とかしない筈だしね。うん。
そうこう考えながら歩いているうちに町の城門が見えて来た。
フッフッフッ……。今回はギルドカードを所持しているので、入るときのような門でのゴタゴタは起きない筈だ。
今回は前回よりも混んではおらず、直ぐに私の番が来た。
「はい、次の者……………おっ?」
兵士の人が私を呼んだので、トコトコ歩いて兵士の人の目の前まで歩いて行く。
「………お嬢ちゃん。ここは外に繋がる門なんだ。町の外が危険なのは大人が教えてくれただろう?こんな所で遊んでないで、早くお家に帰りなさい」
うぎゃっ!ここでもかよっ!本当に私は他の人には幾つに見えてるの?子供か?子供に見えるのか?ちくしょう。
ハッ!!もしやこの私のささやかな胸を見て言っているのではあるまいな?そこで判断されたら、世のちっパイ女性はどうせいっちゅーんじゃ!!
私は憤りも顕に子供扱いする兵士の眼前に、ギルドカードを見せ付けた。
ええ、この時の私の気分はもちろん【この紋所が目に入らぬかぁ!!】って例のアレを悪党に見せ付ける角さん……あれっ?助さんだったっけ?
まっ……まああの御付きの人の気分だった訳で。
兵士の人がひれ伏す……とまでは行かなくても、納得して門を通してくれると思ってた訳で。
ただ……まさかその印籠扱いで取り出したギルドカードを偽造したと疑われるとか、そんな事は毛ほども考えて無かった訳で………。
私がギルドカードを取り出して見せた瞬間、2人居た内の1人の兵士に肩を抱かれて門番の詰め所らしき場所に連れてこられた。
そしてその兵士は他の兵士と共に、私のギルドカードについてディスカッションをおっ始めやがったのだ。
勘弁して欲しい。
「皆!これを見てくれ!俺は今日初めてこんなにも精巧な偽造ギルドカードを見た……」
兵士は自身の頭上に私のギルドカードを、掲げながら話始めた。
返して欲しい。
「んん?確かにな。それが偽造カードだと言うのならば精巧すぎるが……。しかし一体何を根拠にお前はそれを偽造だと判断したんだ?」
「何を根拠にって……それはこの少女が自分のギルドカードだと言って提示してきたからだが……」
私のギルドカードを持っている兵士が、私の方に指を指すと、その場に居る全員の視線が私に向けられる。
こっち見んな。
「お嬢ちゃん?このカードはどこで手にいれたんだい?自分のギルドカードって言ったそうだけど、本当かい?」
私を怖がらせない配慮なのか優しく聞いてくるが、そんな配慮は要らないからとっとと城門を通してくれませんかね?
そう思いながら私は兵士の問いに静かに答えた。
「……………冒険者ギルドですが?」
「はあっ?この子の言葉を信じると、冒険者ギルドが偽造カードを売り捌いてるって事か?それが事実だとすると一気にキナ臭くなって来ちまったな……」
ザワザワッ……。ザワザワッ……。
詰め所内がざわめく。
ふぅ。この兵士……馬鹿でしょ?
何で悪い方向にばかり想像力を働かせるのだろうか?
普通に考えて冒険者ギルドで手にいれた=正規なやり方でカードを作ったって事でしょ?これで伝わらないなら、他に私にどうしろって言うの。
先程の詰め所のざわつきは時間が経つにつれて段々大きくなっていった。
しかし、1人の声が瞬時にざわついた室内を落ち着かせた。
「少し待て。セロの考えは早計過ぎではないか?」
口髭の男性がセロと呼ばれた馬鹿兵士の言葉を否定する。
「なっ!オケアノス隊長!?いっ…いつからそちらにいらっしゃったのですか?」
詰め所内に居た全員が慌てて、オケアノス隊長と呼ばれた口髭の男性に向かって敬礼をする。ただひとり、驚きを顕にしたセロを除いて。
「フム……。いつからと問われれば、最初からだと述べておこう」
オケアノス隊長は自身の顎に指を添えながらサラリと答えた。
「では何があったかは……ご説明はせずとも宜しいでしょうか?」
セロは不機嫌そうに口を付き出しながらそう言った。
「ああ、そうだ。必要ない」
オケアノス隊長は一言セロにそう言うと、私の方にゆっくりと歩いて来る。
おおっ!このオケアノス隊長って人は、背がメチャクチャ高いんだな。
他の人よりも更に頭ひとつ分は高いよ。
私との身長差だと、この人に近付いて来られるとこっちが見上げなければならないので、首がっ……首が痛い。
私が顔をしかめていると直ぐに察してくれたのか、オケアノス隊長は苦笑しながらしゃがんでくれた。
かたじけない。
「可愛らしいお嬢さん。セロが……我が隊の兵士がうるさく騒ぎ立ててしまって済まないね」
「いえ、謝って頂かなくても結構です。ですがこのギルドカードは、きちんと冒険者ギルドの受付で私が発行してもらった正規のカードですので、偽造を疑われるとは夢にも思っていませんでしたが」
私はチラリとセロに視線を送った後で、オケアノス隊長の探るような瞳をジッと見返しながら話す。
するとしばらくしてオケアノス隊長は、目じりにシワを作りながら微笑んだ。
「フム……。このお嬢さんは偽りを申しては無さそうだな。貴重な時間を取らせてしまって住まなかったね。アディ……このお嬢さんを外までエスコートして差し上げなさい」
「はっ……はいっ!!」
アディと呼ばれた女性兵士がオケアノス隊長に敬礼をした後に、私に近寄ってきて腕を出してくる。
どうやら掴まれという事らしい。
私はやっとこの面倒な空間からオサラバできると、ホッとしながらアディの腕に掴まろうとした正にその時、横から別の人物に腕を掴まれた。
「ちょっと待てよっ!何も調べないでこの子を開放してしまって良いのかよ!?もしこの子が何かの事件に巻き込まれてたら、どうすんだよ!」
私の手を掴んだのは馬鹿……もとい、セロであった。
そしてまだ続くという……。
兵士には女性も少数ですが在籍してます。今回出たアディはその1人です。
女性兵士………カッコイイですよねー。個人的に大好きです。(アディが…では無くて、その括りがですが)




