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残影

「ここは、どこだ?」

光に包まれ、降り立ったのは古びたーー

「闘技場?」

中世とか古代ギリシャとかの闘技場をモチーフにしてそうだ。


ここはなんだ?

とりあえず進む。

するとアナウンスが流れる。


『ladies and gentlemen!ようこそお越しいただきました!さあ!本日も楽しくタタカイヲゴゴゴゴゴーー』


途中で壊れる音声。

「なんだ?古すぎて壊れたってことか?」

なら、誰もいなさそうだな。


「ここにいる必要はなさそうだ。出口を探してーー」


轟音。

驚くほど大きな音と共に空から降ってきたのは巨大な鎧騎士姿の者。

とてつもなく巨大で、騎士の足と俺の全身が同じ大きさだ。


「また来たか!よう!調子はどうだ?」


話すのか

ならば少なくともモンスターでは無い、のか?

にしても…‥ま(・)た(・)?

俺はここに初めて来たのだが

ああ、「また来たのか挑(・)戦(・)者(・)!」ってことか。

とするとこいつは、長年ここに来た誰かと戦ってきたんだろうな。


「なんだよ!無視かよ!まあいい。いつも通り戦うとするか!」


戦うのか。

体格差は絶望的だが、やるしか無いか。


「[火炎球(ファイヤーボール)]」

まずは様子見。

だが俺の魔法は相手の盾に衝突し、爆発を発生させるも相手は無傷。


「いくぞ!うぉぉぉぉぉ!!」

!?

斧をぶん回してくるとは。

予想外だったな。

闘技場の端へと逃げる。


「まだまだ!」


?

まぁ、いい。

さて、あの斧に当たったらおそらく即死だろう。

かと言って、魔法は盾で防がれてしまう。

どうしたものかな……


とりあえず、死角に回って攻撃することを目標に立ち回ってみるか。

「[火炎球(ファイヤーボール)・2連弾(セコンド)]!」

火炎球を二つ。


あえて大きな声を出して発射することで注意を引く。

相手は予想通り盾で防御するが、その瞬間を狙っていた。


盾で俺が見えなくなった時に裏に回ることで死角へといくことができる。


「これで終いだ。[火炎槍(ファイヤーニードル)・4連撃(フォース)]」


現状俺の撃てる最高の攻撃力を持つ魔法だ。

難点として攻撃範囲が狭いのだが、単体の敵には最適な魔法と言える。


着弾。爆炎と共に煙が上がる。

これは発動した合図。よし、これで決着ーー


「がぁあ!?」


攻撃された?

魔法は発動したはず


なのに……なんで……なんであいつは……


あいつは無(・)傷(・)なんだ?


吹っ飛ばされ、闘技場外の壁へと衝突する。

だが勢いは止まらず、壁を突き破って吹っ飛ぶ。


「魔法が効かない相手?そんな奴がいるのか?攻略法は?」

頭がぐらぐらする。


「体力がやばい……?ステータスオープン」


ーーー

HP 2/435

MP 12/520


状態

左目損傷(lost)

出血

瀕死

ーーー


やばいな……

とりあえず、【回復】をしておくが、

これは微々たるものだからな。

もっと、ちゃんと回復できるものが必要だ。


そういえば、ここはなんだ?


辺りを見回すと、光り輝く宝石群。


「宝物庫……?」


そこには、紫色の液体の入った円柱状の瓶と、赤色の液体の入った球体型の瓶があった。

「これって、ポーション的なものなのか?」


毒かもしれないし、回復薬かもしれない。

こういうのは、安易に飲んでは行けないのだが、危機的状況の今、飲む以外に選択肢はない。


まずは、安全そうな赤い方を飲む。

すると

ーーー

MP 500/520

ーーー

これはポーションの一種だったのか?

そしてもう一つは体力回復なのか?

色が毒々しいが……

飲んでみるしか無いか。


覚悟を決めて一気に飲み干す。

すると

ーーー

HP 205/435

ーーー

一応回復はしたな。


さて、この宝物庫に、何か使えるものがあるといいが。


金、銀、青い宝石、赤い宝石、紫がかった宝石、どれも宝石だらけ。


「宝石は今の戦いにおいて、活用はできなさそうだな。」


すると、一際金銀に覆われた小さな宝箱のようなものがあった。


開けてみる。すると中には、やけに綺麗な……


「眼球?」

これは、なんだ?

誰の眼球だ?

これはなんだ?


「これは触らずに置いておこう。誰のかもなんなのかもわからない今、触れるべきでは無い。」

地面に置こうとする。すると急に眼球が飛び出しーー


衝撃。

左目に焼けるような痛みが走る。

「なん……だっ……?……」


ーーー

??の左目を獲得

??の左目の固有スキルを獲得

暗視 熱感知 音波探知が左目に統合


鑑定 new!

暗視 lost!

熱感知 lost!

音波探知 lost!

危険察知 new!

ーーー


何‥…だったんだ?

左目が見えるようになっている。

だが、鑑定と危険察知?

暗視とかは消えている。

本当に何があったんだ?


まあいい。

ん?鑑定?


もしかして、あいつの弱点とかがわかったりするのか?


