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ハンナとの再会

 ハンナはヒースロー空港まで透を迎えにきてくれた。クリスマスジャンパーを着ている。

「透、久しぶり。元気そう、じゃないわね……」

 透はハンナとハグを交わす。レイラとのハグとは違う、自然な友達の間でのハグだ。クリスマスジャンパーを見て、透はやっと、今日がクリスマスだった事を思い出した。

「ちょっと、色々あってね。クリスマス当日にやって来てしまって、ごめん。ハンナはどう? 元気だった?」

「とりあえず、お昼でも食べながら、話しましょう」


 二人はロンドン郊外にあるハンナの研究室へと向かった。

「ちょっと散らかっているけれど、その椅子に座ってて。紅茶? それともコーヒー?」

「ハンナはコーヒーだよね? 私もコーヒーでいいよ」

「ところが、イギリスに来てから、紅茶に目覚めたのよ。コーヒーがいいならコーヒー入れるけど?」

「ハンナと同じでいいよ」

ミルクたっぷりの紅茶を持ってハンナが戻ってくる。

「コーヒー中毒だった君が、ミルクたっぷりの紅茶なんて、アメリカ国籍捨てたのかい?」

透が冗談で言うと、ハンナは大真面目に答えた。

「イギリス人と結婚したの。子供も一人いるの」

「それはおめでとう! 子供って養子縁組?」

「私の子よ」


 透は落とさない様にカップをテーブルに置いた。

「どう言う事? ハンナは卵巣がないんだったよね? お相手はどんな人?」

「普通の人よ。一人ずつ、交代で代理母出産を依頼することにしたの。一人目は私の精子と、提供された卵子を体外受精させて。これから、二人目なんだけど、彼の精子と提供された卵子を体外受精させて、代理母に産んでもらうの」


 透はハンナの言葉にショックを受けた。レイラが、透の遺伝子を持った子供に拘らなければ、後継者問題はなくなり、レイラと一緒にいる事が出来るのではないかと、微かな希望を見出した。けれど、もうレイラに別れを告げてしまった後では、遅い。

 レイラに会いに行く前にハンナの話を聞いておけば良かった、と透は酷く悔やんだ。しかし、知っていたところで、代理母出産や体外受精をレイラが受け入れるかどうかは分からない。レイラは意外に保守的だ、と透は考えていた。だから、その話を切り出せるかどうかも自信がなかった。何故、ハンナでは無かったのだろう。ハンナであれば、お互いを分かり合えたのに。分かり合えない、レイラだったのだろう。


 透にわかっている事は、レイラへの気持ちは、他の誰とも比べようが無く、全く違うと言う事だった。生徒会室に入って来たレイを見てからか、生徒会室でのキスがきっかけだったのかどうかは、わからない。透にとって、あのキスがファーストキスだった訳でもない。それなのに、レイラに対しては他の人に対応する事の何倍も努力して、普通に振る舞ってはいたが、他の人との様に上手く対応出来ない自分に気がついた。それでも、トラウマから、気持ちに蓋をするしかなかった。

(病院に忍んできたレイラを見るまでは、忘れていたのに、逢った瞬間から、まるで時を巻き戻したかの様な気持ちになった。隣にいるだけで、心臓が高鳴り、どうしようもなくなった。どんどん惹かれていく自分を止められなかった。その結果が今だ。最初にきっぱり断っていれば良かったのだろうか……)

 レイラが現れなければ、きっと普通に結婚し、父と同じように死ぬまで理事長をしていたのだろうか、と思ったが、透はそれもうまく想像出来なかった。

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