第11話 ドラゴン娘、泊まらせてもらう。
アンナの尋問が終わってしばらくして、起きてきたアリアに俺が家に泊まると話したら、とても喜んでくれた。
「ご馳走様。」
そして俺はアンナの作った手料理を腹一杯食べた。
「どうだった?お姉ちゃんのご飯は?」
「美味しかった。」
「だって。」
「当然よ、まずいなんて言ったら承知しなかったんだから。」
「仕事も出来て料理が上手で美少女とか、非の打ち所がないな?」
「何よ、急に褒めて、何が目的?」
「ただ素直な感想を言ったまでだって。きっと将来は素敵なお嫁さんになれるな?」
「それは…」
「なりたくなんかないわよ…」
「えっ…?なりたくない…?」
「何でもないわ、それよりお風呂を沸かすから、あんた先に入りなさい。」
「いいのか?先に入っちゃって?」
「いちようはお客さんだから。」
「私、リュウカお姉ちゃんと一緒に入りたい!」
「そうね、そしたらお湯も節約出来るし、いいんじゃない。」
「ねぇ、そうしよう!」
「そっそれこそいいのかな…?」
「何よ、その焦った態度?あんたが男じゃあるまいし、気にすることないじゃない?」
「ギクッ、そうだ、俺は女だ。」
(でも転生する前は高1の男子だったんですけど!)
「ねぇねぇ、一緒に入ろうよ?」
「わかった…」
「わぁい!」
俺はアリアとお風呂に入った。
「リュウカお姉さん、何で鼻血出したの?まだお湯にも浸かってなかったのに?」
「なっ何でだろうな?」
勘違いしないで欲しい!決してアリアの裸を見て鼻血を出したわけじゃない!俺は女になって初めて自分の裸を見て、あまりの美しさに興奮して鼻血を出したんだ!仕方ないよな!転生する前は思春期の男子だったわけだし!でもそれもどうなんだ…?自分の裸に興奮するって…?
「いかんな、自分の姿になれなくちゃ、今後の課題だ。」
「自分の姿?今後の課題?」
「あっいや、こっちの話だ。」
「お姉ちゃん、ツンツンしてばかりでごめんね?」
「気にしてないよ。」
「私以外にはいつもあんな態度なんだ。」
「あれはあれでいいキャラだよ。」
「前はみんなに優しい感じだったんだよ。でも去年、パパとママが強盗に殺されてから、性格が変わっちゃったんだ…」
「それだけ辛かったんだろうな…」
「うん、パパとママが殺された所を実際に見たのはお姉ちゃんだけなんだ、私は学校に行ってたから…」
「そうだったのか…」
「お姉ちゃん、二人を助けられなくてずっと泣いてた…自分が弱かったせいだって…だから他人に弱い所を見せたくないってあんな性格になったんだと思う…」
「アリアは泣かなかったのか?」
「いっぱい泣いたよ…でも、お姉ちゃんの前では泣かないって決めたの…泣いたらお姉ちゃんを責めてることになるのかなって…」
「アリアは子供のようで大人びてるよな?」
「そうかな…?」
「そうだよ。」
「えっ…?」
アリアを胸に抱き寄せた。
「今は誰も見てないし、俺の胸でなら泣いてもいいんじゃないか。」
「リュウカお姉ちゃん…」
アリアは泣いた。でも声には出さなかった。きっと姉のアンナが心配するからだろうな、本当に優しい子だ。
「私、リュウカお姉ちゃん、好きになっちゃった。」
「俺もアリアが好きだぞ。」
「どれくらい?」
「妹に欲しいぐらいだ。」
「私はね、それ以上かな。」
「それ以上?」
「わからないならいいよ。」
「んっ?そうか?」
「ふっふ。」
そしてその頃、アンナはというと…
「やっぱりあいつ、何かを隠してる。ただの半人じゃない、いいわ、寝た後に徹底的に調べてやる。」