20.ボクのお食事事情
20.ボクのお食事事情
エリザベスカラーを付けているせいで、万事、調子が狂う。やることなすこと全てにおいてテンションが下がってしまう。もう、面倒くさい。
そんな訳で、ボクはなるべく動かないようにすることにしたんだ。そしたら、皆が心配してくれて…。
「パルさん、元気ないね」
「可愛そう」
桂子さんも菫ちゃんもそう言ってボクのそばに居てくれるんだ。
そんなある日、菫ちゃんが風邪をひいて具合を悪くしたんだ。いつもは自分の部屋に居るのに、具合の悪い間は居間に布団を持ち込んで寝起きしているんだ。それでも、お仕事には行くんだけれど、一緒に居られる時間が多いのは僕も嬉しい。
桂子さんもいつもなら夕方からお出掛けするのに、今は出掛けずにボクのそばに居てくれる。いっそ、ずっとこのままにしていようかな…。
ずっと菫ちゃんが居てくれるのはいいんだけど、一つだけ困ったことがあるんだ。菫ちゃんはなかなかご飯をくれないんだ。
桂子さんはボクが嫌いなご飯を食べ残すと、すぐに違うのを出してくれるんだ。
「あら、これは嫌いなの?じゃあ、こっちはどう?」
なんて具合にね。けれど、菫ちゃんは全部食べるまで新しいのを出してくれない。桂子さんはいつも気を遣ってくれる。
「パルさんにご飯あげた?」
「まだ入ってる!」
あーあ…。そんな時、ボクは菫ちゃんのそばを離れて桂子さんに擦り寄るんだ。すると桂子さんすぐに新しいご飯を出してくれる。
「もー!そんなだからパルが太っちゃうんだよ」
ちょっと耳が痛いけれど、やっぱりご飯は好きなものを食べたいよ。
エリザベスカラーを付けられてからは殆どおじいちゃんたちの部屋には行っていない。おじいちゃんは自分がご飯を食べる時、おかずの中でボクが食べられそうなものを分けてくれる。缶詰じゃない食べ物もたまには美味しいんだ。特に、ウインナーなんかは大好物なんだ。菫ちゃんは絶対に出してくれないからね。誰も居なくなったら、ちょっと覗きに行こうかな…。