よし、試しにここら辺の物を鑑定してみよう。

「【鑑定】」


ーーーー

時魔法の片眼鏡

指定した場所の過去を見ることができる

壊れかけ。


魔導士のローブ

魔法の発動を補助するローブ。

そこそこの性能。


世界樹の杖

世界どこでも取れる世界樹の根っこから作成された初心者用の杖


ーーー


ふむ……なるほど。これがあれば勝てるな。


あとは

「覚悟だけ。」


その前に、あいつを鑑定してみるか。弱点とかが知れたりするかもしれない。


「【鑑定】」

ーーー

動く重鎧・(リビングアーマー・)残影(チェイス)

ーーー


それだけ?

まあ、いいか。


最悪、作戦は変えればいいし。

さて、次はこの時魔法の片眼鏡を使ってみるか。


「[使用]」

ん?

なんだ?あいつの前に赤い、影?みたいなものが見えるぞ?


あいつはそれに攻撃を仕掛けてる。

赤い影は避ける

あいつは追いかけて斧を振る


………そういうことか。


あの赤い影は、時魔法の片眼鏡で見えた、過去の挑戦者か。


そうか。それなら納得できる。

最初俺に、「また来たか!」と、言ったり、

俺が闘技場の端に逃げても追いかけずに斧を振り回していたり。


あいつは、過去の挑戦者と戦っていたのか。

だから、「残影(チェイス)」なのか。


よし。

作戦は固まった


***


「また来たか!よう!調子はどうだ?」

最初と同じセリフ


大丈夫。きっと成功する。


「こいよ亡霊!俺が倒してやるからよ」

相手が突っ込んでくる。

俺がそれを右に回避。

だが赤影は左に避ける。


そ(・)れ(・)を(・)狙(・)っ(・)て(・)い(・)た(・)


完全に俺に背を向けたタイミングで跳躍。

【粘着】であいつの背中にくっつく。


よし。そしてローブを纏い、杖を持つ。

これで最大限魔法発動のための準備が整ったな。

さて、これで魔法が効かなかった場合は詰みだが。


やるしかない状況だしな。

成功すれば勝利。

失敗すれば死。

「面白くなってきた」


さて、魔法を発動ーー


「ん?」


鎧の首元の隙間から見えた内部。


そこに光り輝く宝石のようなものがあった。


球体で、青色。


「もしかして…‥生物で言う核ってやつか?あれを攻撃すれば勝てる?」


隙間は小さい。ギリギリ腕と杖が入るくらい。


一か八か、賭けてみるか?


現状、後ろから魔法を発動したとして、効かない確率は高い。 

さっき、魔法を打った時、盾で防いでいたとともに、鎧も無傷だった。

それと、外からより内部への攻撃の方が効く可能性は高い。


あれがこいつの核なら勝利。

もし違った場合は……


俺の使える魔法で最も威力ーー厳密に言ったらダメージを与える力、攻撃力ーーが高いのは[炎槍]だが、


最も破壊に適している魔法は別にある。

使ったことがない魔法だが、説明を信じるなら鉱物や硬い岩盤でさえ砕けるという。


賭けてみるか?

ここまでやってきたんだ。やるだけやってみよう。


鎧の頭と首の間部分に腕を杖と共に突っ込む


「さて、俺の魔法が勝つか、お前の鎧が勝つか。勝負だ。」


心を整え、発動体制に入る。


失敗したら……

いや、成功する。

成功するしか道はない。


意思を一つにし、発動。


「[火炎爆(プロミネンスボム)]」


視界が光に包まれる。爆音は大きすぎて、もはや何も聞こえなくなる。

一瞬熱さを感じるものの、すぐに吹き飛ばされ、宙に舞う。

衝撃で意識が飛び……


暗転。

***


意識が戻る。

「生き……てるな」


だが…時魔法の片眼鏡は割れた。

ローブも燃えてしまった。

杖は消滅した。


あいつを倒した後、出口らしき光が闘技場の縁の一角に現れた。


それと……右腕が消滅した。

多分、千切れたとかじゃなくて、爆発で消し飛んだのだろう。


熱で傷口が焼け、出血は抑えられている。

あと何故か、痛みは感じない。左目の時のようなショックもない。


多分、無意識下でわかっていた。

むしろ右腕一本で済んだことが奇跡だ。


そしてあいつは……燃えた鎧の残骸となって転がっている。


ーーー

錬金術 new!

痛覚鈍化 new!

右腕 lost!

職業 Lv up!

獄炎魔法 Lv up!

ーーー


おーおー……

どんどん人間離れしていくな。

俺って。

ってか、今体力どのくらいなんだ?


「ステータス、オープン」


ーーー

名前 ソウマ

HP 1/435

MP 0/520

ーーー


結構ピンチだが、このステージには敵が湧かなそうだ。

ならば、回復スキルを使いつつ、体力全回復を待つとしよう。


さて、あいつを倒した後、あいつの残骸を漁ってみた。


すると、


ーーー

魔石・黒

モンスターの動力源となっていた魔石。

魔物に長期間触れていたため魔物に性質がよってしまい、黒色。

全壊寸前


魔物の因子

魔物から超低確率、または特定のモンスターから高確率でドロップする。

取り込むことで魔物の能力を一部受け継ぐことができる。

取り込み可能

ーーー


迷わず飲み込む。


「うん……味がしないな。変化も感じない。」


ーーー

種族 進化!

人間→半魔人

職業 進化!

見習い魔法使い→魔術魔人

ーーー


進化……か。

強くなったのだろうか。

強くなれたのだろうか。


強くなりたいのだろうか

俺は。



宝を漁って闘技場を出る。

光に向かって進む。

外に出たら、何をしようか。

何をすればいいのだろうか。


何をすれば帰れるのだろうか。


「せいぜい……足掻いてみるか。」

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