32.ボクの宝物
32.ボクの宝物
陽気がよくなってきて、昼間はお昼寝するのに最高の季節。どうせ、昼間はみんなお仕事で居なくなっちゃうし、誰も遊んでくれないし。猫って基本的には夜行性なんだね。最近つくづくそう思う。昼間寝ているせいか夜になると目が冴えちゃんだ。とは言え、夜は夜でみんな寝ちゃうから誰も遊んでくれないんだけどね。でも大丈夫。一人だってちゃんと遊べるんだから。
ひいおじいちゃんがボクと遊ぶときに紙を丸めて作ってくれたボール。ボクはいくつも隠し持っているんだ。ある意味、ボクの宝物さ。
夜、目が覚めるころ、桂子さんと菫ちゃんが帰って来るの。そして、ご飯を用意してくれる。大輔さんはそのころには寝ているのだけれど、最近は居間で寝ていることが多いんだ。お酒を飲みに行って夜中に帰ることが増えたから、寝ている桂子さんを起こさないように気遣っていたのだけれど、今では、居間が大輔さんの寝室になっちゃってるんだ。だから、ご飯を出してくれる時も桂子さんは居間の電気をつけないんだよ。
さて、お腹もいっぱいになったし、食後の運動をしなくちゃね。少しはスリムにならないと、いつもみんなに“でかい”だの“大きい”だの言われて耳が痛いんだ。
今日はどれにしようかな…。決めた!この大きいやつにしよう。
「それっ!」
前足で勢いよくボールを飛ばす。そして、全速力で追いかけるんだ。飛ばしては追いかけ、飛ばしては追いかける。単純だけど、結構楽しいんだよ。でも、大輔さんの方には飛ばさないようにしないとね…。
「しまった!」
言ってるそばからコントロールミスだよ。大輔さんが寝ている方へボールが飛んで行っちゃった。仕方ないからそっと近づいて…。
「うわあ!」
寝ていると思った大輔さんが起きちゃった。そして、僕のボールを掴むとそのまま立ち上がって台所の方へ。
「あれ?遊んでくれるのかな?」
ボクは大輔さんの後について行ったんだ。すると、大輔さん、ゴミ箱のふたを開けたんだ。あろうことかボクの宝物をゴミ箱の中にポイッ。
「なんてこと!」
ボクは思わず頭を抱えたよ。でも、大丈夫。まだたくさんあるから。




