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カミングアウト

「透ちゃん、幼稚園、楽しい?」

「匠、その聞き方だとまるで、私が幼稚園に通っている園児のように聞こえるが……」

「意味が通じるんだから、いいじゃん」

「まぁ、そうだな。小さい子は何をしても可愛いし、面白いよ」

「悪かったね、中高生は可愛くなくて」

「何だ? 僻んでるのか? 可愛いな、匠は」

透はつい癖で、匠の顔を覗き込んだ。ホワイトブロンドの髪と母親譲りの顔。透は一瞬、レイラを思い出し、何かが表情に出てしまう前に、ホワイトブロンドの髪をぐしゃぐしゃと撫でた。


 匠は帰国してから、黒染めをやめた。黒いカラコンもやめた。匠は学校で、自分がアルビノである事をカミングアウトした。

 黒染めとカラコンをやめたのは、透に母を忘れて欲しくないからだ。口に出さない抵抗のようなもの。でも、透を苦しめる気もさらさらなかった。相反する事である事はわかってはいたが、本来の自分の姿をカミングアウトする事により、少しでも、透を励ます事が出来ればと思った。

匠にとって、自分がアルビノである事を公表することは、かなり勇気のいることだった。隠したまま、黙っている事もできた。


 クラスメイトや部活の仲間からは、匠のホワイトブロンドと水色の瞳は驚きを持って迎えられた。大介は、「だから自分が金髪に染めた理由を聞きたがったんだね」と納得した。日傘が必要な理由も説明した。

 匠のことを快く思っていなかった一部の子達からは、「金髪の次は白髪かよ。そんなに目立ちたいのか」と陰口を叩かれたが、匠は気にしないようにした。

例えば目や口や鼻の形のように、みんなが違っていれば、誰も気にしないのに、黒髪の多い日本では、黒髪でないと、目立つ。人と違う事は、本人が望んでいようといまいと、いつも何か摩擦を引き起こしてしまう。

匠は公表しなくても良いから、透にはインターセックスである事を恥じてほしくなかった。髪や眼や肌の色のように、LGBTIの人たちも学校や世の中に、受け入れられるようになって欲しかった。


 大介の時に、話し合いが持たれていたせいか、保護者たちからの苦情は無かった。しかも本人が、アルビノで地毛あると言っているのだから、苦情を言えば、それは差別に繋がる。

 

 透は、匠のカミングアウトについて、レイラを思い出してしまうのが辛いから、元に戻せとは言えない。匠に散々、自然な髪色で通えと言っていたから、反対できるはずもない。本来なら、透にとって匠が自然体で通う事は歓迎する事だったはずなのだから。

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