Scene10 襲撃、そして
翌朝、いつものように支度を終え、外へ出るといつものようにジャスミンが待っていた
「おはよう、待った?」
「おはよう、いいや、今着いたところだ」
いつものように挨拶を交わす
「そう言えばジャスミン、前はあんなに忙しそうだったのに一緒についてきてもらっていいの?」
「うん、もう出来ることは終わったしね
後は待つだけだよ」
「引っ越しするの?」
「いいや、まだ
少なくとも学校に通ってるうちは居るつもりだ」
「ふーん、ところでさ・・・」
その後も他愛のない会話が続いた
だが、それは唐突に訪れた
話の最中、ジャスミンが「シッ・・・この先に何かいる」と言ったことで話が途切れた
「まだ見えてないけど・・・」
「丁度死角になるところに隠れてる
・・・かなりの数だ、逃げきれるか?」
一瞬返答しようとして、後半は自問自答していたことに気づく
「でも、この先は小規模とはいえ憲兵の詰め所があったはずだけど・・・」
そこで二人の顔から血の気が引いた
「憲兵の詰め所があるはずなのにこの大群、しかも前の襲撃よりも個体1つ1つの魔力量が多い・・・まずいな、ここを通らなければ学校には向かえないし、連絡手段がない」
「一度引き返す?」
「そうだな・・・いや、待て
数は少ないが、後ろにも気配がある・・・囲まれたな」
「そんな・・・!」
「脱出の算段がないわけじゃない
一番密度の粗いところに火力を集中させる
包囲網を抜けたら即信号を打ち上げる
それなりの火力の物を放てば巡回してる憲兵や軍が気付く筈だ」
「今なら学校の方向を0時として、5時の方角の密度が粗い、今すぐ突破する!」
「分かった、私はどうすればいい?」
「アリスは後方の監視と防御を頼む、私は前進しながらありったけの火力を叩き込む・・・行くぞ!」
まずは2人揃って方向転換、屈んだ体勢のまま障害物に隠れながら素早く移動する
しばらくそのまま走っていると、私にも前方にいる者達の気配が伝わってきた
(この気配を突破しろって言うの?
どう考えても上位悪魔クラスの魔力じゃない・・・!)
だが、弱音を吐いている暇などない
現実、気配を感じたそれは既に殺気を放っている
恐らく、包囲した時には既に襲いかかるつもりだったのだろう
暫くすると、ジャスミンが前方に向かって火焔旋風を放つ
だが、その動きを読んでいたのか、風圧防壁で防がれた
すかさず、真空砲弾を風圧防壁に打ち込むと、一瞬壁に穴が空いた
そこに遠隔人形を投げ込むと、即座にその人形が大爆発を起こした・・・が、大したダメージは与えられなかったようだ
「ジャスミン、前に使ったあれは使わないの!?」
小声で訊くと
「あれは狭い範囲しか攻撃出来ない上に隙が大きすぎる
これだけの大群相手に放つのは分が悪すぎる!」
前回の襲撃の時は気付かなかったが、そういえば相手がかなり狭い範囲に密集していたし、個体1つ1つも今回ほどはなかった
だからあっさり突破出来たのだろう
「仕方がない、一時的にあいつらの動きを止める、飛べ!」
私がすぐさま空中歩行で空中に逃れると
「大地揺動!!」
ジャスミンを中心とした広範囲の地面が激しく揺れる
だが、それも一時しのぎだったらしい
先にそれに気付いたのはアリスの方だった
「ジャスミン!後ろからも来てる!」
「なんだって!?
囲まれたか!」
だが、その顔には殆ど焦燥が見られない・・・と一瞬考えたのが徒になった
相手が異形の悪魔なら、魔法を使わなくても飛空出来るものが居ないはずがない
そのことを今の今まで失念していたのだ
一瞬、体に痛みが走る
ふと下を見て・・・自分の体から何か刺のような物が突き出ている事に気付いた
そこから徐々に赤黒い染みが広がっていく
刺された事に気付く前に、彼女は意識を手放した




