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世界樹転生 異世界支配とビキニアーマー開発史  作者: 藤井ことなり
第3部 出現、ユグドラシル樹立王国編
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チエガとマグネダル その4

「ホントなの、ビアンカ」


「まあね。家が金持ちなだけで、あたしには関係ないわ」


アンナが訊くとビアンカはこともなげに言う。


「レイズ家は宿泊施設をたくさん持っていてな、安価な安宿から高価な高級ホテルまで幅広くやっていて[ホテル王]とまわりに呼ばれている。


 おかげでギルドには入ってこない情報を泊り客から得て、それを商売にも役立てている。

 ワルダーもその情報が欲しいからレイズ家には一目おいているのさ」


 チエガの言葉にアンナは疑問を持つ。


「ならビアンカはどうしてギルドで働いてるの」


「あたしは家を継ぐ気ないもの」


「どうして」


「父は婿をとって跡継ぎにする気なの。あたしに仕事をさせる気ないのよ。女はなめられるからっていうから。だったら婿じゃなくて養子でもいいじゃない。あたしには関係ないわ、だからひとりで生きていけるように働いてるの」


「そのわりには家を利用しまくってるだろ。自分ところのホテルとか、とっかえひっかえの遊び相手に使ってるの知ってるぞ」


 チエガの言葉にアンナはビアンカをじろりと睨む。


「いーじゃんべつにぃ。今のところはウチのモノだしぃ」


「変わらないな。で、なんで来たんだ。というかアンヌとどういう関係なんだ」


 チエガの質問に、ビアンカはもじもじしながらアンナの腕をとる。


「えへへ〜、こういう か・ん・け・い」


 顔を蕩かしアンナにじゃれつくビアンカを見て、アンナの正体を知ってるチエガはさすがに驚く。


「え、まさか、ホントなの?」


「ホント、ホント。アンヌはあたしの こ・い・び・と」


「ちがいます」


 ビアンカを引き離しながらアンナは否定する。


「ビアンカ、貴女が私を襲おうとしたの許してないわよ。勝手に恋人にならないで」


「い〜じゃん、過ぎたことだし〜。あんなに燃えたじゃない〜」


「私は燃えてないわよ。ジャマだから離れてなさい」


 冷たく言いはなされて、またもやしゅんとするビアンカ。

 チエガはなにがあったか、大体を察した。


「チエガ、話を進めるわよ。ビアンカからだいたいのことは聞いたわ。ワルダーに仕返しをするつもりなの」


「あたりまえだ。こんな目にあわされて泣き寝入りできるか。この手でワルダーを殺す──うっ」


 チエガが赤髪で隠れた右目を押さえる。


「どうしたの」


「なんでもない。とにかくアンヌの仲間になる気はない、帰りな」


 チエガの言葉にビアンカが驚く。


「え、アンヌそれどういうこと。チエガを旅商人にするつもりなの」


「旅商人?」


 今度はチエガが訊ねる。


「あー、ビアンカ、私はとある部族の族長の娘なの。今のままでは部族の先行きが暗いから、優秀な人材が欲しいのよ。それで旅商人になってそういう方を探してるの」


「ああそういうこと。どうりで所作が洗練されてるわけだわ。でもなるほどねぇ、チエガに目をつけるとは流石だわ。あたしの恋人だけはあるわね」


「恋人じゃないの」


「でもチエガ、そういうことならアンヌの仲間になったら? ここで居座っても嫌がらせ程度にしかならないわよ」


「うるさいな、関係無いんだから引っ込んでなよ。ワルダーをこの手で──うっ」


 またもや右目をおさえるチエガ。


「チエガ、右目が痛いの?」


 アンナが訊ねると、チエガは赤髪をずらして右目を見せる。


 右目は──縦に切られた傷があり、その周辺には黒いモヤが漂っていた。


「それは」


「ワルダーに傷つけられたのさ、ペズンナイフでな」


「ペズンナイフ?」


「[呪物(カーストオブジェクト)]さ。それで切られると[切った相手への怨みを痛みに変える呪い]に苛まれるナイフだ」


 チエガが吐き捨てるように言うと、ビアンカが眉をしかめる。


「ワルダーに? え? チエガがワルダーを襲ったんじゃないの」


「ちがう! 私がワルダーに襲われたんだ」


「どういうこと? 何があったか教えてよ」


 ビアンカの問いに、忌々しそうにチエガは話しはじめる。


「……私がギルドにいた頃、ワルダーは仕事を全部任せて贅沢三昧をしていた。

 ワルダーは賢い。だがそのうえに[悪]とか[ズル]がつくがな。アンヌ、ビアンカ、[ヒトを動かす力]とは何だと思う」


「そんなもんカネと愛に決まってるでしょ。ねぇ〜アンヌ〜」


 ビアンカは即答する。


「アンヌは?」


「……ビアンカの言うカネ、つまり[財力]。それと組織ならば[権力]、あとは残念ながら[暴力]かしら」


「そう。ふたりが言う通り[権力][財力][暴力]そしてビアンカのいう愛は[魅力]という力と言い換えられる。この4つがヒトを動かす力だ。


 ワルダーはグランギルマスとして[権力]を持っている。同時に[財力]もな。だからギルド職員である私は従うしかなかった。ここまでは仕方ないし、正直ワルダーが口を挟まない方が仕事がまわってやりやすかったよ。


 アンヌ、ワルダーに会ったことは?」


「あるわ」


「どう思った」


「え〜っと……愛人にならないかと誘われたわ。丁重に御断りしたけど」


「はあ!? あたしのアンヌにそんなこと言ったのぉ!!」


「ビアンカ、静かにして。何も無かったんだから。だから好ましい方ではないと言わざるをえないという感じかしら」


「ふふん、アンヌらしい言い方だな。素直に[嫌なヤツ]でもいいんだぜ」


「それじゃ、チエガと同じよ、に言い直すわ」


 これには4名とも笑うしかなかった。

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