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この世界で生きる少女  作者: あまね


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24/24

新たな世界に踏み入ることになる予感

七人が麻薬依存症の治療を再開して、五日が経った。


ディル薬の影響で、ふらふらして気絶したことはあったものの、

それ以外に麻薬特有の症状は一切見られなかった。


妄言もなく、暴れる様子もなく、意味もなく、ぼーっとすることもない。


――もう、大丈夫だ。


私はそう判断し、帰る前にそのことをカイテルさんと騎士たちに伝えた。


「今日でおまえらの依存症治療は終わりだ」


アレックスさんが、低くはっきりした声で告げた。


七人は硬直し、何を言われたのか理解できないような顔でアレックスさんを見つめた。


一人は自分の頬を強くひっぱり、

一人は手で口を当て、目を大きく見開いた。


……今まで我慢してきたのね、あなたたち。


「リーマちゃんは、おまえたちにもう治療は必要ないと判断した。

今まで、リーマちゃんにあんなに献身的に世話をしてもらったんだ。

しっかりリーマちゃんに感謝しろよ」


シ――――――――ん。


と静まり返っていた小屋が、次の瞬間――


「や、やったぁぁぁっ!!」


一斉に歓声が上がった。

七人は大声で叫び、ばんざいまでして、抱き合って飛び跳ねている。

一瞬でお祭りムードになった。


……まったくこの人たち。


……喜んでくれるのはいいんだけどさ。


アレックスさんは、今、

「リーマちゃんに感謝しろ」って、あんなに大きな声で言ってましたよね?


七人とも、誰一人としてリーマちゃんの方を見ていない。


もちろん感謝の「か」すらない。


最後に、ディル薬とのお別れとして、一人につき、二バケツずつ飲ませてあげようかしら。


「静かにしろ!本部に行ったら地獄の取り調べが待ってるから、覚悟しとけ!」


アレックスさんが怒鳴ると、七人は揃って――

しゅん。


ちょっとだけ、可哀想かも。


さっきの無礼な態度は、心優しいリーマちゃんが、今回は大目に見てあげようかな。


私はそう思いながら温かい目で彼らを眺め、彼らを許すことにした。


そろそろ帰る時間になり、私とカイテルさんとリオは、馬車へ向かった、そのとき。


「えーと、り、リーマさん……!」


振り向くと、七人が立っていた。


彼らのリーダー的存在の人が、

「い、いままで……ありがとうよ。おかげで、地獄から……抜け出せた」


リーダーは髪の毛をくしゃっと掻き、照れくさそうに言った。


……まさか、本当に感謝されるとは思わなかった。


「……ふふふっ。どういたしまして。これから、幸せになってね」


そう言うと、彼らに笑いかけた。


彼らは頬を染め、「おぉ……」と呟きながら、私に手を振って、それぞれのベッドへ戻っていった。

そんな彼らを見て、私はそのままゆっくりした足取りで馬車に乗り込んだ。


「……」


人を助けた気持ちって、こういう気持ちなんだね。


馬車の中で、私は王宮までずっとニヤニヤしていた。




今日も、私とカイテルさんは国防省へ赴き、お父様のもとへ報告に行った。

七人にまったく麻薬依存の症状が見られないため、治療が無事に終わったことを伝えた。


お父様は嬉しそうに頷き、「翌朝、騎士団本部へ移送しよう」と判断した。


「今日で朗報を続けて聞けるとはな。リーマのお陰だ。ありがとうな」


お父様は、肩の重荷を下ろしたように、ほっと息をついた。

ウィリアムズさんも昨日より、元気そうに見えた。


お父様の仕事が順調に進んでいると聞くと、私も嬉しい。

でも、私、他に何をしたかな……?


「……私ですか?他に何か朗報があったんですか?」

「この前の焼死体の話、覚えてるか?リーマの名すい……ではなく、仮説のおかげで犯人を見つけたよ」


お父様が、ふふっと笑った。


「昨夜、逮捕したんだ」


……うん?


聞き間違ったかしら。

思わず隣のカイテルさんに顔を向けた。


カイテルさんは目を見開いた。


「……リーマ、すごいね」

そう呟きながら私を見つめた。


……聞き間違いじゃなかったみたいだ!


「……えっ!?本当ですか!?

犯人はあの男ですか!?

死んだのは庭師ですか!?

メイドも協力したんですか!?」


ふと一つ思いつき、続けた。


「はっ――!も、も、もしかしてメイドを尾行して、捕まえたんですか!?」


「ふふっ、そうだ。その推理通りだ」


……私、天才確定だっ!


「今取り調べしてるんだ。リーマのおかげで麻薬事件が順調に進んでるよ」

お父様が嬉しそうに微笑んで言った。


「……麻薬事件?あの男が関係してるんですか?」


今お父様の頭を悩ませている麻薬事件のこと……?

それとも別の麻薬事件?


どの辺りから関係してるのかな。


「あの男は仲介人なんだ。時々カレル森の小屋に行き来していたやつだ」


「……あぁ」

私はポンと手を打った。


私、サラッと事件の重要人物を見つけさせちゃったのね?


「本当にえらいな」


いつも優しいカイテルさんが微笑んで、私の頭をなでなでした。


えへへ〜〜それほどでも……


ありますね〜〜〜。




今日はお父様とウィリアムズさんが珍しく早く帰れるので、私とカイテルさん、それにリオも一緒に屋敷に帰ることになった。


「その七人は騎士団本部に行った後、どうなるんですか?」


ゆらゆら揺れる馬車の中で、私はお父様に七人について少し話しかけた。


「取り調べるんだ。仲介人は捕まえたが、裏のボスが誰なのかまったく掴めない……。

リーマも取り調べを聞くか?薬の話もあるだろうし、いたほうがいい」


「……部外者でも、取り調べに参加して大丈夫なんですか?」


「この一ヶ月、リーマはずっとあの七人を看病してきたし、そもそもリーマのおかげであの麻薬団を捕まえた。もう部外者じゃないよ」


カイテルさんは微笑んだ。


「本当ですか?よかった〜。実はずっと、騎士の取り調べを見てみたかったんです。カイテルさんも一緒に行きますか?」


「もちろんだ。リーマを一人で本部に行かせるわけにはいかないからね」


……そう?


あそこって、そんなに危ない場所だったっけ……?


そう考えているうちに、いつの間にか、馬車はゆらゆらと屋敷に到着した。



取り調べ――


私はまた、新たな世界に踏み入ることになりそうだ。


ブラッシュアップバージョンはここで一旦完結となります。

続きの物語は『記憶を失くした少女は、それでも生きていく。』にてお読みいただけます!



↓↓↓ 下記URLからぜひどうぞ!


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