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53階にて

 レイラは匠から、菊がリッツカールトンのラウンジで、透にお見合いをさせようとしている、という連絡を見て、大急ぎで宿泊予約を入れた。レイラたちはなんとか、記者たちを黙らせ、ホテルのスイートルーム宿泊者の特典である、空港まで来てくれる迎えの車に乗り、ホテルに到着した。大急ぎで、ラウンジまで上がった。

 

 レイラは透に待っている、とは言ったものの、待つ時間は長く、1分が1時間ほどに感じていた。来なかったら、と考えるとじっと待っている事が苦痛だった。レイらは45階に戻って、無理矢理、透を連れて来るよう、命令しようかとさえ考えてしまった。

本当はアントンかマルコヴィッチに、53階に来るよう、目立たぬように伝えてもらうつもりでいたのだったが、ラウンジでの果穂と透の様子をこっそり見ていたレイラは、透が思いの外、熱心に話をしていたのを見て、我慢出来なくなり、自分で透の前に出て行ってしまった。レイラは果穂と熱心に話す透を見て、このまま、透の心に入り込んでしまったら、と冷静ではいられなかったのだ。人前で触れ合う事の苦手な透に対して、お見合い相手に誇示するようにキスをしてしまった。あんな事をしてしまって、透は来ないのではないか、と今更ながら後悔し始めた。


 透はエレベーターを待っている間、ウェブをチェックした。「人気急上昇のキーロヴィチ監督のMVの、謎の登場人物はサファノバ国の女王?!」と言う見出しの記事が載っていた。

 エレベーターが来たので最上階へ上がる。53階にはクラブラウンジとスイートの二部屋しか無い。スイートのドアをキーで開けると、アントンが待ちかねた様に立っていた。

「レイラ様が寝室でお待ちだ。今、紅茶を持って行くから、少し待っていてくれ。我々はダイニングの方にいるから用があったら呼んでくれ」

 ダイニングとリビングルームはひと続きの部屋になっている。扉が閉まって個室になるのは寝室しかない為、レイラはそこにいるのだろう。


 ノックをして入ると、レイラが窓際のソファに座っていた。もともと細っそりしていたのだが、痛ましい程に痩せてしまっていた。透はレイラを直視する事が出来ず、目を床に落としたまま、レイラの数歩手前で立ち止まった。腕を伸ばしかけたレイラを前に、透は右足を引き、右手を体に添え、左手を横方向へ水平に差し出すボウ・アンド・スクレープと呼ばれるお辞儀をした。

「陛下、遅くなり申し訳ございません。要件をお話ください」

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