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第一話 終わりとはじまり

初連載です。

人類が宇宙進出してから約300年。地球連合は着々と領土広げていた時代、宇宙は交通、文化、交流、経済の発展、そして・・・


    戦争が起こる場所であった。



 俺が乗る(ふね)の艦橋内を赤い警告灯が照らし、警告音が耳を劈く。それが最期に見た光景だった。


 地球連合航宙軍に若くして志願し、戦場で堂々たる戦績を上げ、昇格していき最終的にこの艦[白露]の艦長にまで上り詰めた。この艦とは、かれこれ60年以上も付き合ってきて相棒とまで言えるほどこの艦には思い入れがあった。


 そして今、遠征航海中の次元跳躍中に機関に異常をきたして、宙域から消滅した。




 ・・・そうだったはずだ。




「ここはどこなんだ」


 今俺は、何もない真っ白な空間にいる。いままでなっていた警報音とは対称的な静けさが、心地よい。


 何か手持ちの道具はあっただろうか。腰のバックに手を伸ばそうとするが、まず腕の感覚がない。それに、体の感覚もない。死んでいるのだろうか。


「誰か、いらっしゃいませんか」


 自分の声が反響もせず空しく響くが誰も出ない。もう一度言ってみよう。


「誰かー、いらっしゃ」


”あぁ、いるよ”


「っ!」


 脳内に中性的な声が響く。脳を揺さぶられているようで今すぐのたうち回りたいほど痛い。




”あぁ、すまない。加減を間違えたようだ”


 今度は、脳内に響く程度で済んだ。いったいこの方は何方だろう。



「貴方は一体誰ですか」


”僕は無数にある宇宙を管理する、管理者だ。君たちでいうところの神だね。まぁ、全知全能ではないけど”


「じゃあ、管理者様と呼べばいいんですね」


”君の呼びやすい呼び方で構わないよ。君の名前は何だい?”


「楠見健司です」


”じゃあ、健司だね。あと、そんな堅苦しい感じじゃなくていいよ。君が死んだのは僕が原因だからね”


「じゃあ失礼する。早速だが、俺が死んだ理由はなんだ」


”まず原因として、最初に僕は高次元生命体なんだけど、そんな存在が宇宙と重なると最悪の場合その宇宙そのものが消滅するんだ。今回はたったの一部分が重なっただけだったから、影響は少なく済んだんだ。その影響がちょうど次元跳躍中の君の艦に作用して、艦ごと宇宙の外側つまりここに飛ばされたんだ”


 ただの機関の異常ではなかったのか。



「やはり俺は死んでいるということか?」


”そういうことだね”


「この後、俺はどうなるんだ?」


”正直言って、扱いに困るね。死因が特殊だからそのまま輪廻転生に回すこともできないんだ。そこで、君には三つの選択肢があるんだ”


「その選択肢って何だ?」


”一つ、このまま宇宙の外を彷徨う。二つ、地獄に落ちて無限に近い時間過ごす。三つ、別の宇宙に転移して暮らす”


 選択肢を聞くがとりあえず、二つ目は絶対に嫌だ。そして一つ目は何の楽しみがなさそうだし、こんな何もない真っ白な空間にいると頭が狂いそうだ。そう考えると、三つ目だろう。どんな世界に行くかはわからないがそれでもマシだろう。


「三つ目でお願いします」


”わかった。今空いているところだと・・・”


 何か聞き取れない単語が続いているが、大体は俺が転移する世界を探しているのだろう。



”よし、調整が終わった。健司、君の行き先が決まったよ”


「どんなところだ?」


”簡単に言うと、星間国家がいくつかあって、結構な確率で大なり小なり戦闘があちこちで発生しているところだね”


 聞いただけでも、治安が悪いことが理解できる。



「あー、もう少し治安がいいところはないのか?」


”ないね”


「そうか。わかった」


”僕のせいでこんなことになってしまってすまないね。今回のことは、原因は完全にこちらにある。だから転移する前にいくつか願いを叶えるから、遠慮なく言いてくれ”


「じゃあ、俺が乗っていた[白露]と一緒に転移させてくれ」


”向こうに適した戦艦をあげるつもりだったけど、それでいいの?”


「あぁ、やっぱり一番乗りやすいものがいいし、思い入れがあるからな」


 なんせいろんな戦場で助けられてきたからな。




”わかった。構築するよ”


 隣の空間に、白露が構築されていく。傷一つない進宙時の姿そのままだ。




”構築終了。とりあえず姿はそのままで、内部の改造はしているからね。そのままだと、もしかしたら死ぬかもしれないしね”


「ありがとう。どんなところを改造したんだ?」


 改造されたという部分を知りたい。それに、そのまんまの白露でも軍の中では上位に入れるほどの性能だったが、それでも死ぬとはどんなのがあるのだろう。




”とりあえず、パスをつなぐね”


 そう言われた後、頭の中に白露の状況が流れてきた。手に取るように、白露の情報が理解でき、手足のように艦の操作ができるようになった。




”改造した部分として、まず自立制御の改造。これは処理能力が大体、400倍から500倍ぐらいまで強化したね。次に、艦の性能を上げられるようにしたよ。これは強化次第で、いくらでも強化できるね”


 自立制御は単体でも、乗組員なしで艦が運用できる代物だったが、まだまだ改造できたらしい。それにしても、技術力の結晶ともいえる自立制御がこうも簡単に改造できるとは。管理者の持っている技術力は未知数だ。


 強化はどんな感じか分からないが、面白そうだ。それに、そんな感じじゃないと生きられない世界なのだろう。



 ”まだまだ説明したい部分もあるけど、そろそろ時間だ。詳しいことは、自立制御にでも聞いてね”


「わかった」


”そろそろ、君を転移させるね。最後に、君は向こうでどう生きようが君の自由だ。君の新たな生活に幸多からんことを”


「いろいろありがとう」


 そう言った後、視界が黒く染まっていく。転移を開始したようだ。


 新たな生活に思いをはせながら俺の視界は完全に染まった。




”いったね”


 こうやって人を送るの初めてだけど、うまくいって良かった。


 僕が管理する宇宙で生きる、何京、何亥種類もの生物にはたいして興味がなかった。あっても、ほんの少し見るぐらいだった。殺そうが殺されようが、どうでもいい存在だった。


 しかし、今回の彼は違った。何というか、他とは違う何かを持っていた。それが何かは解らない。


 今回は、ずっと見ていよう。彼がこの世界でどう生きるか。何をなすのか。

至らぬ点などたくさんありますが感想などをくださると幸いです。

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