輝石
ペンダントの、石?
シェーラ様が取り出したのは、いつもルアがお守りとして持っているあのペンダントだった。
……あれ?でも、少し違う。わたしのは透明だったけど、シェーラ様が持っているものは石の中に何か白い模様が透けて見える。
「これは、あなたが身につけていたものよね」
「似てますけど、わたしのはこんな模様はありませんでした。」
「じゃあ、これはあなたのだわ」
ちょっと話が噛み合ってないような気がするのは気のせい?
「ルアちゃん、これが一体何なのか分かる?」
何って……
「石、ですよね?」
「うーん、そうなんだけどね」
そう言ってシェーラ様は、立ち上がって近くの机に置いてあった一冊の本を持ってくる。
ぱらぱらとページをめくるとベッドの上に広げて見せた。
そこにはルアの石と似たような石の絵がびっしりと並んでいた。ただし色は様々で、赤っぽい物や青っぽいもの、緑や黒、紫なんかもあった。
「これは、輝石と呼ばれる魔石の一種でね、選ばれた人間しか手に入れることが出来ない物なの。」
それからシェーラ様が話した内容は、とても衝撃的なものだった。
*******
そもそも、悪魔がこの世界に現れたのは今から約2000年前。
その時は、その時代の英雄にある魔術で封印されたらしい。
だがとうとう10年前、その封印が解かれてしまったのだ。
しかし、2000年前のこの大陸にサンブレッド王国はまだ建国しておらず、文献もあまり残っていなかった為に悪魔は空想上の生き物だと思っていた人々は大きな混乱に陥った。
国としてもどう対処すれば良いのかすら分からず、見ていることした出来なかったのだがその状態から一転させた聖女が現れた。
悪魔は人間の魂を喰う。全員が一度食べられただけで死ぬ訳では無いが、年寄りや体の弱い子供などは死ぬ場合もある。その悪魔の強さが強いほど食べられる量も多い。
また喰うだけじゃ無く、力の強い上位の悪魔は強い嫉妬や絶望、恨みなんかを持っている人間の心に入り込み、操ったり、悪魔に変化させたりすることも出来る。
戦闘力が強く、普通に戦っても殺すことが出来ない。
そんな悪魔に唯一対抗出来る術がある。
それが、聖女が大昔の文献の中の少ししかない資料から、実験を重ねて完成させた
『浄化の術』
である。
この術は輝石という魔石を身につけ、術者舞を踊ることで発動出来る。
その為、またの名を
『輝の舞』
と呼ぶ。
この術は誰もが使える訳ではなく、輝石の魔力と引き合う魔力を持っている者に限られる。
輝石が与えられるのはその力があると認められた者たちだけだ。
ではなぜ、それをルアが持っていたのか。
それはーー
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「わたしが聖女の娘だから……?」
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