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インタビュー

 高等部の校舎の方から、明らかに学校関係者でも、保護者でもない3人が歩いて来るのが透の目に入った。

「レイラ、ここを離れた方がいい。匠たちを取材した人たちがこっちに来る」

レイラは頷くと足早に、門の方へと歩き出した。昨日のように、記者から構わずに写真を撮られるのは御免だった。取材班たちはレイラに気が付き、声をかけた。日本でプラチナブロンドの人間は珍しいから、嫌でも目についてしまう。

「そこの人、ちょっと待って! キーロヴィチ監督のMVに写っていませんでしたか?」

取材班が走り出しそうなのを見て、透は門まで回るのがもどかしくて、柵を飛び越え、取材班の方へ走った。取材班が足早に去って行くレイラの方へ、カメラを構えようとしたのを両手で遮る。

「構内で許可なしに、勝手に写真を撮ってもらっては困ります」

「校長から許可はもらっている」

「高校の校長からの許可は、高校の校内だけの筈。他の場所の撮影を許可した覚えはありません。私は誠実学園の理事長で築地と申します」


 一人が透の顔をじっと見て、声を上げた。

「あ、もしかしてMVに映っていませんでしたか?」

透はレイラを映させない為には、ここで引き止めておかなければならないと思った。取材など受けたくなかったが、仕方がない。

「ええ、映っていましたよ」

「取材させていただけますか」

「それならば、高校の会議室の方へ来ていただけますか」


 透は中沢にちょっと抜けますが、また戻ります、と伝えて記者達を高校にある会議室へ案内した。カメラマンがカメラを構えた為、透は慌ててお願いした。

「写真は撮らないで下さい」

記者達は明らかに、がっかりした。メインのインタビュアーは透と同い年くらいの女性で、木下と名刺に書いてあった。サブのインタビュアーは20代と思われる男性で、相沢と名刺に書いてある。カメラマンは40代くらいに見える無精髭の生えた男性で、名刺に金田と書いてあった。


「早速ですが、何故、理事長先生があのMVに出ていたんですか」

「生徒の付き添いでついて行って、恥ずかしながら撮られる事になってしまったので」

「いやいや、素晴らしい映像でした」

相沢はまだ慣れていないのだろう、感想を述べている。木下は相澤の方をチラッと睨むと、食い下がった。

「一緒に映っていた女性は誰ですか? ニュースではサファノバと言う国の女王と載っていましたが、本当ですか?」

「いいえ、監督の知り合いの女優だと思います。なので、私は知りません」

「本当に? お二人は恋人同士にしか見えませんでしたが。理事長先生は演技の経験があるのですか? 実際の恋人同士か、俳優でもなければ、なかなかああいう風にはいかないと思いますよ」

「それは、監督の指導の賜物です。素人の高校生バンドが話題になっているくらいですから。もちろん、我が校の自慢の生徒達ではありますが、監督の才能は素晴らしいと思います。私もつい、乗せられてしまいました」

「バンドのメンバーに聞いても、曖昧な答えしかなかったのですが、何故、あの有名なキーロヴィチ監督がOne smile for allのMVを撮影してくれたのでしょう? 誰のどう言った関係で撮影してもらえる事になったのでしょうか?」

「我が校のバンドがグランプリを取った、と知り合いに話したら、撮ってもらおうと言う話になり、とんとん拍子に話が進んで撮影してもらえる事になったのです」

「どう言ったお知り合いですか?」

「知り合いの知り合いなので、私にはわかりませんが、これは良いとお願いしました」

「先ほど、我々が声をかけた銀髪の女性は、MVに出ていた女性ではありませんか?」

「違うと思います。静実学園は海外から来た学生も多いので、その中の誰かの保護者ではないでしょうか。有名な方の子供達も多いので、許可のない撮影は遠慮していただいております」


 透は壁にかけてある時計を見た。

「申し訳ありませんが、この後会議がありますので、そろそろおしまいにしていただけますか。仕事に支障が出るといけないので、私の名前は記事に出さないで頂きたいのですが」

「お約束は出来ませんが、努力してみます」

木下はおざなりに答えた。これ以上聞いても、面白い答えが引き出せないと諦め、お礼を言って会議室を出て行った。取り敢えず、MVに出ていた男性が、静実学園の理事長である事が正式にわかっただけでも、良しとするしかないと、木下は思った。

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