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第41話 ゲーム実況は趣味というより義務って感じ

「文系と理系どっちにする?」



昼休み。



私と深山、秋谷さんの3人でご飯を食べているなかで、秋谷さんが切り出した。


「理系科目は好きだけど、それがメインになると困るなぁ」


世の中には知らなくてもいいことだってあるし、と深山は応える。


理系でも世の深淵に迫るような内容は教えないと思うけど。


「じゃあ深山さんは文系?」

「消去法でそうなるかな」


じゃあ夜野さんは? と秋谷さんに尋ねられる。


聞かれるまでちゃんと考えたことがなかった。


「そもそも理系と文系で何が違うのかな」

「理系科目と文系科目のバランスが変わるらしいよ」


秋谷さんが応える。


「これで理系科目が多い方が文系です、とかだったら面白いのにね」

「サムネ詐欺みたいなことを学校がするの?」


羊頭狗肉じゃん。

そんなことしてもファンは増えないぞ。


「まぁ当たり前だけど、理系に進むと数学とかの理系科目が多くなるね」

「私、マジでどっちでもいいかも」

「夜野さんって極端に苦手な科目ないもんね」


極端に苦手な科目があればそれを避けるために文理選択をしようと思っていたが、逆に苦手科目がないことでどうするか悩んでしまう。


「ちなみに秋谷さんはどうするの?」

「私もどうしようか悩んでるんだよね」


そういいながらペットボトルのキャップを開ける。

同じタイミングで飲み物を手にした。


「あ、吉川くんは文系と理系どっちにするの?」


離れた場所で食事をとっていた吉川くんが自分の机の引き出しから本を取り出していたので、深山が話しかけた。


「まぁ僕は文系かな」

「あれ、吉川くんって英語が苦手じゃなかったっけ?」


中学校の頃だけど、と秋谷さんが付け加える。


「英語は嫌いだけど、嫌いだからこそ文系に進もうかなと」


スーパーイングリッシュボーイキチカワを目指して、と明らかに英語が苦手そうな人の英語を披露する。


「結構意外かも、普通に理系に行くものかと思ってたから」

「他の科目はそれなりにできるからさ、もし英語さえ克服すれば苦手教科なくなるじゃん」


そうなったらもう無敵でしょ、と言うと別の席に去っていった。


「秋谷さんは苦手科目とかある?」

「英語がちょっと」


ライティングが苦手らしい。


こういう会話のときに思うのが、「この人の苦手って、どの程度の苦手なんだろう」ってこと。


同じ赤でも他の人の見ている赤と違うってヤツだ。


「秋谷さんって成績良いって話聞いたことあるよ」


吉川くんから、と深山。


「いやでも吉川くんが言ってるのって中学校の頃の話だと思うから…」


そういって少し謙遜する態度を見せる。

成績がいい人のやるムーブじゃん。


「でも夜野さん、苦手科目がないってすごいね」


まぁ得意科目もないんだけど。




その後は趣味の話になった。

深山の趣味の話はよくしているので、自然に私の趣味の話になる。


ゲーム実況は趣味というより義務って感じだからな。

いつも収録する日に収録しないと、学校で集中して授業できないし。


ゲームも趣味というより義務って感じ。

課金するためにゲームを開いているみたいなものだし。


「まぁ音楽、かな?」


少し考えてから応えた。


「へぇ、夜野さんが音楽の話するの初めて聞いたかも」

「どんなジャンル?」


秋谷さんはさらに質問をしてきた。


ジャンルを言うのって結構勇気がいるんだよね。


もし、相手がそのジャンルが詳しくなかったら変な雰囲気になるし。

相手がめちゃくちゃ詳しかったら、それはそれで嫌な空気になる。


「ボカロ曲とか最近聴いてる」

「おっいいじゃん!」


秋谷さんがすぐ反応した。


編集の時で音の波形だけ確認すればいいときに、作業用BGMとして流している。

そのせいか最近はボカロ曲ばっかりがおすすめに載るようになってきた。


「秋谷さんも聴くの?」

「いい曲だなって思って検索したらボカロ曲だった、みたいなのが結構あるよね」


それで聞く感じ、と付け加えた。


楽曲のコメント欄で、「別の動画投稿サイトでバズってるのに、このサイトでの視聴回数少なくね?」みたいな嘆きを見たことがある。


ちゃんと原曲まで調べる秋谷さんは偉い。


「私、ボカロ曲って聞いたことないかも」


深山が呟く。


これとか聞いたことない?と言って秋谷さんは何曲か深山に聞かせた。


「え、これもボカロ曲だったの?」


驚きながら深山は何曲か再生リストに加えていった。


布教するのが上手いな、秋谷さん。

この調子で私の実況動画も布教して欲しいけど、私がゲーム実況をしていることがバレそうだからやめておこう。



予鈴が鳴り、秋谷さんは自分の教室に帰っていった。


次は掃除の時間。


私は教室の担当。

ちゃんと掃除をしながら、この時間が終わるのを待つ。


「そういえばさっき、ボカロ曲聴いてるって言ってなかった?」


横にいる楠本くんにさりげなく話しかけられた。


「うん、たまにだけどね」


じゃあこの人知ってる、と言って画面をこっそり見せてきた。

スマホを使っているのが先生にバレると困るからだろう。


「私、この人の曲めっちゃ好きなんだよね」

「俺もそうなんだよ」

「昨日出たヤツ聞いた?」

「聞いた聞いた」


お互いにそこまでテンションは高くならない。

掃除をしながらちょっとずつ感想を言い合った。


他の人と共通の趣味の話をするのってこんなに楽しいんだな。

これまでは同担拒否だったから知らなかったけど。


「そういえば楠本くんって文系と理系どっちにした?」

「俺は文系」


夜野さんは?と聞いてくる。


「まだ悩んでるけど、友達とかも文系だし文系にしようかな」

「意外と自分の周りがどうするかで決めちゃうよな」


将来のことなんてよくわからねぇし、と呟いて楠本くんは窓を締めた。

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